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必要なもの  作者: 雨妣
9/19

第九話:居残り

 昨晩,学校の予習を終え心地よく寝床についた私は


気分よく目覚め、朝食を食べていた。



 今日は母の態度が妙に刺々しい。


 よくあることだ。


 また何かのストレスを私にぶつけているんだろうと思った。


 火の粉が振りかる前にと、早めに家を出てバス停についた。


 しばらく待つとバスはやって来て、


バスの中でもチョコに早く会いたいなあと思いながら、


 季節の変わり目を予感させる


 たくさんの深緑の葉を流れていく景色のなか見つめた。




学校でもチョコのことばかり考えていたせいか、


友達と話をしている時も上の空だった。



  それでも何とか授業だけは、チョコのことは考えずに取り組んだ。



 うちの親は勉強に関してだけはうるさいから、


 一応やっておかないとまた面倒な事に成り兼ねない。



 

  今日は学校の委員会活動で放課後居残りになったので、


 仕方なくチョコに会いにいくのは延期になった。



 というか交通委員会なんかで何をするっていうんだ。



  一番暇そうだから選んだ委員会なのに。




 先生の話によると、最近学生の交通事故が多発しているため


 校内外にいくつか交通安全を呼び掛けるポスターを配置するらしい。


 今日はそのポスター作りをするのが仕事で、


  幾つかのグループにわけてするのだそう。



 私は5班とゆう微妙な場所だが、


 班員の皆さんはまじめにやるような方々のようで、


 早く仕上げて早く帰ろうという意見に賛同した。


ポスターを作るためにも資料がいる、

 

 というので私は図書室からいくつか関連の本などを集めることになった。


 早くチョコに会いたいので


 急いで図書室に向かっていると廊下でたまって話をしている集団があって、


  通りにくいので足早に前を通ると後ろから肩をたたかれた。





   何。怖い――。




 振り向くと、月本がいて私は少し驚いた。



  『何急いでんの??』と声をかけてくる。



 今それどころじゃないのに!と思いながら


 『委員会の仕事で図書室に…。今急いでるんで、また今度』


  と告げて私は走りながら図書室に駆け込んだ。


あまり来ない図書室に戸惑いながら探していると、


  ドアが開いて月本らしき人が立っていた。



『逃げることないでしょ。俺も手伝うよ』



  意味がわからない。別に親切にしてくれなくていいのに。


 というか、足手まといになるだけじゃないの。


 とか失礼なことを考えながら



『ありがとう。じゃあ交通事故についての資料を探してくれますか』


 と月本の方を見ず適当に答えた。


初めは、お互い黙って探していたが


  しばらくすると月本が口を開いた。



 『崎田さん。昨日あそこで寝てたでしょ。』


 と少し笑いながらこちらの様子を伺う月本に、


 別に何の反応も返さず


 『ああ。見たんですか』と言う。


もう、このよく分からない人は相手にしないことに決めた。


『なんか凄く気持ち良さそうだったから、起こすのやめたんだ』


 と相変わらずの鈍感さで話かけてくる。


『そう…。それは優しい気遣いありがとうございます』


   嫌味をこめて言う。



『どういたしまして。……あ!!あった!』


 いきなり奇声をあげる月本に近付くと[生活]の欄に交通事故の項目があった。


 私は早く持って帰る為に何冊か本を取り、


 『ありがとう月本君。じゃあ私は委員会に戻るね』


と無理矢理月本を連れて図書室の外に出る。


 何も言わない月本に


 『じゃあ。本当にありがとう。さよなら』



  と一方的に言って再び廊下を走りながら委員会に戻った。



読んでくださって、ありがとうございます。

 良ければ、一言評価を残していただければ幸いです。

これからも、よろしくお願いします。

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