二頭のドラゴン
222話
寂しげな顔つきを夢で見る。その顔には見覚えがあった。
「君はシスト...?...そうか...僕が君を突き放してしまったんだね。僕が司書になったばかりに...」本が並んでいる本棚が円柱の様になっている所にラナは宙に浮きながら、目と口を開いた。
「あの時は確かに楽しかった。でも、僕はもうここからはあまり出れないんだ...」ラナはそう呟いてまた目を閉じた。
「レイドも...死んだ...」ヤーズがレイドの倒れた体を見て言い放った。勝ち目がない。その言葉で片づけるしかない。ヤーズの心がその言葉で支配される。
「私は...あなたを...」ヤーズが抱えたラフノを地面に下ろしながら口を開いた。そして、ヤーズが体中をドラゴンの鱗の様に変化を遂げていく。
「殺す!」ヤーズが1単語叫んだ後、ヤーズの下半身から炎と雷がまとまったプラズマが真っすぐ後方に放たれる。その衝撃でヤーズの身体が前方に弾け飛び、ニラキが後方へ吹き飛んだ。砂煙を巻き上げながら飛んでいく姿は突っ立っているままだった。
「何が起きたのです?」ニラキが鎌を前に構えながらも言い放った。ニラキは対してダメージが喰らっていないようで余裕そうな顔だったが、どこか焦っている。
「私が...お前を殺してみんなを救う...!」ヤーズはそう言い放ち、次の手に出る。辺り一面にプラズマの球を無数に出現させ、矢の形へと変化させ、そのすべての矢を渦を巻きながらニラキに当てる。矢は当たった傍から爆発し、ニラキの鎌を弾き飛ばし、身体に矢を当てる。怯めば即座に身体に矢を当てる。その繰り返しだった。無数に起こる爆発によって煙が絶えず、ニラキの行動が読めなくなってくる。
ヤーズの頬を伝って汗が流れる。魔力の底が着きそうになる。そこで声が聞こえる。
「どこを狙っているのです...?」ニラキの微笑みながら放つ言葉にヤーズが目を向ける。目を向けた先にはニラキが鎌を構えて立っていた。そこでやーずが叫ぶ。
「全部...使ってしまって!」やーずがそう叫んだ瞬間炎の球と雷の球が遥か上空へと打ち上げられ、猛獣の声がした。そして、ヤーズが口を開く。
「ソリドス!ホエレルドン!この死神を殺して!」叫びに近い声でヤーズが言い放った。その次の瞬間二つのドラゴンが姿を現し、ニラキへと向かう。
「なぜそのようなものが...!」取り乱す声はニラキだ。鎌を前に構え、振りかぶり、振った。が、しかし、ドラゴンは消えず、ニラキに噛みつく。それによってニラキが言葉にならない叫び声を上げる。
世界が無音になり、ニラキが苦しむ光景だけが流れ、過ぎ去っていく。
しかし、世界が急に音を取り戻す。その瞬間他の誰かの声が聞こえる。
「皆を返せ!」僕はドラゴンの間をすり抜け、右拳を握り、黒い稲妻を纏わせ、空に巡らせ、そして、叫んだ。
「もう一度言う!みんなを返せよ!死神!」僕はそう叫ぶと同時に拳を振り落とした。その先にはニラキの上半身のみが残っていて、僕の拳はニラキの頭を潰した。
「今の振動は...」キセキが魔王によって作られたバリアに触れたまま言い放った。
「そろそろ来るか...人間」魔王は見下しながら言い放つ。余裕そうな声はキセキをまたイラつかせた。
「ハルは...どうなった?」僕は即座に仲間の安否を確認しだした。すると、倒れていたハルが手を上げた。そしてその手に釣られるようにハルが立ち上がり、微笑んだ。そしてハルがこちらに走ってきた。
「また助けられたな...。よし!魔王城に行こう」ハルは病み上がりだということを見せつけず言い放った。それと同時に誰かが話し出した。
「おれはどうすればいい...」その声はトライネだった。そこで僕は口を開く。「じゃあ」と言葉を継ぎ、
「ラフノの身体を治せないか?あと、僕たちに輪廻の力を分けてくれないか?」僕は図々しく言い放った。するとトライネは口を開く。
「図々しいな...でも出来ることはやろう...」トライネはそう言い放った後にラフノの体を元に戻し、僕らに輪廻のチカラ。一度だけ生き返れる力を分けてくれた。
「トライネは図書館を探してみろ。僕はそれ以外には何もできない。今の僕じゃ図書館にも行けないだろうしな」僕はそう言い放って魔王城に目を向ける。
その背後から見つめる影が口を開く。
「私忘れられてませんかこれ...?」それは既にみんなに忘れているであろう人。ラフノ達が魔界に来た時に襲われていた所にいた人だった。
「そうだ...ついて行かなきゃ助けられないでした!こっそりついて行きましょう...」男はそう言ってレイド達の背後を追うように徐々に魔王城へと近づいて行った。
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