世界の代表
207話
魔王城の中に入ったはいいが、どこが上に上がる階段かわからないでいた。
「なんだここ...」僕は自然と口に出ていた。上がったと思えば下がり、下がったと思えば上がったが道はなく下がり続ければいつの間にか一番下っぽい場所に出てしまった。攻略法が全く分からない。お手上げとまで言える。そんなことを考えていると声が聞こえた。
「あまりうろつくな人間今外に戻してやるからもう来るな」少女のそういう声が聞こえると同時に僕は外を眺めていた。
「次、入ってきたら容赦しない」その声で一瞬背筋が凍るが、直ぐに振り向き、再度魔王城へと踏み込んだ。その瞬間僕の身体はバラバラにされ、脳天を槍で突き破られた。血が地面に広がり、意思を失う。
「さて、早く帰って本を読も...」少女が目を瞑りながら魔王の元へと帰ろうとする。その瞬間法廷が白い空間に現れた。
「さぁ、開廷だ。勝負が早い奴は嫌いじゃないぞ...幹部」僕はそう言って椅子に腰かけた。
「これはどういう...」少女が顔には表さないが困惑しているのは分かっていた。
「これは僕を殺したことによるお前の処刑裁判だよ」僕はそう言い放ち、微笑んだ。「へぇ」と少女は言葉を継ぎ、
「それは無理だよ。だっておれは一番本に愛された魔族だからな」少女がそう言った瞬間手元の本が宙に浮き
パラパラと捲れていく。そして一つのページに留まる。
「お前の未来を見た。お前は己のチカラによって死ぬ」少女はそう言って僕を指さした。
「離せ!出ないと獣人を殺すぞ!」ルルは取り乱すように言い放つ。ラフノはその言葉を楽観視していた。なぜならその場には代表しか立っていないのだから。
「離してほしければ要求を呑んでもらう」ラフノはそう言ってルルの顔面に顔を近づけた。ルルはその距離を即座に離した。
「まず一つは獣人を解放。二つ目は獣人の保護だ」ラフノが指を順番に立てて言い放った。するとルルは叫びだす。
「それは出来ない!それにその要求を呑むのはここの獣人を皆殺しにしたらだ!」
「なぜ殺す?」ラフノはそう言ってルルを睨む。
「それは...殺したいからだ!」ルルは私欲を口にし、多くの獣人を怯ませ、怒りを燃やした。
「分かった。ならお前を殺せば解決か?」
「それでは何の解決にもならない!」
「じゃあ、獣人を殺すことに何の意味がある!」ラフノは声を荒げた。その声はスノイヤに鳴り響いた。それは安全に家に入っている市民にも届いた。
「この代表の重みさえ知らない旅人風情が!こうしてくれる!」ルルはそう言って懐から銃を取り出し、檻に入った獣人を撃ちだした。それと同時に声が轟いた。
「そこまで!」その声は聞き覚えのあるものではなかった。しかし、ルルは知っているのか名を口に出す。
「ワルド殿?」ルルはそう言って落ち着きを取り戻す。そしてその瞬間ルルの頭は弾け飛んだ。
「我の名はワルド・サドコズ。世界の治安を定める責任者だ」ワルドはそう言い、歯を出して微笑んだ。
「我はこの世界にたった一つ法を定めた。それはいかなる時も殺生をしてはならぬということだ。なのになぜ守れぬ。わからぬ。だから、今日をもって世界の法に変更を加えよう。人を殺すことはあってはならない。いかなる時もだ。そして、奴隷制を全て廃止だ。そしてもう一つ。誰かが死ぬ原因を作ったものにも罰を与える。それは今すぐ適応されることだろう」ワルドがそう言った瞬間町の人が家から出てきて獣人族と踊りだした。ラフノ含めヤーズ、ハルはその姿に呆然としていた。
本が多く仕舞われてあるところにバチバチと音を立てて穴が開く。そしてその穴から老婆が入って来る。
「ここは...随分と増えたみたいだね...」老婆はそう言って雲を出現させ、その雲に乗って移動する。その瞬間背後から声がした。
「おっと、君は誰かな?ここには本に選ばれた人か、または創造主しか入って来れないんだけど...君は全くどれにも属していない...。もう一度問おう。君は誰かな?」そう言い放つのは司書ラナだ。
「おやおや師匠の名を忘れたって言うのかい?」老婆はそう言ってラナに顔を向けた。
「覚えていますよ。マリアドス師匠。でも今はあなたが来るべき場所ではないことぐらいわかりますよね」ラナは言葉を並べる。
「じゃあもう少し...」
「ダメです...師匠はもう、死んだのですから」ラナがそう言って瞬間マリアドスは塵となって消え失せた。
「まだ消し忘れがあったのは気付かなかった...僕のダメなところだ...」ラナはそう言って指でマリアドスと書かれた本の題名を指でなぞり、消し去った。その瞬間本は白紙になり、もう一度再利用できるようになった。
「さて、僕は僕のすべきことをしないと、創造主が起きてしまう。君はそうなる前に早く魔王を倒してもらわなきゃねレイド...」ラナは含みげにそう言い放ち、本の整理を始めた。
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