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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
253/288

腐食のオーク①

252話




 「レイドは知っているみたいだが、私たちはあまり分かっていない。もっと詳しく教えてくれないか?そうすれば...」

「いってらっしゃい!」ハルがラナに向けて言葉を放っている途中に、ラナは強引に突風が吹いたように僕らを扉の奥に飛ばした。




 強引に飛ばされたところは国の端辺りに見かけるスラム街だった。


しかし、スラムと言っても人間のものではなく、オークのものだ。


オークのスラムだとしても、人間の言語が扱われている。


 「ここが今回の物語の始まりの場所か。ラナが言う分だけだとすればすぐに物語が終わるだろう。虫を早期に見つけないとな」ラフノは言いながら剣を構えた。


その瞬間、音もなく影が僕らを支配し、生臭い匂いと、生暖かい風に警戒心が高まり、風の吹いた方へ目を向けると、そこには巨大な口があった。そこで僕は理解する。


「食われる!すぐ避けろ!」僕は叫びながら後方へと跳び、巨大な口から避けた。次の瞬間口は閉じられ、元の大きさに戻っていく。



 僕らは避けてから、巨大な口の持ち主であるオークを注意深く観察している。額から顎に向けて汗が滴り落ちる。背に汗が渋滞し、息が荒くなる。


それほどまでに緊張感が高まっている。それはオークの巻き込み噛んだ地面がそうさせている。地面は抉れただけではなく、黒く染まったように見えるが、実際は何もなくなっていた。


「あのオークの攻撃は気を付けたほうがいいね...。死ぬとかの次元なんかじゃないみたい...」ヤーズが炎の弓を構えながら言った。


「そうみたいだな!」ハルは初めから臨戦態勢で挑む気の様だった。


それはハルの足と腕が歪に黒のものに変化していたからだ。


「突っ込みすぎるなよ。とりあえず、これで守護は出来るだろ」ラフノはそう言いながら、仲間一人一人に光剣を与えた。光剣はそれぞれの仲間の死角に常にある。


その時、オークが息を荒げて口を開く。


「おで、腹が減った...人間ジューシー。食う」オークの目が正気ではない気配がする。それは的中する。オークの目から真っ赤な液体が垂れ、オークの口が極端に速くなる。


「クウウウウウウウウウウウウウウウ!!」確かに言語だが、言葉ではない気がした。



 オークが叫ぶと同時に僕の脳に雑音が入った。静電気を脳に受けているみたいだ。僕は急いでオークに目を向ける。


オークは先ほどの様に口を大きく開け、人一人を一口で飲み込むほどとなる。その時、光が瞬き、オークの頬が貫かれ、オークは堪らず怯む。


それをトリガーに僕の脳は正気に戻る。

「助かった!」

「何があった!教えろ!」僕の礼にラフノが空を飛び、起きたことを言うように言葉で攻めてくる。


「襲われる直前に脳が揺れるような感覚になった!気を付けろ!対処する方法はまだわからない!」僕は仲間全員に呼びかけた。


すると仲間は全員頷いた。それを見たオークがまた叫ぶ。

「クッワラエッブブブブブアアアアアッ!」それは完全に言語ではなかった。その時点で僕らは確信に変わった。このオークが虫に寄生されていることを。



 オークが近寄って来る。僕は再びめまいの様なものに襲われる。


それと同時にオークが口を大きく開けた。その口の中に無数の火矢が飛び交う。火矢がオークに当たると爆発し、僕はめまいから解除される。


「完全に僕を狙ってるな...なら逆に、僕が食われてやろうか?」

「止めろ!恐らくあれは殺してない!消してる!いくらレイドが死んでも生き返れるような力でも、消されればそこまでだぞ!」ハルは僕の言葉に批判の声を示した。


僕はハルの言葉で歯ぎしりをして、地面を蹴った。僕の身体は宙に浮き、オークが真下にいる状態になる。


「ここからならめまいが来たとしても、落ちるだけ、だ!」僕はそう言いながら自分の身体を鱗で包み、周囲に氷針を出す。その次、僕は自由落下しだす。


 「これで少しはダメージが入るだろう...」僕の身体は下からの風にあおられながら、下へと落ちる。そして、肉の感覚がした。


それと同時にオークが呻き声を上げ、僕の身体は振り落とされる。


 オークの巨大な口に氷針が刺さっており、血があふれ出していた。オークは巨大化した口を戻そうとはしていなかった。


それは僕の指した氷針が抜けなくなっているからだ。今口を戻せば千切れるだろうし、痛みが伴うからだろう。



 僕がその考えにたどり着いた時だった。オークは顔を歪ませながら口を元のサイズに戻す。それと同時に僕の氷針が地面に転がり、蒸発して消えた。


「そうだった...。完全に虫に寄生されているのか...」僕は再び歯ぎしりをした。痛覚はあるようでなさそうだ。


 そこらへんにいる虫には痛覚の無い虫がほとんどだ。そのせいだろうか、今目の前にいるのが恐怖を知らぬ生命体で、恐怖を感じる。


「デデデデデデデデ...」オークは千切れた口で言語を言えずに、血を垂れ流して僕を偽物の身体で見てくる。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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