2.さあ違う世界の冒険の始まり~!
真っ黒な空間に白い光が点々とある、よくわからないところを私は進む。
なんだか、こんなこと考えちゃうのは違うかもだけど、きれいだなぁ……
せっかくならママとパパにも見せてあげたかったな……
いつも家にいてくれて美味しいご飯を作ってくれた優しいママ。
怒ると怖いけどいつも一緒に遊んでくれるパパ。
もう会えないんだよね、きっと……
ううん、弱気になっちゃダメッ!
これから自分でなんとかするしかないんだから!
でも……
私、英語もできないけど他の星の人となんて会話できるのかな!?
うぅ、なんだか急に不安になってきたよ……
そんなことを思ってるうちに真っ黒なところから抜けて図鑑で見たことある宇宙に出た。
あれ、私、宇宙でも生きてられるんだ……って、今更かな?
あの星が、私の、最初の行き先……?
緑が多そうできれいなとこだね。
あまり、ガズディア、私が生まれ育った星と変わらない感じがするよ。
ところでこれ、ちゃんと着地できるの……?
絶対これ、落ちてるよね!?
ほんとに死んじゃうよ!?
怖い怖い怖い怖い!
ジェットコースターって好きだったけどこれは怖いよ!
ぶつかっちゃう……
ぶつからないように祈って私は目を瞑る。
すると不思議なことに落ちてるのが突然ゆっくりになって、私はきれいに着地できた。
なぁんだ、さすがに地面に直撃、なんてことにはならないようになってるんだね。よかったぁ……
それにここの地面思ったよりも柔らかいんだね。
なんていうかふかふかの土みたいな感じで。
学校でお花とか植えるのによく使ったやつみたいな感じかな。
それにしても、地面はちょっと湿っぽいし、周りは木がいっぱいあるしここはどこかの森なのかな……?
とにかくわからないときは歩いてみるのが一番だよね!
さてと、とりあえずこっちに歩いてみればいいかな。
さあ違う世界の冒険の始まり~!
そう思ってしばらく歩いてみてもあるのは木、木、木……
もうどこに向かって歩いてるのかわかんなくなってきたよ。
どっちに向かって歩くと元のところに戻れるかもわかんないし、どうしよ……?
おなかもすいてきたし、のども乾いたし、なんだか悲しくなってきた。
そういえばえーなさん、最後に私に何か言おうとしてた気がするけどなんだったんだろ?
まあいっか、えーなさんもいろんな世界旅してるって言ってたしまたきっと会えるよね。また会った時に聞けばいっか。
うん、別のこと考えて紛らわそうとしたけどもう終わっちゃった。
はぁ、おなかすいたなぁ……
誰かいないのかなぁ?
もうそろそろお空も暗くなってきたし、ほんとに不気味になってきた……
夜の森ってこんなに怖かったんだね。
ちょっと怖いけどとにかく誰か探さなきゃ。
こんなところで死んじゃいやだし。
絶対頑張るんだもん。
諦めないんだから……!
そう決意してから私はかなり長い時間を歩いた。
でも誰かに会うこともなくただただ暗い森が続くばかり。
もうくたくただよ……
やっぱり私がこんなところに来ちゃいけなかったんだ。
私、やっぱり何にもできない子なんだ……
泣かないって決めてたのに、一人で頑張ろうって思ったのに……
一度あふれちゃった涙はもうどうしようもなくて。
「ママ……パパ……助けて……」
どんなに言っても助けてくれないことはわかってる。
大好きな人はもう一緒にいられない。
それでも、どうすればいいかわからなくて、ただ私は泣くことしかできなくて。
いつの間にか、私は疲れて寝ちゃっていた。
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ダフォーズルース。フォーズルースと対になるもう一つの森。
フォーズルースと違って抜け出せないといことがなく、自然豊かってこともあって私たちにとっては大切な場所。
たぶんここがなくなったら私たちはみんな死ぬんじゃないかな。
それくらい重要な森を私は駆ける。
村の長から頼まれたフェンルの肉を取りにいかないと。取りにっていうか狩りに、が正しいか。
フェンルはこの森にいる最大の肉食動物。筋肉質の赤身はうまく料理すると固くならずにすごくおいしいらしい。
でも私たちの村では大体この肉を儀式用に使う。
なんでも村の守り神様がこの肉が大好物なんだって。
なんだか案外現実的な神様だと思わない?
もっと空想の食べ物とか、めったに手に入らないものならまだしもよくいるフェンルの肉って。ふふ、なんだか改めて考えるとおかしいや。
おっと、いいところでフェンル発見……ってあれ?
基本的に一頭で行動するはずのフェンルが三頭も一緒のところにいる……
まだ発情の時期でもないと思うしなんだろ……?
木の上から一回様子をうかがう。
あ、あれ!
もしかして、あそこにいるの、子供!?
なんでこんなところに倒れてるの?
ていうかなんで襲われてるの!?
いや、そんなことよりとりあえず助けなきゃ。
幸いまだ三頭が獲物を争ってくれたおかげで、まだ食べられてないしここから無音銃で避けられてあの子にあたっても困るから追尾弾をっと……
静かにフェンルの頭に吸い込まれた銃弾は音もなく彼らの意識を奪った。
ねえ、今の、ちょっとかっこいいよね!
っと、その前にあの女の子助けなきゃ!
首に指を当てて……うん、よかった、まだ生きてる。
とにかく村にこの子を連れて帰ろう。
フェンルは……この子おいてすぐ回収に来るから誰も食べないでね!