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絶対音感の僕が見える世界  作者: 弓真蒼樹
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あなたの「家路」は何色か

 僕には、物心ついた時には絶対音感があった。妹のピアノ教室のグループレッスンで、「ラ」の音を声に出してみてください、と言われた時に、妹を含む3人の生徒が当てられなかった。僕だけが、ピッタリの音を声に出すことが出来た。その時に、僕には他の人と違う能力があるのだと気がついた。

 よく言われるのだが、絶対音感がある人は確かに少数で、他の人から見れば珍しく、羨ましい能力だと思われる。だからといって、得をすることばかりではない。まず音楽面で言えば、歌の伴奏をするときに、その人にあったキーで伴奏を弾くことが難しい(勿論、特訓で容易に出来る人もいるが)。オーケストラ版と吹奏楽版で同じ曲なのにキーが違うことがあり、この場合、全く違う曲のイメージが出来てしまうものもある。絶対音感に対して、相対音感という能力もあるが、僕にしてみれば、相対音感の人が羨ましいこともある。日常生活でも、絶対音感はついて回る。最近ドレッシングのCMで、「ソラドレ」という商品のCMを見た人はいるだろうか。ビゼー作曲、「カルメン」の「ハバネラ」の歌に合わせて、歌詞を「ソラドレ!」と歌っているCMである。絶対音感の僕にはどうしても、その「ソラドレ!」の部分が「ファソファミ」と「ミファミレ」なので、どうにも居心地が悪い。単なる歌詞、と言ってしまえばそれまでだが、ソもラもド、レもすべて音階にある言葉なので、そのCMを見ている僕にとっては単なる歌詞になってくれないのだ。

 欠点ばかりを書いても気が滅入る。少しロマンチックな話になるが、本題にしたいことを書こうと思う。あなたにとって「家路」は何色だろうか。「家路」といえば、当然にドボルザーク作曲「新世界より」の第2楽章のあの主題である。僕にとって何色、と聞かれれば、キーによるのだが、原曲であれば夜明けの色だ。あの暖かいオレンジの色だ。冒頭の、ティンパニが入るあの瞬間に太陽の暖かいオレンジが目の前に広がる。原曲であれば、と但し書きをしたのは勿論僕が絶対音感である所以である。というのは、原曲・・・ニ長調であるから、オレンジなのだ。例えばト長調だとしよう。僕の脳内イメージに瞬く間に青が入ってくる。ヘ長調だったら同じオレンジ系でも夕焼けに近い気がする。何が影響しているのか、幼少から現在、26歳までの人生のどこでそのイメージがついたのか、自分でも分からない。

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