お終いを迎えたセカイ。
100話
誰だ。僕を起こそうとしているのは。僕はもういいんだ。誰もいない。仲間は燃やされた塵一つ残らず。
僕の心の声は外には全く出ず、暗闇に落ちるだけだ。暗闇に落ちる言葉は一粒の雫かの様にも見えた。
「もう、無理か....。」ラフノはそう言って灰に覆われていく身体を動かさなくなっていた。その次の瞬間ハルはレイドの方を向きながら灰化した。
静けさが灰色の世界を包む。灰色の世界で築かれる塔の崩壊が幾度となく繰り返される。
灰色の世界を創ったのはレイドという男だ。男の人生を一言で表すとすれば悲劇か憧れか自由か恨みか、それさえも分からずにいるだろう。どれだけ彼に攻撃を与えようとも彼は死ねない。
あれから2ヶ月経っただろうか。僕はふと考える。
身体が重く、起き上がろうにも起き上がれなくなっていた。その原因は自ら降らしてしまった灰のせいだと分かっていた。
「何時ぶりに目を開けた?」僕は灰まみれの口を灰の中で動かす。
「起きよう。」僕はそう口を動かして石のように固く重い身体を起こした。
目の前に広がった風景は灰色に支配されていて、幾つもの塔が出来上がっていた。そして、目の前で崩壊した。崩壊した塔から強烈な風と灰が僕に突き刺さる。
「僕はここから出ないと....。」僕は使命感のようなものからその言葉が溢れた。
足が灰を踏む。灰はそんな少しの衝撃で
砂煙のように舞い上がる。灰は恐らく反発しているのだろう。
「ここは僕の創り出した世界。そして、出られない空間だ。それでも関係ない。」僕はそう言ってナイフ片手に歩き出した。鼓動の音が聞こえる方へ。
「いた。」僕の放ったその一言は目の前のものが一瞬で理解させた。
僕の目の前には背中のみを剥き出しにした自分自身だった。僕はそっとナイフを持ち直し、自分自身の背中へナイフを突き出した。骨には当たらずすんなりナイフが入った。痛い。僕に痛みが走る。ふいに流れた涙は己へのお別れのせいだ。
「さよなら。消えてくれ。」僕はナイフを刺し込んだまま、ナイフの近くでそう静かに言い放った。突如、もう1人の自分の身体は赤い花と共に弾け飛んだ。
「これで僕は死ねる身体になれる。」僕は涙を流しながら言い放った。その瞬間、灰の世界は彩りを取り戻し、一瞬にして灰が空へ散る。
灰の世界は草原へと早変わりする。
「じゃあ。もう永遠に会えないな。みんな。ありがとう。助かってたよ。」僕は彼方に浮かぶ太陽と大木に向かって言い放った。その瞬間、風が吹き荒れる。
気が付くとそこは灰に支配された場所イズモだった。僕の身体は全て再生されていた。しかし、服は再生されておらず、素っ裸の状態になっていた。
その時、遠目に見えたものが太陽に反射した。箱だ。鉄の箱が遠くにあった。その箱は傷一切付いておらず、最近置かれたものだとすぐわかった。僕はその箱に近づいていき、観察する。
「服でも入ってるか?」僕は恐る恐る箱を開けた。その瞬間、箱の中身が飛び出してきた。その中身は僕の身体に纏わりつき、離れない。僕が観念してじっとすると、その中身は僕の身体にフィットした。しばらくすると、身体中に布の感触があった。そう。それは服だった。服には特殊効果などはなく。軽い素材だった。
「よし、じゃあ、歩くか。」僕がそう言い放った瞬間誰かの声が響いた。
「諦めるのか!?」その声が響いた瞬間僕の景色は室内へと早変わりした。
「諦めるのかよ!」1人の少年がそう言ってくる。僕は虚ろになった目を瞬き一つせず、口を開く。
「何を?」僕の放った言葉は一つだけだった。
「そりゃ、仲間をだよ!」少年は必死に言ってくるが、僕は呆けた顔をして言い放った。
「仲間は死んだよ。」僕の声は気力など一切感じず、息でも吹けばすぐ消えそうなロウソクのようだった。
「それはちゃんと確かめたのか?」少年は生意気にそう聞いてくる。そんな少年に僕は敵意を剥き出しにした。
「....い。殺すぞ。」僕がそう発した時には既にナイフを少年の首元に付けていた。
「君にそれができるのか?」少年はナイスを突きつけられているのにも関わらず、発言する。
「....。」僕は睨み続ける。
「はぁ....。じゃあ仲間について教えて上げるから離してくれる?」少年がそう言った瞬間僕の目は大きく開いていた。
「まだ希望は信じておくものだよ。」少年はそう言って微笑んだ。僕は少年の思惑通りナイフをしまった。
「教えろ。」僕はキツイ口調で言い放った。
「と、まぁ、これで落ち着いて喋れますね。僕の名前はラナ。魔王の攻撃から君の仲間を救った者だよ。」少年は誇らしげにそう言った。
「話も長くなるのは本意じゃないよね?」少年は続けて話した。
「じゃあ、事の成り行きでも簡単に教えるよ。」少年はそう言って宙に浮いた。
どうでしたか?
面白かったなら良かったです!
次回も読んでくれると嬉しいです!
今回で100話達成致しました!
読んで頂いている読者の皆様のおかげです!
これまで読んで下さる読者様がいたのでここまでやってこれました!
ありがとうございます!
まだまだ突き進んで行きたいと思っています!
応援よろしくお願いします!