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フェバル〜少女の行き先〜  作者: 月白弥音
第1章 魔法科学の国 モーズ
6/14

6.きゃあああああ!!!!

 私、能力ないの……?

 私、なんで友達とお別れしなくちゃいけなかったの……?

 お父さん、お母さん……

 寂しいよ……

 多分もうガズディアには戻れない。

 すごく遠くまで来ちゃってるのがなんとなくわかる。

 私、これからどうなっちゃうんだろ……

 とにかく一回エリサさんのところに戻ろうかな。

 ここで過ごさなきゃいけないならいろんなこと教えてもらわないとだし……

 横道から一本道に戻ろうとすると、行っちゃいけないって言われた壁の方から人の話し声が聞こえてきた。

 なんだろ?

 あっちは行っちゃダメなはずなのに……

 気になった私はとりあえずゆっくり近づいてみる。

 気づかれちゃったらなんとなくダメな気がしたから慎重に……っと。

 そろ〜り、そろ〜〜り……

 なんかかくれんぼしてるみたい。

 ちょっと楽しくなってきちゃった。

 木の陰に隠れて見つからないようにして……

 うん、さっきより聞こえるようになったなった!


 「シューンの様子はどうだ」


 「はい、変わりありませんが近々来る可能性があるかと」


 「奴らめ、追放したと言うのにのうのうと近くで生きてやがって。奴らのせいで王は心を痛めておる」


 うーん、なんのこと話してるのかよくわからないなぁ……

 それにこの声、どっかで聞いたことある気がする……

 後、この壁の向こうには王様いるんだ。

 それの方がびっくりだよ。

 おとぎ話の中だけかと思ってた。


 「彼らのエジックが完全に解明されたいま、我々に必要ない下等種族ですが、だからこそ生命力も強いと考えられます」


 「けっ、意地汚い連中だ。エジックしか使えない時代遅れに我々の兵器とまともに張り合えるわけもないというのに」


 エジック? それは初めて聞いたかも……?

 もしかしたら朝エリサさんが言ってたのの中に入ってたのかもだけどわからなかったから覚えてないや……


 「エジカルトラスター 、ですね。グズミアに近いこともあり使用には慎重にならざるを得ません」


 「その通りだ。もっともそれ以外の小型兵器で十分だがな」


 「その通りです。我々が負けることはないでしょう」


 「だが


 「承知いたしました」


 なんだかよくわかんないことだらけだけど、とにかく悪いことをしようとしてるのはわかった。

 私じゃどうしようもできないからエリサさんに知らせなきゃ。

 走り初めた私はすぐにそれが間違いだったと気づかされる。


 「誰だ!」


 そうだった!

 気づかれちゃダメなんだっけ!

 びっくりして止まっちゃった私がいる方をめがけてすごいスピードで走ってくる……



 見つかりたくない……!



 そう願いながら走り回って一旦岩の裏側に隠れる。


 「くそ、あのガキはどこだ」


 「小さいゆえに見失ってしまいましたね」


 もう、みんなで私のこと小さいって言うのやめて!

 私だってこれからだもん!

 もっと大きくなるんだもん!


 「しかし問題ないでしょう。子供が言うことなど信じるものはいません」


 「だが子供でも万が一、と言うことがある。我々の計画がバレてしまったらグズミアへの被害を考えなければならん」


 「グズミアには被害は出しません。それに……」


 「なんだ、言ってみろ」


 「あの子供については心当たりがあります」


 心当たり?

 もしかして私のこと知ってるの?


 「そうか、ではそちらはお前に任せよう。向こうへの見せしめにするか、危険なら始末して構わん」


 私がいる岩には近づかないで、2人は元いた方に戻っていってくれた。

 なんかいろんなこと言ってたけどなんのことだったんだろ……?

 私をどうとかって話だったことはわかったけどイマイチよくわかんなかったや……

 って、いけない!

 今聞いたこと、エリサさんに伝えなきゃ!

 私は周りにあの人たちがいないことをもう一度しっかり確認してから急いで村の方に戻る。

 あ、でも戻ってもエリサさんいるのかな?

 もしかたらまだ戻ってきてないかも。

 エリサさん、私のこと置いてっちゃうんだから……

 本当にひどい!


 「あ、いた!」


 遠くでエリサさんの声がする。

 私のことかな?

 でもエリサさんどこ?


 「こっちだよー! おーい!」


 声が聞こえる……

 えっと多分上から……

 上から!?


 「よっと」


 「きゃあああああ!!!!」


 え、エリサさんが……!

 う、上から……!!


 「もう、そんなに驚かなくてもいいでしょ?」


 「い、いや、だって、上から……」


 「上? ああ、木の間を飛んできてたからね。それより大丈夫? いつの間にかいなくなってたから心配したよ」


 「それはエリサさんが置いていったからでしょ! いつの間にかいなかったのはエリサさん!」


 「そ、そうだっけ? ま、まあなんにせよ無事でよかったよ!」

 「んもう……」


 けっこう不安だったのにぃ……

 って、そんなこと話してる場合じゃなかった!


 「あのね、エリサさん、さっき村を潰すとか話してる人たちの話を聞いたの! シューンの村をって言ってた気がするけどあの村の名前なの?」


 「……」


 私の話を聞いてエリサさんは急に黙って怖い顔をする。

 どうしちゃったの……

 私、何か変なこと言っちゃった?

 それてもあの人達が言ってたみたいに私の言葉じゃ……


 「うちの近くの村のことね。とりあえず伝えておくわ」


 「うん! ありがとう! お願いします!」


 ほら!

 やっぱり私の言葉でも聞いてくれたもん!

 でもよかった。

 あの村がめちゃくちゃになっちゃうのは嫌だもん。


 「とりあえず村に戻ろっか。そろそろ村長も戻ってるはずだから」


 ついに来ちゃった……

 緊張するよぉ〜……

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