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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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僕の力なんかじゃない

血なまぐさい闘いが多いです。

15話




ベルが鳴り終わると僕は動く。マストラはまだ動いていない。いける。この一撃に全てを込めて!僕はそのままナイフの刃先を突き出した。僕はマストラを完全に殺す気だ。しかし、マストラは瞬時に盾を構えた。それにより、僕の渾身の一撃は盾に吸い込まれ、武器を奪われた。そして、マストラの一撃。

「君の負けさ!」マストラの一撃は砂埃を高く上げた。こんな威力受けた途端マストラを殺してしまう。受けるわけにはいかないな。そう思い、僕は一気に距離をとる。

「危ない。僕にはもう素手でお前に勝つしかないみたいだな」僕は地面を膝につけて言った。

「だから言っただろ?強がっていられるのも今のうちってね?」マストラは盾に突き刺さった僕のナイフを手に取り、余裕そうに言った。さすがに武器がなければ相手に戦意喪失させるのは余りにも無謀だ。そういえばドイルから貰ったナイフ持ってたっけ?

「もう諦めて....ぼくに殺されませんか?」マストラは僕にリタイアを求めているみたいだ。恐らくリタイアしても殺されるだけだろう。そうなればマストラは死に僕は生きる、というルールに反した事をしている事になる。あの道化師は何かある気がする。ルールには逆らわない方がいい事ぐらい分かっている。僕は少し考え出した。もう、これしかない....。

「よし、このままだと決着がつかないまま終わってしまう。その前に僕はお前を倒す」僕が素手で構えてそう言った。

「はぁ?冗談だろ?諦めろよ」マストラは眉をひそめて言った。そこに僕はグランドの力を全解放する。グランドに僕の体を乗っ取られる可能性があるから使いたくはないが、やるしかない。そう決めた突如何も無い空間が広がる。

「お前は俺に恨まれてる事を忘れたのか?」グランドは僕に言う。

「恨まれてる事ぐらい知っている。だから、僕は命と罪を背負って生きていくしかないんだ。お前の力も使いたい。使いたいから僕はお前と向き合っているんだ」僕がそう言うとグランドは目を閉じた。

「今はいい。だが、お前はいつか後悔する。その事を胸に刻んでおけ....」グランドがそう言って僕の胸に拳を当てる。何も無い世界が晴れる。

そして、視線の先にはマストラ。今の僕は負ける気がしない。

「じゃあ行く....ぜっ!」僕は語尾に力を入れてグランドの力を完全解放した。僕の蹴りは砂埃を巻き起こし、マストラの懐に一瞬で移動した後、マストラの背中を一撃....。したはずが、マストラに盾で防がれた。しかし、その衝撃でマストラは会場の壁の辺りまで吹き飛んだ。

「.....っか!痛いじゃないか!お陰で盾が凹んじまっただろうが!」マストラの怒号が会場内に響き渡る。まるで猛獣のようだ。

「あれ?どうした?強がっていられるのも?なんだったっけなぁ?」僕は煽るようマストラへ聞こえるように声を出した言った。僕の言葉を聞いてマストラは顔を真っ赤にする。そしてマストラが取った行動は

「突進かよ....」僕は呆れた声を出した。突進してくるマストラを僕は避け、背中に肘打ちした。すると、マストラは地面にへばり付き離れなくなった。しばらく間が開き、会場全体に歓声が起こる。そして歓声が止むとまたあの言葉だ。

「「「こーろーせ!こーろーせ!」」」僕が1度投げかけられた言葉。また聞くようになるとは思わなかった。僕は何回もこの言葉を聞くと、突如大声を上げてしまった。

「黙れ!」僕の一言で会場のコールは一瞬で冷めた。

「こいつは頑張って闘い!闘って負けた!それで十分じゃないか!なぜ殺す必要がある!これは情けではない!僕が嫌だから殺さないだけだ!」僕の声に観客は僕にブーイングを浴びせた。僕は密かに笑った。

僕が控えに戻るとハルが深呼吸しているのが見えた。

「次、お前の番か?」僕がそう聞くとハルは頷いた。

「そう。勝てるかどうかって聞かれたら殆ど負けてしまう方が強いけど...。最後まで闘ってくる!」ハルの力強い声を聞き、僕は安心した。

「闘おう」僕の言葉にハルは力強く頷いた。ハルの闘いが始まる。相手は前回の優勝者“ ライト”。恐らく、ハルは串刺しにされるだろう。時間が浅ければ死んでも生き返らせれるらしいが、信じない方がいいかもしれない。僕がそう考えていると、ベルが鳴った。

「君には俺を殺せるか?この間合い。槍と剣じゃあ分が悪い事ぐらいわかるでしょう?早々に諦めてくれると俺は嬉しい...。どうする?」ライトはハルに向かってリタイアを薦めた。しかし、ハルは折れることなく立ち向かった。

「やらなきゃわからないだろ!」ハルはそう言って剣を地面に擦りつけながら走り出す。そして、下から上に斬りあげる。しかし、ライトは後ろに避け、一瞬でハルの肩を突き刺した。

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」ハルの痛む声が僕の耳に届く。ハルは槍に突き刺されたまま掲げられた。そして巻き起こる会場の声援。僕は目を閉じるしか出来なかった。

試合が終わり、連れてこられたハルからは血が大量に出ていた。そこに回復魔法士が現れ、ハルの治療を始めた。僕はその場から離れた。

その後も一瞬で決着がつくものが多かった。そして、残った者は、ナイフのレイドと槍のライト、鉄ナックルのサンムと弓のヤーズ、そして最後にシードで剣のラフノ。それぞれ次闘う者同士だ。そこて道化師が会場の上空に現れた。

「会場にご集まり頂きありがとうございます!しかし、今日はここでお開きにさせていただきます....。では、また明日....」道化師はまたすぐ消えた。空中に浮ける時点で強いのは確かだ。気を付けるのだけは怠らない方がいいだろう。空は既に夕暮れだった。


どうでしたか!?

楽しめたなら良かったです!

良ければ次も呼んでくれると嬉しいです!

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