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猫はふて寝して集会する

作者: 山神ゆうき

こんにちは。

今年もお世話になりました。

この作品で今年の投稿納めです。

「よーし!今日も見廻りを頑張ろう!」


「「おおー!」」


ここは不思議な屋敷である。そして今、掛け合いをしているのはこの屋敷の住人である、ミケ、クルミ、ミカミの3人の女の子の声である。


ミケは10歳にならないくらいの少女に黒のロングストレート。前髪は眉の上でパッツンにしており、黒いネコミミ、シッポ。白い肌で赤いワンピースを着ている黒猫である。


クルミは8歳くらいの少女で、リスのシッポがあり髪型はグレーアッシュの背中までのポニーテイルで先の方が外巻きに巻いてある。おでこを出しており、赤い目で白いワンピースを着ているリスである。


ミカミは8歳くらいで金茶の髪を後ろでおさげにして、前髪は目にかかるくらいで、白いワンピースで丸い眼鏡をかけているネズミの耳と尻尾がある女の子だ。


この3人はとても仲が良く、"魔法少女同盟(まほうしょうじょごっこ)"をして屋敷の見廻りをしている。


今日も今から3人で見廻りに行くところだ。

見廻りといってもただ1階から3階の廊下をダベりながら歩くだけなのだ。よほどの事がない限り異常なんてない。


しかし、今回ばかりは違うことが起きてしまった。

ミケ達が3階に着いたときである。廊下に見馴れない人物が立っていた。


その人物は明らかにここの住人とは違う服装であった。

その服装とは、黒いニーソで茶色の革靴を履き、上はパーカーを着て、ミニスカートを履いている。

その人物はパーカーのフードを深く被っているからか、表情が見えない。

ミケ達が誰だろうとボソボソと話していると、パーカーの女性もミケ達に気付いて慌てながら走ってきた。


「ねぇ、何してるの!?早く耳とシッポを隠さないと、人間にバレちゃうよ!」


そう言いながらパーカーの女性はミケの耳を強く押さえた。


「みみゃあー!」


ミケはいきなり耳を押さえられたのでビックリして悲鳴をあげてしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ごめんなさい。私の勘違いでミケちゃんに悪い事しちゃったね。」


あれから暫くして、クルミがパーカーの女性を落ち着かせてなんとか話し合いができるようになった。

聞くと、パーカーの女性は名前を『花』というらしい。そして、もともと猫の姿なのだが、理由は分からないが人間の姿にもなれるようだ。ちなみに人間の年齢では15歳らしい。

そして、それを人間に知られないように生きているそうだ。


とりあえず分かったことは花がここの世界の人物じゃないということであった。


「ねぇ~。ミケちゃん~。この()どうする~?」


相変わらずのおっとりとした口調でクルミはいう。


「う~ん。どうしようか?」


屋敷の見廻りは普段は何もないからこのような事に対処できないミケ。


「あ、あの。と、とりあえずミジャさんの所に連れていきませんか?」


おどおどとしながらミカミは提案した。確かにミジャの所へ連れていくことはいいことだと思った。

理由は、ミケ達の他に屋敷の見廻りをしている豚の勇者という人がいる。

豚の勇者はぽっちゃりで戦国武将みたいな兜を被っており、アニメとかでみる勇者っぽい剣と盾を持っている。

その豚の勇者はミジャという13歳の女性を『お姫様』といい慕っており、見廻りの報告をしている。そして、ミケ達もミジャに報告をすることにしていたのだ。


ミジャの部屋番号は310号室。そして、ちょうどここは3階である。

そう、ここから数メートルくらいの場所にミジャの部屋があるのだ。


「花ちゃん、ちょっと一緒に来てもらっていい?」


「うん、いいよ。」


そうと決まればさっそく花の手を取り、ミジャの部屋の前までやって来た。


トン!トン!トン!


ミケは310号室のドアをノックする。

すると、中からミジャの執事の右流明(うるめい) (よう)が出てきた。

羊は執事の服に白い手袋、右目には片眼鏡をしており、髪型は茶色のミデイアムウルフで(ひつじ)の角がある。


「これは、これは。ミケ様、クルミ様、ミカミ様。いらっしゃいませ。おや?そちらのお方は?」


羊はミケ達に挨拶をしたあと、見馴れない人物が居ることに気付いた。


「ねぇ、羊さん。この人ここの世界の人じゃないらしいの。それで、ここに連れてきたのだけど・・・。」


ミケは羊さんに事情を説明した。


「なるほど!そういうことですか。では、どうぞ!こちらにも似たような方がいらっしゃいます。」


意味が分からないことを言いながら羊さんは私達を部屋に通した。

ミケは不思議そうにしながら部屋に入ると、そこには相変わらず悪趣味な蛇の彫刻や絵画が飾られており、部屋の中央にガーデンテーブルと椅子があり、そこに座って優雅に紅茶を飲んでいる13歳の髪の色は金髪、後ろで輪っかを作った一つ結びで左右の耳の前にたてロールが一本ずつ。黄色と黒のドレスを着ている。目はオッドアイで右目が青で左目が赤でつり目の女性がミジャである。


しかし、今回は見馴れない人物がもう一人優雅に紅茶を飲んでいた。

その人物は肩までのウェーブの金髪で右側に白い花が付いているカチューシャを付けていて、どこかのお嬢様学校の制服みたいな服を着ている女性である。


「あっ!シャテットだ!」


花の知っている人物だろうか、花は嬉しそうにシャテットとかいう女性の近くまで寄っていった。


「何よ!気安く話しかけないでよ!」


シャテットといわれている女性は花に冷たく言うが、頬が少し赤くなっている。これがツンデレというものか。


「ねぇ、シャテット。ここはどこなの?」


「分からないわ。気がついたらここにいたわ。」


花もシャテットも訳が分からず困ったような顔をしていた。


「で?なんでここにたくさん集まっているのじゃ?」


ミジャは今日は静かに紅茶タイムを過ごしたかったみたいだが、賑やかになったので少し不機嫌だ。


「とりあえず、2人が何でここにいるか、とか、これからどうするかとかを話そうよ。」


ミケは不機嫌なミジャを無視して話をすすめた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あれから数時間話し合ったのだが、全然話が進まない。

何故ここにいるかというのは、気がついたらここにいたらしいので、それ以外は全然分からない。

これからどうするのかも、この屋敷に住んでいいのか、などミケ達では勝手に決められない。


結局、話し合いの何もかもが無駄になってしまった。


「ごめんね。花、シャテット。話し合いしたのに何も解決できないで・・・・。」


ミケは申し訳なさそうに花とシャテットに言った。


「ううん、いいよ。なんか、こうして話していると猫の集会みたいで面白いから。」


「猫の集会?」


ミケは初めて聞く言葉に首を傾げた。


「猫の集会はね、猫がたくさん集まって特に何かをするわけではなく、ごろごろしたり、話し合いをしたりする事なんだよ。」


花は丁寧に教えてくれた。


「まっ!大抵はごろごろだけどね。」


さりげなくシャテットも紅茶を飲んで言う。


バン!


いきなりドアが開き、紅茶を飲んでいるときに驚いたシャテットがむせてしまった。


「なにやら!なにやら面白そうな匂いがここからします。」


そう言って入ってきたのは焦げ茶色と黒が混ざったショートボブで黄色のワンピースの女の子、シシミであった。


「おや?おや?ここに夢幽霊(スリープゴースト)がいますねぇ。」


「こらー!ちゃんとノックをするのじゃ!」


シシミが勝手に入ってきたからミジャは更に機嫌が悪くなってしまった。


「ねぇ、夢幽霊ってなんなの?」


ミケはミジャを再び無視をしてシシミに聞いた。


「夢幽霊っていうのはですね!な、なんと!別の世界の人が寝ているときに見ている夢なのです!つまり、夢幽霊の人にとってはここは夢の世界なのです!」


シシミは右手の人差し指を立てて言う。


「つまりぃ~、2人は夢幽霊ってこと~?」


クルミは首を傾げて言った。


「そ、それならどうすればいいのですか?」


おどおどしながらミカミは言った。


「それは!それはですね!な、なんと!頬をつねればいいのですよ!それで、消えて現実の世界に帰れるのですよ!」


シシミは両手を腰に当て威張るような感じで言った。


「そっか!じゃあ、私つねってみるよ!」


花はとてもやる気満々で頬をつねった。


「「・・・・・・・。」」


しかし花は消えることはなかった。


「ええっ!?何で?」


そこにいる一同が首を傾げることになった。


「なんでなのよ!じゃあ、私達は元の世界に帰れないの?」


シャテットはそんな馬鹿な!という感じに自分の頬をつねる。

しかしシャテットも消えることはなかった。


「ええっ?ど、どうしよう。べ、別に焦っているわけじゃないからね!」


そう言いながら顔を青ざめているシャテット。


「あれ?おかしいね。こうやって思いっきりつねらないといけないのかな・・・・。」


そう言いながら試しにとミケは自分の頬をつねってみました。

すると、足元に違和感を感じてミケは自分の足元を見てみるとミケの足は消えており、足首から膝にかけて半透明になっていた。


「えっ?えっ?なんで私が消えそうになっているの!?」


ミケは驚いて大声をあげた。


「ほう、これは・・・。」


「なんじゃ?なぜミケが消えるのじゃ?」


「み、ミケちゃん~。どうしてぇ~?」


「わっ!わわ!!」


「ミケミケが!何故かミケミケが消えていきます!」


まさかの展開に驚く住人達。


「な、なんでなの?そして、私はどこに行くの?」


ミケはパニックになっているが、もうすでに胸の下くらいまで消えていた。

そして、とうとうミケの全体が消えてしまい、真っ暗になってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミケはパッと目を覚ました。驚いて起き、見回すとここはいつも見慣れた部屋、ミケが住んでいる211号室であった。

そう、ミケ達が花やシャテットに会ったのはミケが見ていた夢であったのだ。


そう、ミケはちょっと嫌なことがあり、ふて寝をしてそのまま深い眠りについてしまったのだった。


ホッ!


ミケは安心したかのように安堵の溜め息をもらして、そして再び眠りについたのであった。

来年もよろしくお願いします。

良いお年を!

皆様によい初夢が見れますように。

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