第二話
授業がすべて終わり、俺は帰路につく。自転車を漕ぎながら、はあ、と思わずため息がでた。
悩まされているのは一通のはがきが家に届いたからだ。
≪佐山北小学校・同窓会のお知らせ≫
書いてあるのは、日時・場所。そして、出席される方は以下のアドレスにメールしてください―――出欠の返事は○日まで、そんな簡素な内容だ。
今と同じで当たり障りなく過ごしていた小学校。仲がそれなりに良かった奴もあるが、あまり乗り気がしないのだ。ならばさっさと欠席で返事を出せばいいのだが、締め切りが着実に近づいているにも関わらず俺はまだ返事をしていなかった。
「ただいま」
玄関の扉をあけるが返事はない。実家暮らしだが、両親は共働きでまだ仕事から帰ってきてないようだ。
2階にある自分の部屋に向かう。机の上には例の同窓会の葉書があり、それを一瞥してベットに寝っ転がる。
「はあ・・・」
なぜ、行こうと思わないのか。
無機質な白い天井を見て考える。
女の子の姿が頭に浮かんだ。小学校で隣のクラスだった子だ。――――名前はなんだったっけ。
髪の毛を飾り気のないヘアゴムで後ろにまとめている、どちらかと言えば地味な少女。
なんでその子が思い浮かんだんだろう。
ああ、そうだ――――――水やりをしていた子だ。
――――――優しいだけじゃダメなんだよ。
その言葉が頭をよぎった。
「あはは・・・・そうか」
馬鹿らしいことに俺はまだ昔の出来事を引きずっていたらしい。