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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
215/288

正義と悪

214話




 「勝った者が正義だというのなら我々は正義か?悪か?」魔王がその一言を言い放つと同時に別々に起こる戦が衝突音を上げた。




 魔界の空気で現界での表す雲がよどんでいるように見える。その雲がトライネの掲げた片手に集まるように渦巻いている。

「おれは...魔王軍の幹部...負けるわけにはいかない。正義のために...」トライネはそう言いながら顔を歪ませる。その顔は憎しみと焦燥感で埋め尽くされていて、気迫が先程までとは全く違う。




 「正義はあなた方ではありません。正義は私たち魔界の民ですよ」スーツの男はそう言い放ち、より一層微笑む。それと同時に辺りに高潮の様に黒い霧が覆いかぶさる。そこにハルが一歩足を出して、霧を吸わない様に口を覆い隠すラフノとヤーズの隣を過ぎ、ハルは口を覆い隠さず息を大きく吸い、口を開く。

「私は正義がどちらだとか、そんなのが欲しいわけではない...。私はただ...」




 「正義のためとか知るか。僕は冒険者になりたいだけだ。その途中経過にお前たちがいただけだ」僕は強く、また、決意を露わに攻撃を今にも仕掛けてくるだろうトライネに言い放った。




 「レイド達と共に平凡な冒険者人生に生きたいだけだ!」ハルは強く言い放ち剣を頭上に持ち上げ、振り下ろした。その先にはスーツの男が構えていた。

「戯言ですね...」スーツの男は誰にも聞こえぬ声で言い放った。そして迫りくるハルの斬撃を黒い霧で覆い、斬撃をボロボロにして地面に落ちた。

「物体がないはずの斬撃を...」ヤーズが口を覆いつつも、目を細めながら言い放った。

「どうしました?この期に及んで怖気づきましたか?」スーツの男はそう言い放ちながら黒い霧を放出することを絶やさない。


 スーツの男が聞いてきたことでラフノが動いていた。

「怖気づいたわけないだろ?これはまた踏み出すきっかけなんだよ!」ラフノはそう言い放ちながら光の剣を一本だけ持って、スーツの男に振っていた。そして、その光剣がスーツの男に当たった瞬間だった。複数回、光が瞬き。その光の輝きごとにスーツの男に衝撃が走っていた。攻撃を与えるとラフノはその場から空中に身を移した。ラフノの足は常に光が瞬いていてその衝撃で浮いているようだった。

「そうですか。やはり悪には情けなど無用ですね」スーツの男はそう言い放ち、微笑んだ。


 スーツの男は身構え、次の瞬間ラフノたちの腕を全て切り落とした。軽い音で痛みさえも感じず、ただ今までもなかったかのようなそんな不気味な感覚に襲われる。そして、空気が切れた腕に当たった瞬間痛みが込み上げてくる。筈だった、がそれはハルの時間操作の力によって腕は元に戻った。

「助かる...」ラフノはハルに言い放った。そして、黒い霧が晴れた。

「なぜです...何が...。そうですか、時を戻したのですね?先ほども斬撃を時間で止めて壁を作ったとおっしゃっていましたし...。でも種がわかればなんてことないですね。その力剥ぎ取ってあげましょう...」スーツの男は何もない空間から歪な大鎌を取り出し、鎌をラフノたちに突き出して言い放った。




 トライネはレイドの「冒険者になりたいだけ」という言葉に心を一度刺された。しかし、それを押し込めて顔を歪ませて、口を開く。

「何が冒険者だよ...ただの殺戮だろ」少女は冷たい目で強く言い放ち、頭上の渦を動かし始めた。渦はまるで空が落ちてくるようで、それでいて生きているような気がした。僕はその場に滞空していたが、即座に地面に降りることにした。それは魔王城のそばだと、壊して魔王にダメージが与えられると思ったからだ。これだけで終われば訳ないが、少しでもダメージを与えていれば後で有利になるかも知れない。だから、地面に降りようとしたのに、渦が僕だけを引き付けて移動させてはくれない。それとは逆に僕の身体は渦に引きつけられていく。

「そうか...なら」僕はそう呟いて渦に飛び込んでいった。


 渦の中僕の身体がもまれ。風がまるで刃物の様に僕の身体全てを斬りつけてくる。血があふれ出す。痛みがないわけではない。でも、今ここで時間を戻して身体を治したとしても何も変わらない。さっき一度トライネは動揺した。それを僕は見逃さない。魔族にも人間と同じ理性で、本当に正義を望むのならお前の正義を見せろ。もし、お前の心が動かなければ僕は本当にお前を殺す。そして、控えている魔王さえも...。




 「愚かだ...なぜ飛び込む?死ぬかも知れぬというのに...なぜあの人間は飛び込み、治す力もあるのになぜ治さない...」魔王が目を開きっぱなしで言い放つ。ただ魔王の目には目の前の景色ではなくレイドと戦うトライネの姿が映し出されていた。

「もしかすれば魔王様...あの人間は共存を...」魔王の側近は魔王の目を通じてみる光景に、そう言い放つが即座に口を噤んだ。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


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