獣の姿
205話
「ナルファ?そこで何しているんだ?」そう言い放ったのはハルだ。ハルは船着き場にいるナルファの背中を合わせて座る。そこでナルファが口を開く。
「ハルさん...。死ぬことがわかって怖くないのですか?」ナルファはハルの死について聞いた。これはナルファが慕っていた船長が死んだことによって、心に穴が開くほどの痛みからなる言葉だ。
「...私は...。私が死ぬことが分かったのは予知能力からだ。...それは実際この力を手に入れたときに既に分かっていたことなんだ...。ただ、私に後悔なんてない。だってこんなに仲間に恵まれたんだからな...」ハルはそう言い放ちながら微笑んだ。その言葉を聞くとナルファが口を開く。
「では、怖くないのですか?死ぬことが」ナルファはそう言って俯く。それに応えるのはハルだ。
「怖くないわけない。でも、仲間が最後まで見送ってくれるのなら悔いなんてない」ハルは強く言い放った。それは今の誰よりも強い意志で、死ぬことが分かっているからこその”生”への強さが生々しく伝わった。
さて、どうする?この鬼神の力も奪われるとするとどうすることもできないぞ...。
僕は自分に語り掛けながら戦況をひっくり返す方法を考えていた。
「あら?もうおしまいかしら?」サンドラはそう言って攻める様に歩いてくる。敵の目の前で後手に出るのは得策でないことは分かっている。わかっているからこそ、この場をどう脱するかさえも考えられないのだ。
「...まだ終わるわけがないだろ?」僕はそう言い放ち、周囲に氷を生成し、サンドラにぶつけようとしたが、サンドラの周囲が爆発を起こし、氷が全て無くなる。壊れた氷が光の様にチカチカと光る。
「もうその腕も使わないのかしら?もしそうなら、もう奪わせてもらうわよ」サンドラがそう言った瞬間に僕は歪な右拳を握り、足を曲げ、サンドラに頭を向け、足を伸ばし、地面に衝撃が走る。それと同時に僕の右拳はサンドラの鞭に当たっていた。今までの様にピンチだからこそ力が発揮できることはなく、周囲に爆風が当たるだけのようだった。
「残念だけど...弱くて話にならないわね。そろそろ終わらせようかしら?」サンドラがそう言い放った瞬間僕はサンドラの鞭を左手で持ち、無理に引きはがそうとするが、勿論のこと引き剥がせるはずもない。だから、僕は微笑み口を開く。
「そんなにその鞭を離したくないか...!なら離さないと良い!僕はこのまま離さず...巻き添えにしても殺す!」レイドの放った言葉は命を軽々しく殺すようなもので、その言葉に偽りという言葉は含まれていない。
僕の腕が赤く輝き、その光がサンドラに流れ込む。
「ど、こにそんな力が...!」サンドラは慌てふためいた様子で仰け反るようになる。僕が、よし、と思った瞬間。サンドラが微笑んだ。
「なんてね...」サンドラはそう言って僕が流し込んだはずの光は弾け、僕から発生していた光は全て消え失せた。
「また奪ったのか...」僕は自分の手を見ながら言い放った。
「そうよ。そして、もうおしまいね。あなたの力は分かったわ...。弱くて話にならない...。だから、消えてね」サンドラは最後の言葉のみを強く発音し、僕の頭に手を当てた。
その瞬間に僕の中に何かがざわめく。
身の毛がよだつ。目が熱い。手が肥大化して来る。身体から黄色と白と黒が混じった毛が生えてくる。
レイドの姿は2メートルほどで手に獣の様な爪が生えた姿。その姿は、サンドラの前に倒した獣人の姿とほとんど瓜二つだった。そしてレイドは意図せず言葉を放つ。
「ケッ!情けねぇ!代わりに俺がやってやるよ!この俺!グエンが!」獣人の姿のレイドは自分を親指で指して言い放った。
「まだ着かんのか?」ルルは馬車から少し身を乗り出し、御者に聞いた。すると御者は一瞬ルルに向き、口を開く。
「急いであと1時間ほどですかね...」御者はそう言って渋い顔をする。
「そうか。じゃあ、この馬車の速さが強くなればいいんだな?」ルルに続き、ランドが身を乗り出し、そう言い放ち、懐からオーブを取り出し、魔力を込める。その瞬間馬車が急激に速さを増す。その瞬間ルルはバランスを崩し、馬車に転がる。馬車の速さの変貌に驚いた御者が口を開く。
「な、なにを!?」
「なぁに、少し活性化させただけだ」ランドはそう言って片眉を上げた。
「ランド殿はそんな力があったのですか...?」ルルは落ちた帽子を拾い上げ、服に付いた汚れ払いながら言い放った。
「そんなに驚く事かね?これは生き物を無理やりオーブに変え、他の生命に活力を与えるオーブですよ。我が町での自己防衛用の魔法道具ですよ。今はまだ売られてませんがね」ランドは片眉を上げたまま言い放った。
ルルは顎を触りながら「ほほう」と口を開き、興味深くランドの持つオーブを目を細くしながら言い放った。
「雰囲気が...変わった...?」ヤーズは目を細めて言い放った。それにラフノは反応し、身構える。
町の外には砂煙が舞っていて、それは直感で他の町の使いだということが分かった。そこでもう一つ分かったことがあった。
「和解をしようとはしないんだな...」ラフノはそう言って剣を取り出した。
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