怒りというもの
今回は少し短いです。
18話
ラフノとヤーズが仲間って事は、仲間同士闘うのか?メリットあるか?
「ずっと、手合わせしたかったんだ」ラフノは剣の柄を触りながら言った。
「今更って気がしますけど?」ヤーズは面倒臭そうに言った。
「旅仲間になってどれくらい経ったんだ?」僕で隠れていたハルがスッと出できて言った。
「もう2年位じゃないか?」ラフノがそう言うとヤーズが口を開く。
「まだ2年も経ってないですよ?もうすぐで2年って感じです」ヤーズはラフノの言葉の訂正をした。僕がラフノ達に質問を次々していると、突如横から声がした。
「やぁ。レイド君...?」そこにいたのはマストラだ。マストラの顔は笑っていたが、内面では怒りに怒っているようだった。残念ながら僕はそこにツッコんでやれるほど、寛容な心の持ち主では無いんだ。しかし、そこでマストラは手を差し出してきた。
「握手?なんのために?」僕は疑問に思って聞いた。マストラはニッコリ笑って
「そうさ。君は強かったからね。強者への尊敬だよ...」マストラは淡々と言った。この手を握ればここで騒ぎを起こす事になる。
「ハル...。2人とこの周辺にいる人を離れた場所に移動させてくれないか?」僕は背後にいるハルに静かに言った。すると、ハル達含め、周辺に人がいなくなった。
「なんのつもりかな?」マストラは顔を歪めながら言った。
「復讐のつもりみたいだけど...。お前は僕に勝てない....」僕がそう言い放つとそれは始まった。会場内に溢れかえる黒い力と衝撃。僕はその衝撃に飛ばされ、壁を突き抜け、会場の地面に触れる。会場の観客席はひび割れ、観客は悲鳴を上げて逃げ惑う。そこに穴の空いた壁から黒い瘴気を纏ったマストラが勢いよく飛んでくる。僕は咄嗟に横に転がって避ける。マストラが攻撃した部分は抉られ、黒い瘴気が周辺に飛び散る。僕は体を起こし遠くへ避ける。そして、マストラに向き直る。
「正気の沙汰ではない...!」僕がそう言い放ったのには理由がある。マストラの目は抉れ、黒く光っているからだ。もう人では無くなったのかもしれない。僕がそう思っている間に黒い瘴気がマストラに再び集まる。そして次の瞬間、第二撃目が来た。僕はマストラの攻撃が速すぎて避けられずそのまま受けるかと思われた。その時、ラフノがマストラの攻撃を剣で防いでいた。マストラの剣とラフノの剣が交わると、甲高い音が会場に鳴り響く。マストラの表情は黒い瘴気に塗れて読み取れない。その反面、ラフノの表情には必死さが読み取れた。
「何が起きたんだ!」ラフノは歯軋りをして決死の声で言い放つ。しかし、情報量が少ない。突然マストラが豹変したとしか言えない。僕は無言でナイフを取り出し言った。
「今はマストラを止める事だけを考えよう...!」僕がそう言うと、マストラが叫び出す。
「こ"ろ"し"て"や"る"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!」マストラの憎悪に僕とラフノは気圧される。勝てるとは思えないが...。ふと高台を見上げると、ヤーズが光を集めていた。ラフノたちは恐らく時間稼ぎをして、ヤーズの渾身の一撃をマストラに撃つようだった。僕はその策に応じようと思う。
「いいか?僕はこのまま時間稼ぎに賛同するが...。僕からは何もないからな...」僕がそう言うとラフノは冷静に口を開く。
「大丈夫だ...。ヤーズはあんなやつだが、凄腕だ」ラフノがそう言い終わると同時にマストラから攻撃が飛んできた。マストラはさっきから突進しかしてこない。動きが単調で避けやすいが、何かがある気がする。そう思った最中、道化師が僕達とマストラの間合いに現れる。
「ちょっと....。さすがにオイタヲシスギデハ....?」冷たい道化師の声。
「あなたは一生笑われててください...」道化師がそう言うとマストラは道化師に攻撃を仕掛ける。しかし、道化師に近づいた瞬間マストラの体は消えた。
「一体なにが....?」僕がそう言うと道化師が仮面の下から口を開く。
「彼には死ねずにずっと笑われ続ける魔法の餌食になってもらいました....。私の会場をこんなに壊した罰です...。では....」道化師はそう言って姿を消した。そして、その数秒後、会場のひび割れが修復されていき、最終的には元通りになった。その場に僕らは立ち尽くすしかなかった。
どうでしたか?面白かったらなら良かったです!
次回も読んでくれるとありがたいです!