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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
231/288

賭博の町の支配者”ウラザル”

230話




 僕の発言で移動が再開された。

 何より、これから王都の前に行きつくところには町がある僕が王都に行くときは言っていなかったわけだが、どんな町なのか気になるところだ。


 「ここは闘技場か?」ハルが町に着くと髪をかき上げた。町は一つ大きな会場があり、そこから常に歓声が上がっているようで、民家には人があまりいない様子だった。

「闘技場の様な感じかもしれないね」ヤーズが顎に手を付け、少し前に進みながら町の中を見渡した。そこに横から人影が迷い込む。


 人影はヤーズにぶつかり、そのまま倒れる。

「あ、いてて...悪い...」その人の目には包帯が巻いてあり、頭を右手で抑えながら左手を地面に受け身をした。

「こちらこそ...」とヤーズが包帯を巻いている男にヤーズが手を差し伸べるが、それを気にも留めず男は起き上がる。

「悪いね本当に...。じゃあ私はこれで...」男は傷ついた左手をひらひらさせながら、ヤーズの真横を歩く。その時にラフノが口を開く。


「その包帯の下は目がないな?」ラフノが目を細めながら男に指をさした。それに男は微笑む。

「ああ、若いころに羽目外し過ぎたせいでな。あんたらも気を付けな...」男は手を上に掲げてひらひらさせて民家の方へと歩いて行った。表情は微笑んでいたが、その様子はまるで何かに怯えているようにも感じた。


 「さて、盛り上がっているところにでも行ってみるか...」僕は背伸びをした後、一歩足を踏み出した。物陰で誰かが微笑み、物陰から人影が出てくる。そして僕らに声がかかる。

「ちょっとちょっと!君たちこの町に入る際に安全に町に滞在出来る方に賭けましたか?」やけに痩せ細り、血色の悪い肌、ボロボロの布切れを身に纏った男だった。その姿はまるでゴブリンの様な姿だった。

「賭ける?」ラフノが首を傾げた。それは疑問の音だとわかる。その疑問は僕にもあるわけだが...。


 「なに?君たちもしかしてこの町に入る際にお金賭けてないの?」ゴブリンの様な人は目を大きく開き、手を口当たりに持っていく。

「町に入る際にお金が必要なのか?」ハルが顎辺りに手を持っていく。するとゴブリンの様な人は左手を胸に、右手の人差し指を一本立てて、誇らしげな顔をして口を開く。


「この町は賭博が盛んな町でして、子供から大人まで賭博によって生計を立てることが通常なんです」ゴブリンのような人は目を細めながら、微笑む。


「それは冒険者のあなた方でも例外ではありません。そして、もし、お金を払わず町に入ったことが知れたら、この町の支配者に...」ゴブリンの様な人の顔は徐々に青ざめていく。そこでゴブリンのような人が引きつった顔つきになる。

「今すぐお金を払った方がよいのでは...?」


「そうだろ...?この町に入るにはお金を賭けろ」女の声が背後から響き、僕の頭にやけに暖かい手が乗せられ、握り潰されそうなほど軋む。

「私はこの町の支配人。”ウラザル”だ。今回はまだ新米の冒険者だから、今お金を賭ければ許そう」僕はウラザルの言葉と同時に僕の頭を無理に回され、ウラザルを視認する。


ウラザルは僕の身長の二倍ほど。大体3メートル50センチの巨体で、影が大きくできていて、筋力も強い。それは僕が片手で持ち上げられたことでわかる。


「もしかして巨人族ですか?」ヤーズが能天気に顎に手を付けて、ウラザルに疑問をぶつけた。

「そうだな。亜人が差別されることが少なくなったお陰で洞窟暮らしは無くなったのだ。今ではこのように町の支配人にでもなれる」ウラザルは手を少し広げて、少し微笑んだ。


「なるほどな...」ラフノは誰にも聞こえぬように呟き、微笑んだ。

「さて、本題だ。賭けるかそれともこの町から出ていくか。選べ」ウラザルは左手を胸辺りまで持っていき、真剣な顔つきで手を広げた。

「そりゃ勿論。賭けよう」僕が微笑むとウラザルが連鎖的に微笑む。


「いくらだ?」ウラザルが真剣な顔つきで手を合わせる。

「5000コーカで僕達が無事にこの町で過ごせる方に賭けておこう」僕は袋に5000コーカを入れ、ウラザルに手渡す。ウラザルは僕の渡した袋をがっしりと握り、口を開く。

「良いだろう。もし無事にこの町から出られたら賭けた分の2倍を出そう。ではな...」ウラザルは不敵な笑みを浮かべ、手を僕らに振った。その瞬間煙が爆発し、煙が消えたときにはウラザルはそこにはいなかった。



 ようやく話から解放され、僕らは町のど真ん中に立っている。所持金は簡単に言えば47823コーカだ。ちなみにこれは仲間全員の分を含めた分だ。考えて使わなければならない。

「どうする?」僕はハルに顔を向けた。

「そうだな...あそこの歓声が聞こえるところに行ってみないか?」ハルは歓声が大きく聞こえる闘技場のようなところを指さした。


「そうだな。そこで何かしらかけてみるのもいいかもな」ラフノは地面を向き、顎に手を付け、眉を顰めた。

「どうしたの?難しい顔をして?」ヤーズがラフノの前に腰を曲げて、ラフノの顔を下から覗き見る。

「いや、さっきから何か目線が...いや違うな。恐らくその町はかけ事で借金した人が多いに違いない...。さっきから俺たちに目線を送ってきているのは何か盗もうとしているに違いない...。気を付けておけよ」ラフノは僕らにだけ聞こえる声で僕らに視線を送ってきた。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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