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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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思惑

245話




 ヤーズの言葉で僕らは狼狽えた。ヤーズの記憶を失った声。ラフノは知っているみたいだったが、初見の僕とハルは驚くだけだった。


「ヤーズは度々何も知らない二重人格に変わると思うんだ。でも、ヤーズの契約は物語の中でしか解除できない」


「だから、もう次の物語に入れってことか?」僕はラナに向かって嫌味っぽく言った。すると、ラナは頭を少し掻きながら口を開く。


「確かにそうだけど...。言い方に悪意が...ってもういいや。行ってきてよ」ラナはそう言ってドアを開き、突風で僕らを押し、強制的に物語に入れられた。




 物語に入ると目の前に鳥居と鳥居の後ろに上に上がる階段、階段を上がった所に鳥居が一つとその奥に寺がある。そこに声が一つ入る。


「とおりゃんせ...とおりゃんせ...行きは良いよい...帰りは恐い...」声が聞こえた方向に目を向けると、顔が白くおでこから角が生えている仮面を被った人がいた。不気味だが何もしてくる気配はない。


しかし、次の瞬間仮面を被っていた人が急変した。



 仮面だけが不可解な動きをしだした。それに合わせて身体がまるで枯れた草がまとまった様なものに変化する。そして、仮面が口を動かす。


「お前は神様を裏切った...それなのにも関わらず、この場所に何の用だ...!」仮面は声を荒げ、ヤーズの顔の付近に近づこうと動く。


「待ってくれないか?ここに来たのはヤーズの契約解除だ。裏切っただとかそういう...」ハルは言葉の途中で口を止めた。


それはハルの真横を枯れ草が過ぎ去ったからだった。枯れ草は地面を抉り、僕らを警戒させる。


「神様が第一だ...裏切り者のためだけに費やしている時間はない...だから、ここから去れ!」仮面は強い言葉で僕らを圧倒させた。



 しかし、僕らはそれだけでは止まるつもりなどない。


「そうか。じゃあ、ここを通らせてもらう」僕は口を動かしながら右の手のひらを前に突き出した。


「何をする気だ?」仮面は目を大きく開き、口を大きく開いた。


「そりゃ、まぁ、仲間のためだ...」僕はゆっくりと口を動かし、髪の隙間から目線を寺、改め、神社を見定め、右の手のひらに黒い雷と氷、鱗がへばりついてくる。


そして、次の瞬間、神社に向かって黒に鱗と氷を放出した。


 一瞬の衝撃と爆風で鳥居や階段が氷結し、神社に黒の稲妻が一直線に向かって行く。


それを見た仮面は神社の前に飛び出る。


そしてそのまま仮面は氷結し、鱗によって壊され、粉末状になって消え去った。


 「流石、神様を考えるだけあるな...」ハルは神社を見ながらつぶやいた。


その視線の先には神社が傷一つなく建っていた。


しかし、他の階段や鳥居は完全に壊れていた。


「神社に入れば...」僕が口を開いた瞬間、真下から緑が強い木が上に向かって生える。僕はすぐに地面に飛び降りたが、さらに別の木が僕の身体を持ち上げて、枝で固定して足搔く事が出来なくなる。


「これが神様っていう力か...!」僕は遠ざかる地面を眺めることしかできなかった。



 着いた場所は白い地面...というにはあまりに無理があるほどふんわりしたものだった。


さらにその奥には金が目立つ城が聳え建っていた。

「近くに行ってみよう」ラフノが先陣を切って城に向かいだした。



 城に着くと不可解な点があった。


「扉大きくない?」ヤーズは顔を上にあげて、目を大きく開いて言った。ヤーズは今正常に戻っているようだ。


ヤーズの目線の先には極端に大きいドアがあり、ドアの一番上にベルがある。景観を見ているとドアが開きだした。それと同時に衝撃が一定の時間で響いてきた。


そして、ドアから出てきたのは身体が入道雲位大きな人間だった。正しく巨人というにふさわしいものであった。


 「これは、また混じったな」ハルは神妙な顔つきで言った。その言葉だけで別の物語と混ざったのがわかった。


「じゃあここに虫がいるかもしれないってことか?」ラフノは剣を触りながら言った。早くヤーズに結ばれた契約を解約したいみたいだ。勿論僕も同じ気持ちだが、地面に降りようとすれば木が襲ってくる。先にこの物語で虫を探したほうがいいのか?




 図書館にて声が響く。


「そろそろ勘づくかな。この図書館の異常に。レイド達は勘が鋭いしね。...虫の正体は僕が生み出した...XXの塊だってこと...」ラナは図書館内を自由に飛びながらつぶやいた。


「何より、XXは人間に留まらずすべての根源だし、この正体が世界中に知れわたれば、きっと世界は壊れる」ラナは口を動かしながら本を一冊取り出した。


「この本。ずっと好きだったんだ。でも、今ではもう何も思わない」ラナは埃被った本の埃を少し払ってから投げ捨てた。投げ捨てたところで、本は捨てられず、元の棚に戻る。そこでラナは息を深く吐いた。


「レイド君。僕は君のXXを取り除くために物語の世界に行かせているんだよ?気づかずにそのまま物語の虫を殺してくれればいいんだ。そうすれば、君の仲間も救われる」ラナは言葉を淡々と吐いた後に懐から一冊の本を取り出し、開く。本の中には”レイド”という名前があり、本のページの後半は白紙だらけだった。


 ラナはふと微笑んだ。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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