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フェバル〜少女の行き先〜  作者: 月白弥音
第1章 魔法科学の国 モーズ
5/14

5.私の能力、発動!

 「あれ、ここって……?」


 「あ、わかった? あなたが迷ってた森の入り口よ。でもこっちのダフォーズルースは迷わないし、抜け出せなくなることもないはずなんだけど……」


 「あ、あはは……」


 私、もしかしてほーこーおんち? ってやつだったのかな?

 私の世界ではそんなこと言われたことなかったけど……


 「ねえエリサさん、村の中を案内してくれるんじゃなかったの? なんで森の中に……」

 

 「そのつもりだったんだけど、魔妖院と取引所はまだやっていないし、神殿には村長の許可がないと近づけないから案内できるところがなかったのよ。だから私の用事に付き合ってもらおうと思って。ここにしばらくいるならこの森のことも知っておいた方がいいと思うしね」


 「そうだったんだ。でも説明って?」


 「奥への行き方とか帰ってき方とか。変なところに倒れていたからもしかしてと思ったけど、やっぱりあなた道を知らないわね」


 「道? 確かに昨日はとにかく歩いてみてた気がするけど……」


 「ダフォーズルースは一本道になっていてそこからそれさえしなければ絶対に迷うことがないはずなの。それも知らないなんて本当にどこから来たの……?」


 苦笑いするしかなかった。

 だって本当のこと言っても誰も信じてくれるわけないし……

 そういえばえーなさん、私に何かすごく強い能力があるって言ってたけどなんなんだろ?

 前に見たアニメみたいに手からすごいビームでたり、空飛べたりするのかな!

 どんなのかわからないからできればエリサさんがいないところで試してみたいなぁ。

 もし誰かを傷つけちゃうのだったら嫌だし……


 「って、感じなんだけど覚えた?」


 「ふぇ?」


 しまった、自分のこと考えてたら全然聞いてなかった!


 「もしかして、今の説明全然聞いてなかった、なんてことないわよね?」


 エリサさん、怖いです。

 私が悪いんから仕方ないけど……


 「ごめんなさい……」


 「もう、本当に聞いてなかったのね。でもわかるわ。私もはじめてお父さんに連れてきてもらった時は綺麗さにびっくりして全然話聞いてなくて怒られちゃったから」


 あれ、なんだか勝手に納得してくれてるみたい?

 誤魔化すのはすごく申し訳ないけどここは乗っちゃおう!


 「そうだよね! 昨日は不安で全然気にしてなかったけど、改めて見るとすごく綺麗でびっくりしちゃった!」


 緑も濃いし、木漏れ日もすごく綺麗!

 でもちょっと開けてるところにはお花も咲いてたりするし本当に素敵なところだなぁ……


 「すごくわかる! 他にもね、フェルグっていうカラフルな鳥がいたり、ラタっていう小さくて可愛い動物がいたりもするのよ!」


 「そうなんだ! 私もみてみたいなぁ……」


 「今日もしかしたら会えるかもしれないけど警戒心が強いからなかなか出てきてくれないし、フェンルやフェルニル、肉食の獣と鳥のことね、もいるから危ないしであんまり探すのをオススメはしないよ」


 「そっかぁ……」


 みてみたかったけどなぁ……

 でももしかしたらこれから会える機会があるかもしれないよね!

 前向きに考えなきゃ!


 「で、さっき説明してたことなんだけどね?」


 あ、ごめんなさい。


 「この先にずっと行くと奥に行けるの。しばらく行くと大きな壁があるんだけど、そこには絶対近づかないで」


 「どうして?」


 「その壁の先には危険なものがたくさんあるらしいわ。私も詳しくは知らないけど壁の近くにいるだけで死んでしまうようなガスが出てたりもするらしいの」


 「そ、それは怖いね……」


 死んじゃうのは嫌だから絶対に気をつけないと。

 でも危険なものってなんなんだろう……ちょっと気になる。


 「この道は覚えられた?」


 「多分大丈夫だと思うよ!」


 「ならちょっと外れて奥に入るわよ。あなたが昨日倒れていた場所に獲物を置きっぱなしにしてあるの」


 「……本当にごめんなさい」


 「全然気にする必要はないのよ。私の言い方も悪かったわ」


 「ううん、助けてもらったのに迷惑かけてばっかで……」


 「迷惑だと思ったことはないわ。森の中ではみんなで助け合いをしなきゃ生きていけないもの」


 「エリサさん……」


 「なんか妹に頼りにされてるって感じでいい……!」


 あれ? 確かにかっこいいとは思ってたけどなんか残念な方向に……?


 「よし! お姉ちゃんについて来なさい!」


 「お、お姉ちゃん……?」


 なんか昨日のスイッチ入っちゃった?

 さっきまではすごくかっこよかったのに……

 でも面白い人だよね。

 私にお姉ちゃんがいたらこんな感じだったのかな?

 でも私、あんまり運動得意じゃないしちょっと違うかな?

 なんて考えてたら。


 「あれ、エリサさん、どこ……?」


 いつの間にか1人取り残されてる……

 うーん、どうしようかな?

 探すために奥に入っちゃうのは私が迷ってまた迷惑かけちゃうだろうけど、ここで待ってるのもなぁ……

 あ、そうだ!

 確か、この道を進むと迷わないんだよね?

 ならもうちょっと奥に行って迷わないように少しだけ横にそれて私の能力? って言うのを確認しようかな。

 そう思った私は道に沿って歩き始める。

 途中で綺麗な小鳥さんに出会ったり、また違うお花畑を見つけてたりしてすごく綺麗だった。

 こんなカラフルな小鳥さん、私の世界にはいなかったなぁ……

 もしかしたら知らないだけかもしれないけど、私の周りにはいなかった。

 通学路とかにいてくれればもうちょっと楽しかったのかもしれないのに。

 毎日、ミーファちゃんやマルニちゃんと一緒に見て可愛いねって話して……

 なんだか思い出したら悲しくなってきちゃった。

 よーし!

 ここら辺ならきっと誰かを傷つけちゃうようなのでも大丈夫!

 じゃあ私の能力、発動!

 …………

 ……………………

 あ、あれ?

 発動! 出て! なんか出て!

 …………

 ……………………

 何にも起きない……?

 私、えーなさんに嘘つかれた……?

 じゃあ私、ここに来ちゃったのってなんで……?

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