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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
14/288

闘いの幕開け

主人公強い

14話




 道化師は顔を上げて話し出す。

「まずは参加者全員で10人になるまで大乱闘をします...。その後1時間休憩を挟み、トーナメント戦を行います....。

そして優勝した人がなんと賞金10万コーカです....!

さぁ、明日に備えて今日はもうお休みください...」


 道化師は簡単な説明をして消えた。


 僕ら参加者は参加者同士で視線を送り、解散した。


 宿屋は既に手配してあるらしく、僕らはそこの宿屋に歩いていった。


 僕が宿屋で一息つくとドアがノックされた。


「どうぞ」


ドアが開かれた。


「ちょっといいか?」そこには軽服に着替えているハルがいた。


「明日。お前とも闘うことになるんだな。明日は遠慮なく闘うから覚悟しておくんだぞ!」ハルはを差し出してきた。


「あぁ....」僕は少々元気なく発言して、拳を合わせた。


ハルは合わせた拳を離しドアから出ていった。


 明日はグランドの力で勝ち上がる。


出来ればリタイアしたいが...。


賞金があるのなら話は別だ。勝てそうなら勝ってみせよう。


無理だと判断したらリアイアだ。


 僕はそう決めて眠りについた。


――――――翌朝。


 僕はベッドから起き闘技場へ向かうことにした。


 そういえばご飯食べてないな。昨日の店に行くか。お金払わなくていいみたいだし。


 そう決めると僕は店に行って牛串を頼んだ。僕は牛串を頬張りながら、闘技場に向かった。



 闘技場に着くとそこにはハルと他の参加者がいた。

「あ、来たきた!もう始まるぞ!ここからお前とは敵だな!お互いトーナメントまで残ろうな!」


ハルは口角を上げて話した後に、門の方を向いた。


 他の参加者も会場の門に向いていた。


 ナイフは、持ってる。勝てないと判断すればリタイア。


 僕も会場に向き直る。門が開かれる。闘いの幕開けだ。



 僕を含め参加者達はランダムに散らばる。壁際に構える人、中央で構える余裕そうな人、周りを伺っている人。様々だ。そこに道化師が現れる。


「さぁ!会場の皆様!どうぞ!ご観覧ください...」道化師は大きい声で会場を盛り上げた後、すぐ消えた。


 会場外から頭がおかしくなるほどの声援が聞こえる。


その声が僕ら参加者を緊張させる。


 そして、ベルが会場内に鳴り響く。そのベルの音が鳴り終わると乱闘が始まった。


 僕はまず状況把握をする。大体の人が1対1の構成にあるはずだ。その中で1人僕に向かってくる人を相手するだけだ。


僕が戦うべき相手を見つけた。その相手は両手に短剣を持っている人だった。


「お前を“ 殺して”賞金は俺のものだ!」双剣の男は僕の首を狩りに来た。僕は膝を曲げて、下に避け、真上に双剣の男の首元が見える。僕はナイフを男の首元まで持っていく。


その時、男は腰を抜かし、男が持っている武器を落とした。

「や、やめてくれ!俺は!俺は!まだ!」男は必死にもがく。僕はそこまで残虐じゃない。


そこで僕は提案した。

「リタイアしろ。そうすれば見逃す」


僕は男に背を向ける。


 見なくても分かる。


男は僕の背中を刺そうとしている。


僕はグランドの力を解放し、右脚で左側の空間を蹴り、遠心力で僕の身体は左足が地面についたまま男の背後まで移動する。


「一度は見逃したのに、残念だ」


僕は男の顬をナイフの柄で殴る。


男は口から泡を吹き出しながら倒れた。


そして、会場の人々からから批判の声が聞こえた。

「なんで殺さないんだ!殺せよ!」


しかし、僕はその声を無視して、他の人の闘いを見る。


先程まで中央で構えていた人は槍の使い手で1対1だと相手は手出しが出来なさそうにしていた。


 会場の状況を見ていると、隣で誰か倒れた人がいた。


そして、倒れた人は躊躇なく殴られ、蹴られていた。


僕は見るに耐えず、口を出してしまう。

「殺す必要はないんじゃないか?」僕は既にボロボロになった人の前に守るように立った。


「おい!観客の皆さんは殺す事を臨んでいるんだ!合法的に人殺しができるチャンスなんだ!いいからそこをどけ!」鉄のナックルをつけた男が身振り手振りした。観客も同意していた。


 それでも....


「それでも!殺してはならない!人が人を殺すなどあってはならない!」


僕がそう言うと男は言い返してきた。

「周りを見てみろ!既に死んでる者はいる!お前がどうこう言おうが!その事実は変わらない!今の自分の置ける状況をもっと良く考えろ!」男は手を仰いだ。


 僕は息を呑んで声を出そうとした。


その時、ベルが鳴った。10人まで減ったということだろう。


僕はナックルの男を睨みながら会場から出ていった。


 会場から出ると回復魔法を唱えている人が多くいた。


実際にはみんな死んでいなかったようだ。


 しかし、十分重傷だ。僕はそのボロボロの体を見ていられなかった。


そこにハルが来た。

「はー!闘った闘った!どうだった!?楽しかったか?」ハルは無邪気に聞いてきた。


しかし、僕の気分は晴れなかった。



 10分位経ってトーナメントの構成が決まったようだった。トーナメント構成を見ると、僕が初めに闘うのは“ マストラ”という名前の人だった。


 名前の横に使う武器が書いてある。


書いてあるとおり、マストラの使う武器は剣と盾だった。


 僕のナイフ1本だと、圧倒的不利だ。対策を練らなければいけない。


 そう考えているとハルが喋りかけてきた。

「私の闘う相手なのだが、前回優勝者の槍の使い手....。“ ライト”...。私は死んでしまうかもしれない....」ハルは不安そうだった。


「気休めかもしれないが、お前は負けないよ。自信を持て」僕はハルを励ました。


 そう言いながら僕は唐突に思い出す。

僕の罪。

幾つも殺した。

何人も殺してしまった。

僕は生きて罪を償わなければいけない。


グランドの力は僕が使える唯一の特殊な力。


僕は僕が殺した人達を説得させることで生前その人が使えていた力を僕が使う事ができる。


僕はグランドを説得出来たつもりはないが。今はまだ目を背けさせて欲しい。


 そんなことを考えていると、闘いの時は来た。


 僕が会場に出るとブーイングの嵐だった。


対するマストラという男は歓声を浴びていた。会場の中央に僕とマストラは向き合う。


口を開いたのはマストラだった。

「ナイフ1本でどう勝とうとしてるの?ぼくは君をすぐ殺せるけど....」マストラは僕を見下していた。


「残念ながら僕だって負けるわけにはいかないから....。すぐ決着をつけさせてもらうよ」僕は余裕な顔をした。


「そうやって、余裕が見せられるのも今のうちだと思うけど?ベルが鳴れば君の負けは確定だ。じゃあ、よろしく....」マストラは僕を甘く見ている様子だった。


 僕は左腕を突き出し、右手は自分の頭と同じくらいの高さでナイフを持って構える。


僕の構えに合わせてマストラは左腕を突き出し、身体を窄め、守りの構えを取る。


右手も盾に隠れていてどう攻撃して来るかわからない構え。


 そして、ベルが会場内に鳴り響いた。

どうでしたか?

楽しめたなら良かったです。

次回また読んでくれたら嬉しいです!

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