魔族とアンデッド族のハーフと人間のハーフ
208話
「ここはどこ?帰してくれよ...おれは本の続きを読みたい...」少女はそう言って本を抱きかかえている。
「でも、お前は僕を殺した。だから、ここでお前は死に、僕は生かせてもらう」
「それは無理な相談...こちらも何人も殺されたから復讐しただけ...」少女はそう言って気だるげに僕のもとを去ろうとするが、そこは壁で乗り越えられないようになっていた。
「早く帰して」
「無理な相談だ」少女の言葉に僕はすぐさま反応した。僕は微笑みながら口を開く。
「君は僕を殺した。よって、死刑」僕はそう言って目を瞑った。その瞬間に少女の煩わしい声が消えた。そして、意識は現実へと戻される。
「これで上がれる...」僕がそう言って魔王城に足を踏み入れると脳天に槍が刺さった。
「だから、ダメだって...」意識が途絶える瞬間に見えたのは先程裁いたはずの少女だった。そして、それを境に僕の意識はまた白い空間へと転移する。
「なんでだ?なぜ二回も殺した」僕は少女を睨みながら言い放った。
「それは魔王城に入って来たから...」少女は淡々と言い放った。
その中僕は疑問が疑問を呼んでいた。今まで僕を殺してきた敵は大体が死んでいなくなっていた。しかし、目の前にいる少女は気だるげな眼で二度目の白い空間にて目を合わせている。
「早く殺して...そうすれば元に戻れる...」少女はためらいもなく、殺せ、と言い放つ。確かに僕も殺したいが、殺しても無駄なら、それはこの場で閉じ込めておくのがいいかもしれない。なぜなら、どうせ仲間が来るからだ。朝になれば仲間はすぐに魔王城に来る。その時まで復活させないほうがいい。精々足?かせてもらおう。
「あのさ、出す気ないならもう出る...」少女は僕の耳を疑う言葉を言い放った。この白い空間から出る、と言い出したのだ。出れるはずがないと思いながらも僕は脅威だと思っていた。
「出られるわけないだろ...ここは僕の...」
「自分だけが成せる空間だと思ってるならそれは慢心...。こんな空間。おれにもすぐ作れる...」少女はそう言って手元に黒でもなく赤でもない。黄色かと思えば緑。緑かと思えば青の様に色の変化を遂げる箱を手元に出した。
「ほら...」少女はそう言ってその箱を僕の方へと飛ばしてきた。僕は身構えることなくその箱を力強く、握りつぶした。その瞬間世界は様々な色に囚われた空間になる。
「これがそんなに強いものとは思わない...ただ、これで面倒なお前の技がなくなった...だから、死んで...」少女はそう言い放ち、槍を出現させ、手で槍に触れずに槍を操り、僕の顔に飛ばしてきた。
一夜にしてラフノが掲げた戦争は消え去った。それはワルドという名の人物によって。
「何が起きたの??」ヤーズは顔から力を完全に抜け、ただ呆然と立っていた。それはラフノとハルも同じだった。獣人族と人間が踊っているところにナルファも入っている。なぜかこの光景を平和に思えない。まるでこの光景は
「地獄絵図...とでも言いたそうね...」突如その声が聞こえた。ハルが一番にその声に反応した。ハルが見たその目線の先には漆黒の翼を真横に伸ばし、白く月夜に輝く純白の肌。指の先には尖がった爪があり、口元には牙がある。
「今、誰って思ったでしょ...そう思うのも無理ないわよね...だってあなた方に会うのは初めてですもの...」女の様な口調だが、声は少し低い、その姿は男だった。それも、縦に長く横は細い。そしてラフノが口を開く。
「ヴァンパイアか?」ラフノが注意深く言い放つとすぐに回答は帰ってきた。
「そうね...そう思うのも無理ないわね...でも、残念...あたしはアンデッド族と悪魔族のハーフと人間のハーフ...だから、この世の中で魔界と現界を行き来出来る数少ない魔族よ...」男はそう言って頬を赤らめて微笑んだ。
「魔界??現界??」ハルが疑問を言い放った。それに応えるように男が口を開く。
「前者がこの世界で、似て非になるもの...後者が今立っている世界よ...っと...自己紹介が遅れたわね...。あたしは”デスティ”よ...よろしくね...」男は自分をデスティと名乗り、不敵に微笑んだ。
「話が完全に脱線する前に聞かせて。どうすれば私たちも魔界に行ける?」ヤーズが話をすぐに戻し、デスティが言った世界について聞きだした。するとデスティは「そうね...」と言葉を継ぎ、
「単純に伝えるなら、魔界はあたしたち魔族が蔓延る世界よ...。それに比べて現界は人間族、亜人族も含まれるわね...。そのそれぞれの生命があるわ...。ただ、何かの拍子に世界の均衡が壊れ、魔界から現界に流れ込んだ空気が元居た動物に何らかの影響を与えて、モンスターとしてこの世界にいるみたいね...」デスティは微笑みながらも紫紺の瞳を輝かせた。
「つまり...その流れ込んだところを探せば魔界に行ける?」ラフノが顎に手を付けながら言い放った。
「残念だけど、その方法はお勧めしないわ...。まず一つ...」デスティは声を出しながら指を一本立てた。
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