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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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強奪の力

204話




 「さぁ、本気出すぞー」僕は気だるげに言い放った。

「本気本気ってどれが本当の本気なのかしら?」サンドラは僕に跨ったまま言い放ち、鞭を小刀の様に逆手に持ち、振り上げ、僕の顔に落としてきた。僕はそれを弾いた。

「あら?」サンドラは困惑の表情をして鞭を見る。僕はそれを見て微笑む。

「ラフノが悪魔に憑りつかれた時に僕は学んだ。その力を利用すれば、僕は誰かに乗っ取られることなくその分の力を使えることを。だから、今やってみたよ...。お、僕が鬼神を制御できる。今の僕の意志の強さなら...!」僕がそう言ってサンドラが跨っている身体を無理に起こして、口を開いた。そして、その勢いのままサンドラを黒の力によって吹き飛ばす。


 サンドラが吹き飛んだ所を見ると砂煙が上がっていたが、サンドラはしっかりと鞭で防いでいた。

「あら、これが本気?」

「まだまだ...」僕は小さくつぶやいて足を地に着け、伸ばす。その瞬間黒が周囲に飛び散り、地面を破滅させた。それは目の前にいたサンドラも同じく黒の拳に飛ばされていた。

「あらあ...」サンドラが口を開くたびに僕は足を地に着け、移動し、殴る。しかしそのすべての攻撃は鞭によって防がれていた。

 レイドの姿はその時、右腕が黒く闇に包まれ、まるで鬼神の手のように爪が出来、左の腕とは段違いに歪になっていた。頭には角が生え、黒のオーラを漂わせている。

「これが本気かしら?」サンドラはそう言って鞭を肩に担ぎ、言い放った。僕は微笑み口を開く。

「そんなわけないだろ?これからお前は僕の攻撃に耐えられない」僕はそう言い放ち、足を縮こまらせ、伸ばした。その瞬間風が吹き荒れ、打撃音が轟く。

「あら、止められたわよ?」サンドラは余裕の表情でそう言ってくるが、それを無視し、即座に次の一手へと進む。


 僕の歪な右腕を握り、足に重心を持ち、衝撃をサンドラに与えた。

「ん...!」サンドラは予期せず声を上げた。僕はその声を聞くと、微笑んだ。

「どうだ!」僕は優越感に浸るために声を上げた。するとサンドラは鞭を地面に叩きつけて口を開く。

「あらあら、幻影さえも分からないのかしら?」そう言うサンドラの声は直ぐ背後からした。僕がそれに気づき、振り向くと同時にそのまた背後からは鞭で攻撃してきた。

「...ッ!」僕は弾けるような鞭の音のと共に足にダメージを与えられる。鞭の当たった部分が皮膚を腫れさせ、血を噴出させる。それも僕はすぐに元に戻した。

「厄介なことね。その力は...だから、その力奪わせてもらうわね?」サンドラはそう言って鞭を持っていない方の手を開き、握った。その瞬間視界が歪み、倒れそうになる。


 そのふらつきで隙を見せてしまった。その瞬間に僕の左腕と右脚が鞭によって傷つけられる。

「何?傷が...」僕は思わぬ事態で困惑の言葉を吐いた。さっきサンドラが言った”奪う”という言葉が本当なら、僕の”時間を戻すチカラ”が奪われたのだろうか?

「あらあら、血だらけじゃない...これで戦況は有利になったわね」サンドラはそう言って鞭を蛇の様に弾く。僕は傷元に手を持って行ったが、相手が力を奪う能力を持っているのなら今は治療系の力は使わないほうがいいだろう、と考え止めた。

「まだだ...まだ僕は負ける気はしないぞ?」僕はそう言い放ち、歪な右腕を握った。



 馬車の音が鳴り響く。その馬車の荷車に二人の代表が顔を合わせている。更にその後ろの馬車には大量の獣人奴隷。二つの馬車を囲うように走っているのは馬だ。その上には騎士が一人づつ乗っている。空は真っ暗で馬車の明かりがなければ移動できない程だ。

「こんな夜に反乱を起こす獣人にはお仕置きをしてやらんとな。お前らのした事により同族が殺される様を見せてやろう」ルルはそう言って小さい杖の柄で上に伸びていた黒い帽子のツバをクイッっと上にあげた。すると前にいるランドが少し微笑みながら口を開く。

「まぁ、そう焦るんじゃない。どうせ亜人は異形だ。蝕まれるべき種族なんだ」ランドはそう言って伸びた髭をもさもさと触った。


 月明かりでほんのりと明るい世界が不穏な空気をスノイヤへと持ち運んでいく。それをラフノたちは勘づいていた。



 「朝までに来そうか?」ハルが町の外を覗きながら、ラフノに言い放った。

「それはどうかわからないな。ここから他の町までどれくらいかかるかもわからないし、今は備えることくらいしかできないな」ラフノは顎に手を付けながらそう言い放ち、町の外を見た。

 ラフノが風を感じていると獣人族の長であるアルドリスが背後から声をかけてきた。

「私は何と言えば良い?」アルドリスはそう言ってラフノの隣に立つ。「それは」と言葉を継ぎ、ラフノは続きの言葉を放つ。

「お前が決めることであって、人間の俺が決めることじゃない。お前がこの一族の長だろ。そこはしっかりしろよ」ラフノはそう言ってその場から離れ、船着き場へと歩き出す。



 船着き場には一つの影があった。それは直感でナルファのものだとわかった。月明かりが海に反射して写り、揺れていた。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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