準決勝のトラブル
闘技場ストーリーがそろそろ終わりそうです
19話
もうすぐ1時間経つ。そして、会場は元通り。まるで何もなかったかのようだ。記憶があるのはその場に残っていた者だけ。観客は少数人数が困惑している様子だったが、すぐに掻き消えたみたいだった。今は闘技場の試合に集中しよう。ヤーズ対ラフノだ。
「修繕魔法という存在があったとはな....」ラフノはヤーズを目の前にして言った。
「今は考えても仕方ないです...。後でしっかり調べる必要がありそうですし...」ヤーズが発言し終わると同時にベルが鳴った。準決勝だからか、観客の盛り上がりは何時もより大きくなっていた。そして、ラフノが動く。
「お前の溜め攻撃は強力だ。お前が力を溜める時間など与えるわけにはいかない」ラフノはそう言って剣をヤーズに叩きつける。
「本当に本気ですね....!私が受け止めれると分かった上で全力なんですか...!?」ヤーズがラフノの剣を弓で防ぎながら言った。
「勿論だ。ドラゴンの爪から作られた弓なら俺の攻撃など、ものともしないと思ったからな...」ラフノはそう言いながら足を前に蹴り出す。その衝撃に耐えられずヤーズは地面に背が着く。そしてラフノがすぐ様ヤーズの脳天を剣で叩こうとした瞬間ヤーズは一言言い放つ。
「もうおしまいです...」その冷たく放たれた言葉にラフノは1度気圧され、ヤーズから放たれる光の矢をラフノは防ぎ切れず、ラフノの頭を突き抜けた。ラフノはそのまま後ろに倒れた。しかし、すぐ起き上がりラフノの攻撃が再開する。
「今のでおしまいで良かったじゃないですか!」ヤーズが叫ぶとラフノは微笑みながら言った。
「新しい技のお披露目といこうか!」そう言うとラフノが使っている剣が光り出す。そして次の瞬間、剣は弓をすり抜け、ヤーズの脳天に直撃した。
「これが、新技の不殺の剣だ」ラフノはそう言い放ち、会場からヤーズを背負いながら出た。
もう1時経つと僕とラフノの決勝戦だ。今日は色々あり過ぎてもう眠たい。1時間寝させて貰おう。僕はそう決めてベンチに横になって眠った。
ここは何も無い空間。僕は死んでいる訳では無い。そう。眠りに付くとたまに現れる死者の偶像。そこにはヒョウリがいた。
「ちょっと話そうか....」僕はそう言ってヒョウリに近づいた。
「ええ」お話に付き合ってくれるみたいだ。
「妹の命を取って悪かったな。ってそれだけで済んだら....」
「別に?今では一緒に居られてるし」僕の声を遮ってヒョウリは冷淡に答えた。
「あの、昔の話を聞かせてくれるか?」僕がそう言うとヒョウリは僕を睨みながら口を開く。
「わかった。簡単に話す」そして、昔、ヒョウリにあったことを話し出した。
「これはまだ妹の“ ヒョウカ”が産まれて間もない頃の話しよ。当時、まだ発展途中で町の子供も発展の為に働かせられていたわ。ただそれはみんなの為の発展なんかじゃなかった。近くに居る魔女の為の発展だった。森の中にある魔女の家は私たち町民の敵の本拠地だった。最初はみんなで協力して壊そうとした。けれど、その現場を見た魔女は町を半壊させた。そして、魔女は私たちにこう言った。町を発展させろ。さもなければこの町の人間を1人ずつ喰ってやる。と言って町民は発展させようとなりふり構わず働かせた。そして、ある日事件は起こった。この事件は私のせいね。働くのに耐えられなくて私は町から外に出たの。そして、1時間経った位に私は町に戻った。しかし、そこにはまだ1歳にも満たないヒョウカのみが町に残され、町は壊れていた....。こんなところかしら」ヒョウリはそう言って僕に背を向けた。初めて聞いたウトムで出会った少女の名前ヒョウカ。僕が心の中でヒョウカと口を動かすと、ウトムで出会った少女、改め、ヒョウカの声が聞こえた。
「私の物心ついた頃にはおばあちゃん....。いや、魔女が私と一緒にいた。心の底に仕舞われた私の記憶を呼び起こしてくれたのはあの写真だった。私にはちゃんと家族がいたのを知った時、魔女は私の体を乗っ取って町に入ってくる人みんなを氷漬けにして破壊した。私は体を失い、誰かが死んでいく所を見るしか無かった。だから、私を殺してくれたあなたには感謝してる....。ありがと...」ヒョウカは遠く彼方を見つつ、言った。殺した事で感謝されるとは思わなかった。よし。
「なぁ。そのお礼としてでいいからお前の力を貸してくれないか?」僕はヒョウカをしゃがんで見ながら言った。
「分かった。いいよね?お姉ちゃん...」ヒョウカはヒョウリに向いて言った。
「ええ」ヒョウリはヒョウカに優しく応えた。
あ、夢が覚める。
「また、話そうな」僕はその一言を言ってないもない空間から去った。
殺してしまった人と話すのは胸が苦しい。でも、僕はその罪とその人の生きた証と言える力を操る。僕は人殺しだ。僕が悟りを開いていると声をかけられた。
「大丈夫か...?さっきから声をかけていたのだが...」ハルが心配そうに話しかけてきた。
「大丈夫。寝てただけだよ」僕がそう言うとハルは頬を緩めた。本気で心配してくれていたのだろう。そして、もう1時間が経とうとしている。僕は門から会場へと足を踏み入れた。
「決勝だな」ラフノは僕の背後から声を出した。
「ああ」僕のその一言で決勝のベルがなろうとしていた。
どうでしたか?
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