刈り取り
220話
「負けるのが怖くないのに手の内は明かさないのか?」ハルは二ラキを煽るように言い放った。ハルに続いて僕が口を開く。
「そうか。じゃあ、お前の負けだよ」僕がそう言い放った瞬間、二ラキが僕の首を切り落とそうとしてきていた。僕は即座に鱗を出し、バリアを精製し、二ラキの攻撃を無効化やした。鱗から伝わってくる金属を引っ掻くような音と共に二ラキの微笑みと鎌が永遠と襲ってきている。鱗の圧力でニラキの鎌が後方へと弾けた。その一瞬の隙に鱗のバリアを解き、まるでタコの触手のようなものを鱗で象った。
その間、既に二ラキは体勢を立て直し、鎌を振りかざしていた。二ラキの行動は目に見えていた。僕に勝てないとなれば、近くにいる人を人質とし、僕を殺す筈だ。だから、僕は地面に触手を突っ込み、二ラキの前に1本とすぐさま背後に、そして、最後は真下から串刺しになるように触手を伸ばした、が、それは塞がれた。
「こんなものですか?」二ラキは余裕の表情で鎌を担ぎながら、言い放った。
「鎌が厄介だな」僕は全身に黒い力を宿し、地面に手と膝を着いて、いつでも駆けれるように体勢を立て直しながら、言い放った。
刹那。乾いた金属音が轟いた。
「一瞬の油断で私はお前を殺せるぞ!」その声はハルだった。二ラキの力はそこまで弱い訳では無い。しかし、ハルは二ラキの鎌を段々と押している。地面に足は着いてない。それなのにも長続きする勢いだった。
「どこにそんな力が...!?」二ラキは初めて焦りの顔を露にし、仰け反る。そして、次の瞬間ハルは縦に構える剣を下になぎ落とし、黒を周囲に弾け飛ばした。それと同時にニラキは地面に叩きつけられる。
「ん!」ニラキの踏ん張る声が聞こえた次の瞬間ハルはニラキを叩きつけた威力の反動で後ろに避けていく。
ニラキは鎌を杖の様に扱い、体を起こす。
「油断?油断などしているわけがないでしょう?そもそもあなた方も十分油断しているのではないですか?」ニラキがそう言い放った瞬間ハルが顔から倒れた。
「所詮人間。刈り取ることなど造作もない事ですね...そして、遠距離は効きませんよ?」ニラキは手をひらひらさせながら言い放ち、最後に付け足すようにヤーズを向きながら言葉を放った。その言葉で行動しようとしたヤーズが踏み止まった。
「私に勝てる者などいないのです」
「そんなことはない。なぜなら俺が勝てるからだ」ニラキが放つ言葉にラフノが返した。ラフノの言葉でニラキが口を開く。
「それは傲慢だと何度言えばわかるのです?学んでくださいよ人間」ニラキは僕らを見下すように言い放った。その瞬間衝突が起きる。
ラフノの剣がニラキの鎌に当たる。それと同時にラフノの周囲に赤黒い靄と純白の光の粒に包まれた剣が無数に出現する。
「串刺しになれよ!死神!」ラフノは自分の持っている剣を手放し、腕に赤黒い靄と光の粒を集め、鎌を両手で握る。その瞬間宙に浮いた剣が全てニラキに串刺しになる。剣の刺さったところから黒すぎる血があふれ出し、口からすらも黒の液体があふれる。そこでニラキが口を開く。
「これでいい...!」ニラキの言葉を聞いたラフノが鎌から手を離そうと後方に避けようと試みる、がラフノの手は枯れ、動かせなくなっていた。
「何が...!」
「だから傲慢だと言ったでしょう!?」ニラキは満面の笑みでそう言い放ち、ラフノの顔を覗き込む。ラフノの身体が次々と枯れていく中、一人叫ぶ。
「ラフノ!逃げて!」ヤーズがそう叫び、ニラキに無数の炎と雷の矢を放ち、背にドラゴンの翼を生やし、高速でラフノをお姫様抱っこをして、その場を脱したが、ヤーズが滞空しながらラフノを見ると身体はやせ細り、手を中心に首辺りまで、まるでミイラの様になっていた。
「ラフノ平気?」ヤーズがそう聞くとラフノは頷くだけだった。その状況を見て僕はニラキを目がえぐり取れるほど顔を歪まし、睨んでいた。
「しょうもないわね。魔王軍」キセキは魔王を前にして言い放った。その場にはラーラという名の魔王の側近が居なかった。
「人間にしてはやるな。ただ、我はここで戦わぬ。先客がおるからな」魔王は威圧的に言い放った。
「そんなの知らないわよ。何もしないならそれでいいけどあなたも消滅魔法の餌食になりたいの?」キセキは魔王を脅すように言い放った。
「そうか。ではそこでじっとしていろ。先客を片した後なら相手をしてやろう」魔王はそう言ってキセキの周りに透明のバリアを張った。勿論キセキはじっとしていない。
「出させてもらうわ」キセキはそう言いながらバリアに手を伸ばし、バリアを排除した。
「さて...。ッ!これ...」キセキは壊したはずのバリアに頭をぶつけて魔王を睨む。
「どれだけそれを壊してもすぐさま生成される。無駄なことはせぬことだ」魔王はそう言ってキセキを見下した。
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