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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
11/288

覚醒する

スピード感溢れるストーリーです。

11話




真っ白な空間でいろんな人が僕を見つめる。


100人は優に超えているだろう。


泣きながら見つめる人。


怒りを露わにし睨んで見つめる人。


絶望し表情すら作れず見つめる人。


様々だ。


 そして、不意に気づく。


 この人達は王都で僕が殺してしまった人達だ。


そしてその中にアストラストという騎士。


僕は友達のように思っていたはずだった。


 しかし、今ではお前も僕が憎いんだろう?


語りかけても僕の考えてる言葉しか帰ってこないだろう。


それでも僕は語りかけた。

「なぁ、アストラスト....。僕はどうすれば良かったんだ?僕は間違いだったのか?教えてくれよ」僕はか細い声でアストラストに語りかけた。


「君は悪くない。悪いのはきっと....」アストラストの影が口を噤んだ。


「そりゃそうだ。ここに精神がないのに、僕が考えたことしか、知っていることしか言えないのに、本当の事なんて言えるわけないよな....」僕はアストラストの影の前で視線を落とした。


「いいかい?私は精神がない、けど、それでも君に力を託せる。でもまだ君には私の力を渡すわけにはいかない。


君はもっと周りを違う角度から見つめ直すんだ。まずはそこからだ」


唐突に話し出すアストラストの影に僕は耳を傾けた。


しかし、内容は

「結局全部、僕のせいだって言うのか.....」僕は1度は上げた頭をもう1度下げた。


 僕は見直さなきゃいけない。


――――自分の犯した罪を....。


 僕がそう考えると視界が晴れた。



 目の前にミノタウロスが倒れているのが見えた。


 確か、このモンスターの素材でお金が貰えるんだったな?


 冒険者の証をミノタウロスにかざすと、ミノタウロスは冒険者の証から溢れ出た光によって包まれる。


 そして消えた。


 ミノタウロスは丸々消えたのだ。


 僕がその事に驚いていると、冒険者の証が光る。


冒険者の証の裏を見るとお金の額が書いてあった。


 この説明はされてなかったぞ?


格納魔法でお金や小さい荷物なら冒険者の証に出し入れできるようだ。


 因みに現在のお金の量は1245コーカみたいだ。


さて、洞窟から出るか。



洞窟から出ると思わぬ人が僕を待ち構えていた。

「君が、いや、お前があんなこんな事をするとはのぉ?」聞き覚えのある声だ。


「ギルマス、だっけ?」背後から攻撃を仕掛けられた。


しかし僕はナイフを取り出し、背後からの攻撃を捌いた。


「誰?」ギルマスの背後にその人は移動した。


「覚えてるか?俺はソラだ」あれ以来2度目の自分の名前を言ってきた。


それに僕は

「覚えてるよ」僕が一言声に出すとギルマスは喋り出す。


「お前が大量殺人をしたせいでギルドの評判はさらに下がった。お陰でギルドは潰れた。ごく普通の魔力の癖してどうしたらそこまでできるのかのぉ?」ギルマスは片目を閉じながら不思議そうにしている。


「僕にも意味不明な力があるので分かりかねますが、僕を捕まえに来たのなら容赦なく切り捨てさせて貰います」僕がそう言うとソラが一目散に僕に飛び付いてきた。


 刃が交える音が戦いを始める合図となる。


さらにその音と同時にギルマスも動いた。


僕はソラを押しのけ、ギルマスの攻撃をナイフで防いだ。


2対1で既に分が悪いのにも関わらず僕の武器はナイフ1本しかない。


 勝てる要素が見当たらない。


 なんて言うのは嘘で、僕はグランドの力を解放し、地面を殴る。


それにより、地割れを起こして僕は逃走を計る。


 もう人は殺したくない。


その為の逃走だ。


 「待て!お前はなぜ人を殺める!」


その声に僕は

「僕だって殺したくないですよ」僕はその場を後にした。


・ ・ ・ ・ ・


 「あいつの言葉信じるんですか?」


ギルマスは首を振って

「完全には信じんがあの言葉が嘘だと思えるほど老いぼれておらんぞ」ギルマスは穏やかだった。


 なんとか逃げきれたみたいだが、まだ分からない。


また、野宿か?


流石に面倒なのだが?


 そう考えていると既にの野宿を始めている人がいた。

「今日は?やっぱり?猪肉ステーキだよねぇ?」口調がおかしい人のようだ。


「すみません。今夜ご一緒させて貰えますか?」


相手はお退けながら声を発した。

「だただだだだた、誰ですか!?」驚きすぎて何度見もしてきた後、テンパっているのが分かった。


そのままその人は喋る。

「ここここ、こんな所に人なんて!来ないと思っていたのに!あげませんよ!このステーキは私のなんですから!」


テンパりすぎて誤解すらも生んでしまうようだ。


「僕はご飯もう食べたのであなたのは取りませんよ」僕はテンパっている人をなだめた。


しかし、

「じゃ、じゃあ!他の人のご飯は盗るつもりなんですね!あぁ!怖い!止めて!殺さないで!」


テンパっている人には余計不安を煽るだけだったようだ。


「わかった。僕は君に手を出さないし、話もしない。ただそこに座ってるだけの存在だ。安心してくれ」


僕はなだめようとした。


「そ、そうか」テンパっていた人は僕を若干引いたみたいだ。


しかし、心が落ち着いたなら良かった。


 僕はそれから無言になった。沈黙が流れると向こうから話しかけてきた。

 

「あなたの名前は?ちなみに私はナルファです」ナルファと名乗る気弱な男はそう言った。


「僕の名前はレイドだ」


僕が名前を言うとナルファは

「よ、よろしくお願いしますね。レイドさん」そう言うナルファに僕は疑問を抱く。


「今夜限り、だよな?」僕がそう言った。


すると

「え、ここで見放すんですか!?」ナルファは泣きながら僕に抱きついてきた。


 なんですか?この状況!?


取り敢えず街に行くまでの仲にしよう。


 そう決めると僕は口を開く。

「街に着くまでなら着いてきていいけど、途中洞窟とか寄るかも知れないぞ?それでもいいなら....」


ナルファは頷いた。

「ありがとう」ナルファの一言で夜は更けて行く。

楽しんで貰えたでしょうか?

楽しんで貰えたなら良かったです!

次も読んでくれたら嬉しいです。

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