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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
244/288

海底の城⑤

243話




 激しい悲鳴と破壊音が鳴り、俺は即座に顔を音の聞こえた方に向けた。


そして足を動かしだす。それは音の聞こえたところに集合となっているからだ。恐らくハルも動くだろう。


 「ねぇ、ここで何してるの?」背後からの声に俺はすぐに目を向けた。そこには白い着物を着た子供がいて、曇りのない眼で虚ろだった。俺はすぐにこの場を離れようと足を踏み出すと、目の前に鳥居が現れ、真横から声が聞こえる。


「とおりゃんせ...とおりゃんせ...行きは良いよい...帰りは恐い...」声が聞こえたほうに目を向けると白い人の顔におでこから角が生えている仮面をしていて、不気味だった。



 俺が息を呑んで立ち尽くしていると子供が、俺のところに歩いてきだした。


子供が俺の足にたどり着き、そのまま子供は俺を半透明となり、すり抜け、鳥居の中に入った。そして、おれは勝手に口を動かしていた。


「行きは良いよい...帰りは...」




 「子供が消えた!?」私はずっと付きまとってきていた子供が消えて、つい言葉を出してしまった。しかし、周囲には誰の気配もなく安堵の息を零した。


その瞬間破壊音が鳴り、床に衝撃が走った。私はすぐに衝撃の鳴った方に目を向け、剣を上にかざし、振り下ろした。


その瞬間壁はひび割れ、一本道ができる。それと同時に所々から海水が入ってくるようになってしまった。


 私は首を振って、即座に走り出した。




 階段を上がりだしてから意識が朦朧とする。でも足が止められない。鳥居から見た感じは階段が低い気がしていたけれど、今ではとても遠く感じる。まるで延々とあるようなそんな気がする。


 ヤーズが階段を上がるその後を、子供10人ばかりが並んでいる。徐々に鳥居が近付く。ヤーズの目は虚ろになる。


 次の瞬間風が吹き荒れた。ヤーズは虚ろな目のまま上を見上げる。


その瞬間ヤーズの目は正気に戻る。


 ヤーズの目線の先には奇妙に動く雲があり、なぜか見知っているような既視感がした。


しかし、それに気づいた瞬間にヤーズの身体は鳥居から突風で投げ出され、誰かの声がした。


「ヤーズ!?ここから出るぞ!」その声はどこかで聞いたことある声だった。




 「これは...虫でいいよな?」僕は枝の様に伸び続ける糸状のものが、ドアや天井、床、壁からゆっくりと無作為に伸びる。僕はその枝を眺めながらハルの斬撃で出来た道に移動する。


「これは虫の効力で合ってるのか?」


 遠い。遅い。もっと早く移動しないと...。でも、これ以上は体の構造で無理だ。


「時間も操れない。なら、”鬼神の残り火”を完全に開放してみるか...」ハルは走りつつ、呟き、足でブレーキをする。そして、息を大きく吸い、ゆっくりと吐く。


 そして、次の瞬間ハルの身体から黒いオーラが溢れ出す。頭から小さな黒い角が一本生え、その周囲が黒ずんで、血管が浮き出る。


そして、右手は肘の関節辺りから指先に掛けて黒ずみ、指先の爪は黒く長くなっている。


「腕じゃない。足だ」ハルは一人呟いて、黒ずんだ腕を解消し、両足に黒いオーラを寄せる。


そのことにより、ハルの靴は破け、黒ずんだ足が見える。

「これでいい」ハルは呟きながら右足を曲げ、駆け出した。



 「ヤーズ!平気か?」ラフノはヤーズの上半身を片手で持ち、下半身は地面に着けて、頬を少し叩いた。痛みにより目を覚ましたのか、ヤーズは目をゆっくりと開いた。そしておもむろに一言放つ。


「あなたは誰ですか?」ヤーズの言葉にラフノが息を呑んだ。


 「覚えてないのか?いや、忘れた?」ラフノがヤーズの身体から手を離す。それと同時にヤーズは自分の手で自分の身体を支えるようになった。


「私はここで何をしてました?」ヤーズが優し気な細い目でゆったりと言った。そこでラフノは目を閉じ、再度口を開く。


「俺はラフノだ。お前は俺たちの仲間で、何かの拍子で記憶を失ったんだ」ラフノは憶測に過ぎない言葉を強く、口を震わせながら言った。




 僕は淡々と伸びてくる糸状の枝を眺めている。枝は徐々にハルの作った道でさえも塞ぐように動き出していた。その時だった。ハルの作った道から風が吹き荒れた。


そして、僕の目の前に砂煙が巻き起こる。そして一つ声が聞こえた。


「レイド...おまたせ。この枝は虫の仕業か?」ハルは僕に会うと、即座に現状を知ろうと、今の状況を聞いてきた。ハルの足は黒ずんでいて、頭に角が生えていた。


しかし、ハルの勢いに押し負けて、僕は頷いてドアの先を見ながら、口を開く。

「恐らく虫の仕業とみていいと思う。ハル。早めに片付けるぞ。虫が急成長する前に...」僕は鱗を出しながら言った。


「もちろんだ!」ハルは今の歪な体から更に黒いオーラを出し、右手を黒くし、剣を握る。それと同時に剣が黒く輝き、黒い雷を纏う。


そしてハルが剣を上にかざし、振り下ろす。


すると、ハルの持つ剣から黒い斬撃が飛び、糸状の枝に到着する。


その瞬間枝は黒ずんでいき、灰の様に砕け散った。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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