蛾
凍える夜の向こうに
輝く朝があると信じた若い心は
希望に!光に!欺かれた!
敗北と屈辱が己を慰める
寄るな!去れ!忌まわしい!
赤き血が滴る。
この手を見ろ、この酷く黒ずんだ手を
満月が己を嘲笑う。蟋蟀が己を嘲笑う。
嘲笑う、嘲笑う、消えろ!
淡い夢の中におまえを見た
眩しい横顔に美しい髪が垂れ
己に気付くとおまえは笑う
過去の理想を振り払った。
希望の湖から掬った水は零れ落ち、
光の空が齎した祝福は己を拒んだが、
己はいつまでも焦がれるだろう。
おまえは今どこにいるのだ……
読み仮名の付け方を漸く理解しました。