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フェバル〜少女の行き先〜  作者: 月白弥音
第1章 魔法科学の国 モーズ
11/14

11.……わかったよ

 「エリサさん! エリサさん!」


 嘘だよ……

 セレちゃんって私のこと呼んでよ……


 「ふん、結局覚悟が足りないからこうなるんだ。戦いに今までのことなど無用だというのに」


 「ひどい! あんなに仲良しだったのに!」


 「だからどうした。そもそもこいつに近づいたのもこいつの父親が反乱を考えてるグループのリーダーだったからだけのこと」


 「それだけじゃないよ! あんなに2人とも楽しそうだったのに……それだけな訳ないよ!」


 だってそんな風に思ってるだけならあんなに楽しそうにお話しなんてしないもん……

 私、そういうの知ってる……


 「もうこいつに話は通じん。エリサを連れて逃げるんだ」


 村長さんが私の前に出てステラさんに斬りかかる。


 「死に損ないの爺さんが!」


 「まだまだ若者には負けんよ! 早く行くんだ!」


 「は、はい!」


 行きたいけどエリサさんを抱っこできるほど私力無いし……

 頑張って抱っこして村長さんが寄っかかってた木のとこまでは連れてこれたけどこれじゃ逃げたとは言えないよね……


 「せ、セレちゃん……ごめんね……」


 「お話ししちゃダメ! 大丈夫だから……」


 「私が連れてこなければこんなことに巻き込まれなかったのに……」


 「そんなことない、そんなことない! 助けてくれなかったら私きっと死んじゃってたから……」


 「ごめんね……」


 「謝らないで……もう喋っちゃダメ……」


 エリサさん……

 助けたい……けど私ができること……

 あっ……あった。

 私ができること。


 『エリサさんが死んじゃうのいやっ!』


 そう思ってもエリサさんは何も変わらない。

 なんで!

 いやっ! いやだよぉ……

 なんで、なんで!

 私がいやって思ってるのに……

 なんでよ……

 涙が出てくる。

 痛いのも苦しいのも私じゃなくてエリサさんなのに……


 「セレちゃん、もう大丈夫だよ……頑張ってくれてありがとね……」


 「ううん、何にも頑張ってないよ……エリサさん、助けられてないもん……」


 エリサさんが指で私の涙を取ってくれる。


 「泣かない……で……? いつかこうなるかもって、思ってたから……」


 「でも……」


 「ねえ、セレちゃん……最期にお願い、聞いて、くれる……?」


 「最後なんて言わないで!」


 「セレちゃんの笑顔、見せて……?」


 「こんな時に、エリサさんがこんなに大変な時に笑えないよ……」


 「こういう時だから笑って……? 笑顔ってみんなにも自分にも勇気をくれるんだよ……」


 「……わかったよ」


 うまくできてるかわからないけど私は笑ってみる。

 エリサさんに元気になってもらえるように。


 「ありがとう。やっぱりセレちゃんの笑顔は可愛いなぁ……」


 「そんなこと、ないよ……!」


 「ありがとね……」


 私の頭を撫でてくれた震えているエリサさんの手は。

 突然、私の頭から滑り落ちて私の手に収まった。


 「エリサさん! え、りさ、さん……」


 しん……じゃった、の……?

 えりさ、さん……


 「まああの傷なら生きれるはずがない。お前の妙な力も……」


 え……


 「どうやら、意識の外は対応できないらしいな」


 痛い……?

 熱い……?

 寒い……?


 なんで……?


 下を見るとお腹に何かが刺さってた。

 何これ……


 「それはこいつらが作ったエジックの1つ、エインスレイフを解析して作った兵器だ。出血こそしないがその剣がすべての血を吸い尽くしてしに至らしめるらしい。お前はそれで苦しみながらこいつらの最期の時を見届けるがいい」


 「最後になんてさせんぞ……」


 村長さん……

 よかった、無事だったんだ……


 「させないだと? もう遅いんだよ。モーズにあるエグナノンはすでにここに照準を合わせている。もう数分もない」


 「なん、だと……」


 そんな……

 ここにいる人がみんなみんな……

 そんなこと絶対に……

 動いてよ、私の体……

 みんなを助けなきゃ……

 みんなにたくさん助けてもらったんだから今度は私が……

 そう思っても私の体は少しも動いてくれない。

 ならせめて……


 『ここに攻撃くるのいやっ!』


 お願い、届いて……

 私の願い……

 そう思ってるうちに七色の綺麗な光が流れ星みたいに凄い勢いでこっちに近づいてくる。

 不謹慎かもしれないけど綺麗だなって思っちゃった。


 「来たな、破滅の光が」


 お願い、こないで……

 どんなにいやって思っても。

 どんどん光は近づいて来てて。

 私は光に包まれた……



 「な、んで……」


 周りはまるで最初からそこに何もなかったように平らになってるのに私の周りだけは綺麗に残っていた。

 もしかして、私のことだけしかできないの……?

 なんて自分勝手な……


 「ほう、生き残ったか。やはりその力、理解できないな。しかし、お前もそれが刺さってればもう終わりだ」


 もう体も寒いし、頭もチカチカしてる……

 みんなごめんね……

 お母さん、先に死んじゃって……








 はっ!

 あれ、私、あの時死んじゃったはずじゃ……

 ここってもしかして最初に通ってきた光の中……?

 どうして……

 ううん、私、1人だけ生きれちゃったんだ……

 私にしか効かない、私の力……

 仲良しの友達、助けたいのに……

 私がいっぱい悩んでても勝手に私の旅は進められてしまう。

 みんなが死んじゃったことを何も受け入れられないまま、私は次の目的地かなって緑の星に行くことになりそうだった。

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