表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

後日談

書いていたら後日談ができました。

良かったら読んでください。

「「あっ」」

久しぶりに会った。一か月ぶりぐらいだろうか。会った場所は前と同じく食堂。学部が違うともうこんなところでしか会わないもんだな。

「なつ、最近どうだった?」

そんな言葉をかけながら、彼が座っている向かいの席に座る。今日はラーメンを注文した。

「んー別になんも変わってないよ。」

そういう声は不機嫌そうではない。問題は解決したようだ。ちなみに彼はまたチャーハンを食べていた。好きなんだろうか。

「ふーん、そっか。まあ俺も変わったことはないけど。」

そんな当たり障りのないことをしばらく話していた。


そして本題に入る。

「今日、何限目までの授業?」

「4限目までだけど?」

「じゃあ、遊びに行ってもいい?」

なにか感じたのだろうか藤崎の表情が曇る。

「・・・・・どこに?」

「なっちゃん家」

はあ、とため息をつかれてしまった。

「なんで?」

「行ったことないから。俺ん家には前来たでしょ?」

「・・・成り行きでな。」

「うっ、そうだったねー。」

今思い出すだけでもちょっと恥ずかしい。


藤崎はしばらく悩んでいたようだったが、

「来てもいいけど、何もないよ?」

「ん?別にいいよ。ただ喋ったりしたいだけで。」

「・・・・母親がうるさいけど。」

「楽しそうだね。」

そう答えると黙ってしまった。もう懸案事項はないようだ。

「じゃあ、授業終わったらね。」

そう言うと、

「はいはい。」

とめんどくさそうではあるものの、肯定の言葉が返ってきた。






『校門にいる』

そんな簡素なメールがすでに届いていて、慌てて校門に向かう。なんでこんなときに授業が長引くかなーと悪態をつく。

ピロリーン♪

メールを受信した音だ。

携帯を見ると、

『悪いけど、用事を思い出したから帰るわ』

藤崎のメールが入っていた。

(えっなんで急に)

『ちょっと待ってて』

と、メールを素早く送り、校門まで急いだ。


「はあ、はあ」

久しぶりに全力で走ったから息が切れてしまった。校門の周りを見渡すが藤崎の姿は見当たらない。

メールを見ないで帰ってしまったのか。それにしても用事なんて急すぎる。今日本当に用事がもともと入っていたのなら、俺が誘った時点でそのことを言うはずだ。用事があったのを忘れていて今思い出したとか?







校門を少し出て彼の姿を探すが――――――彼はいなかった。



だが、彼ではなく、いるはずがない彼女と目があった。







「えーと、祥平?」

「・・・・・・・ふぁれ?」

変な声が出た。言い直そう。

「あれ?どうしたの?」

言えた。

目の前にいるのは俺の彼女だ。大学は別々で、しかも彼女は県外の大学に行くことになったので、なかなか会えないでいたのだが。

「えーと、今日は休講で、明日から3連休になるから帰って来たんだけど・・・迷惑だった?」

「そんなわけない!」

それは断言して言える。


「良かった。さっき藤崎くんにも会って、祥平なら今来るって言われたんだけど。」



―――――――――そういうことか。



「・・・あはは」

「祥平?どうかした?」

「いや、なんでもない。」

彼の優しさは特殊なところがあると思う。下手をすればそれが優しさだとは気付かれない。その優しさがどこから来るものなのか。理由を俺は知らないが、いつか分かる機会があればいいと思う。ただでさえ、彼のことについて俺はよく分かってないと思うから。

彼にお礼のメールを入れ、(本人はすっとぼけるかもしれないが)そして今回の埋め合わせに、また遊びに誘ってみよう。



今は、彼の厚意に甘えることにした。

「―――琴未、どっか行きたいところある?でも今から行けるようなところでないとダメだけど」

「うーん、そうだね・・・」






どこがいいかな、と話しながら、



俺は彼女と手を繋ぎ、歩き出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ