表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
219/288

キセキの魔界入り

218話




スーツの男は両手を広げて立っている。そして、その目の前にはラフノが立っていて、攻撃の準備を整えていた。相手に反撃させないためにもこの一撃で終わって欲しい気もするが、それはないだろう。一撃で終わるなんて簡単なものはモンスター位だ。かくいう僕も一時期力を失い、一撃ではモンスターでさえも倒せていなかったわけなのだが...。まぁそこは除いたとして、ラフノがどれだけ強くなっていようが、スーツの男は殆ど微動だにしないだろう。


「じゃあ、やるぞ」ラフノが攻撃を仕掛ける準備を整わせ、言い放った。ラフノの持つ剣には白と赤黒い光とモヤが集まり、異様なオーラを漂わせている。何よりそれがラフノの力というのが、とても受け入れ難いものだと直感で分かる。しかし、ラフノの身体だ。自ら決断した事に口を出すのは杞憂だろう。


ラフノが剣を振りかざした。そして、身体を重々しく動かしながら、身体を落としていく。その動きに合わせるように剣が振り落とされていく。風を切り、全てを飲み込むような剣を前にスーツの男は全く動かない。


そして、遂にラフノの剣がスーツの男に到達する。その刹那、赤黒いモヤと白い光が弾け、辺り一面に飛び散りながら、炎のように剣から揺れ動いている。剣から溢れ出るモヤの中。少し見えたのはスーツの男が微笑んでいた事。そして、次の瞬間赤黒いモヤと白い光が硬直し、ひとつの点に渦を巻きながら、集まる。


光とモヤが集まった中央にはスーツの男が佇んでいた。そして、その足元にはラフノが倒れている。そこでスーツの男がこちらを向き、口を開く。

「ではどうぞ。次はあなたの番です」スーツの男は不敵な笑みを浮かべながら言い放った。


恐怖なんてものでは無い。ただ、その時は本気で潰す気だった。ラフノの倒れた姿を見て、そう思った。胸の鼓動は恐怖ではない。怒りだ。

「本気だ」僕がそう言うと同時に身体中に黒い雷が走る。周囲には見にも見えぬほど小さい氷が漂い。更にその周りに鱗が舞っている。

「これは高火力が見込めそうですね」スーツの男は微笑みながら言い放った。僕はその言葉に答える。

「そりゃ、そうだろ。ここで倒しておかなけりゃお前はみんなを殺すだろ?」僕はスーツの男に落ち着いた様子で問いを投げた。

「そうですね。それが強者の特権なのですから」スーツの男は変わらず微笑みながら言い放つ。僕はスーツの男のその言葉で1歩踏み出した。


スーツの男の目の前まで跳び、言葉を放つ。

「これが僕の本気だ!」僕はそう言い放ちながらスーツの男の脳天を右拳で殴る、寸前。誰かの声が聞こえた。

「私の魔力を使ってくれないかい?」その声はアストラストだった。僕はその声に答えるようにスーツの男の脳天に触れるまでのその一瞬で魔法陣を腕に宿した。


そして、僕の右拳がスーツの男の脳天に触れる。その瞬間僕は叫ぶ。

「これはアストラストが生前持っていた技だ!ストレイト・アストル!」アストラストの持つ技名を叫びながらスーツの男に攻撃を与えた。その瞬間地面にヒビが入り、辺り一面を氷結させ、上空から黒い稲妻がスーツの男だけに弾け、鱗がスーツの男の皮膚を噛み砕く。そして、腕の魔法陣が弾け、スーツの男の身体を骨を壊しながら、潰し、円形を成しながら爆弾のように弾け飛んだ。肉片すらも残らぬように。紅の液体だけが残るように。


「終わった...?」ヤーズの気の抜けた声が響いた。その瞬間ハルが動いた。向かっている方向はスーツの男が落としていた大鎌の方だった。壊さないといけないと分かっていたのだろうか。そうだ。それで復活したから...。

「今のは効きましたね」背後からスーツの男の声が聞こえた。それと同時にハルが僕の背後のスーツの男に目を向ける。

「大鎌がないのになぜ?という顔をしていますね」スーツの男がハルの気持ちを汲み取り、言い放った。そして、再度スーツの男が口を開く。

「私の本体は別の場所にあるのです。だから、あなた方には私は倒せないでしょう。永遠に」スーツの男は最後の言葉ただけ真顔で言い放った。今まで微笑んでいたのが嘘のようだった。



「じゃあ、開けるわよ?」デスティが両手を前に突き出して言い放った。すると、キセキは小さくうなづいた。デスティは微笑みながら両手を真横に向けた。その瞬間目の前の空中に切り口が出来た。

「ここから入るのよ?狭いけどね。入ったら戻って来れない事を覚悟してね?」デスティの話を聞いた後にキセキは身体を浮かせて、その切り口に頭から突っ込んで行った。


視界一杯に見えるのは現界と異なる世界だった。太陽は見えないが光はまだある。葉は現界とは異なる色をしている。そんな時、衝撃音が聞こえた。聞こえた方に目線を向けると遠くに砂煙。更に遠くの上空には渦が出来ていた。

「あれがナルファに集ってるハエ共ね」辛辣な言葉をキセキは自然と吐き出した。

「雑魚の相手はあいつらに囮になって貰えばいいわ。私は魔王を消す事に専念させてもらうわ」キセキは冷たい声で言い放ち、空をゆったりと飛んでいる。魔王城は遠くからでは見えないようにフィルターをかけられているようで、肉眼では見えないらしいが、キセキには関係ない。それは千里眼が使えるからだった。


キセキは千里眼を使い、レイドの目線を見た。すると、そこには城が建っていて、何かと戦っている最中だった。

「ちゃんと囮になってくれてるわね。お陰様で魔王城の在処もわかったし」キセキはそう言い放って魔王城へと移動しだした。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ