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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
238/288

一人の少年と一匹の獣⑤

237話




 井戸からの呻き声を聞くと助けを求めるような言葉が飛んできていた。僕はその声に言葉を投げかける。


「そこで何をしている?」僕の言葉で井戸の声が言葉を放つ。


「ここで...お前ら全員!殺してやる!ここからだせ!出せだせ出せだせ出せ出せぇ!」井戸の声は狂気じみていて、それは正に、

「虫に操られている可能性がある...」ラフノが細目で言った。


「じゃあ、僕が倒してくるよ」僕は井戸に足を掛け、井戸の中に落ちる。暗闇の井戸の底に着く寸前に人が僕を見上げていたのが見えた。その人は口を大きく開け、次の瞬間井戸を覆うほどの口内が広がり、笑う。


「イヒヒヒヒ...!」その笑い声に僕は怯むことなく、井戸のそこへと近づき、ナイフを腰から取り出し、刃を小指側にして持ち、巨大な口内の歯茎を斬りつけ、そのまま喉元までナイフを自分の身体ごと突き刺す。しかし、相手もひるむことなく口を閉じだした。そこで僕は自分の身体を中心に爆発した。そのことにより、巨大な口は肉塊となり、井戸の底が少し壊れる。



 「大丈夫かー?」ラフノが井戸の底にいる僕に向かって声をかけてきた。僕が返事しようと上を向こうとするととあるものを見つけた。


「ああ!平気だ!それより下に来てみてくれないか?ここに通路がある!」僕は横目で見つけた通路を見ながら言った。



 全員が井戸の降りてきて、謎の通路を観察する。通路は人一人が這って通れる感じの大きさだった。


「ヤーズ。一番体が小さいお前が適任だ。先に行ってみてくれないか?」僕はヤーズの目を見ていった。すると、ヤーズが頷いて通路に這って入りだした。通路の中は一本道があり、それ以外は見えないみたいだ。


「何か見つけたか?」ラフノが声を投げかけるが、ヤーズは何のアクションも取らない。そこでハルが口を開く。


「関係ないかもしれないが、ヤーズがあった魔女の洞窟につながっている事とかはないか?」ハルの言葉で僕はヤーズの後を追うようにして通路に入った。それはヤーズが危険に曝されると思ったからだ。



 僕に続いてラフノとハルが這ってついてくる。その時、世界は夜空に支配され、僕らは夜空に囚われの身となる。そこに声が響く。


「イヒヒヒヒ...。ここに何の用かは分かってる。狼に変えられにきたんだね?」ヤーズの話した魔女と思われる人物の声が聞こえた。


「何も変えられるつもりはない。それにもう力はそこまで必要ない。僕が今しているのは害虫駆除だ。それを邪魔するなら魔女であろうと何であろうと、排除する」僕は強く言った。魔女は僕の言葉に不敵に笑い、口を開く。


「そうかいそうかい...イヒヒヒヒ...。でも、もう遅い。あんたの姿はもう狼さ」魔女がそう指をさしてくる。そこで僕は下を向く。すると地面はやけに近く。両手を地面についている感覚が襲う。



 僕の身体は金色の毛色の狼へと変わっていた。


「あんたはそれで一生...ッ」魔女が話している途中に口を噤んだ。そして魔女は僕を指さし、忌み嫌う目つきとなる。


「それはなんだい??まるでそれは...この世のものではない...ヒヒ...」魔女は引きつった笑顔で言葉を放ち続けた。そこに僕は口をはさむ。


「そりゃそうだろ。この力はこの世界のものじゃないからな」僕が平然とした姿勢で言い放ち、体中から黒いオーラが溢れ出し、身体が狼から人間へと元に戻った。



 「魔女だがなんだか知らないが、もう一度言おう。僕の障害となるものは排除する」僕の最後の言葉と同時に黒いオーラで魔女の身体を覆い隠し、黒いオーラが消え去ると同時に魔女はその場からいなくなり、夜空の空間は消え、僕らは同じ場所に立っていた。


「これは...」ヤーズが目の前に落ちている本を手に取った。その本の題名は”愚かな魔女”だった。先程の魔女のことを言っているのなら理解できるが、この世界は”一人の少年と一匹の獣”の世界だ。ここで違う話が入っているということは、

「もしかすると虫は既にこの世界を食べ始めているかも知れない...」僕は目を大きく開けて言った。


「物語を待っていられない。なりふり構っていれるほど、俺はよくできていない。だから、ここで...」ラフノが話しているときにハルがラフノの手を掴んで止める。


「さっきレイドが倒した大きい口のモンスターが虫に寄生されていたかもしれない...」ハルはもっともな意見を言った。そのハルの言葉にラフノが冷静になる。


「待ってくれ。魔女は人を何にでも変える力がある。それに井戸の通路を通ればこの部屋があった。そうなれば、これは魔女の物語で、まだ虫は消えていないと思う」僕は意見を手を上げて言った。すると全員が一斉に悩みだした。その時だった。



 「助けてくれ!森の支配者が暴れだした!今度はここも支配する気だ!」村人の叫び声だった。僕は辺り一帯を氷結させ、鱗で真上に大穴をあけ、その穴から僕らは飛んで抜け出した。そして、村を見るとそこには森にいた少年が灰色の光を放ちながら、家や村人を襲っていた。


「もしかして、あれ...」ヤーズが震えながら少年を指さした。


「あぁ、あれは理性を失ってるみたいだ...」ハルが静かに言った。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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