第八話:必要
家に帰ると今日も父はまだ帰っておらず、
母は自室にいるようだった。
一人で夕食を適当に作って食べ、早めにお風呂に入った。
湯冷めしないように自分の部屋に戻って髪を乾かしたあとで
テレビをつけると見たことの無い旅番組が放送されていた。
ゆったりとした雰囲気の番組で、ベッドに寝転がりながら見ているとすぐに眠くなった。
ふと、チョコと出会ってからはよく眠れるようになったなと思う。
友達が離れていっても、私に擦り寄り尻尾を振ってくれるチョコがいる。
そう思うだけで私は元気になれた。
チョコは私の中で、もう必要不可欠な存在になっていた。
また明日も用事がなければチョコに逢いにいこうと思いながら私は目を閉じた。
−半ば寝ているような状態で、ご飯を食べて家を出た。
急いでバス停まで走るとすぐにバスがやってきたので、安心した。
学校でも眠くてよく覚えてないが、
友達はまだ普通に挨拶や多少の話題は持ち掛けてくれていることがわかった。
といっても、態度はよそよそしいが。
放課後は当然のごとく友達からの誘いもなく、予定通りチョコに逢いに行った。
チョコは草むらの中で寝転がっていて、私もなんとなく同じように寝転がった。
柔らかい草の感触を肌に感じながら私はいつのまにか寝ていた。
冷えてきた風に吹かれ、目を覚ました。
横にいたはずのチョコはいなくなり、もう夕日も沈んでいた。
チョコを探して歩き回っていたら川辺のほうで、
誰からもらったのかご飯の残りものを食べているのを見つけた。
−誰が…。
チョコは痩せていないし元気そうなので
誰かが餌をやっているんだろうなぁと薄々思っていたが。
あ。でも、近所の人とか…。
月本かもしれない。
まあチョコが不自由なく残りものだとしても何か食べていることが分かって安心した。
もう暗かったが、家に帰る気が起きなかったので
ご飯を食べ終えたチョコを呼び、頭を撫でたり一緒に並んで河川敷を歩いた。
空は群青色に染まり、さすがに寒くなってきたので帰ることにした。
家につくと父も母もリビングにいるようだった。
出来るだけ静かに自分の部屋に戻って音楽をかけた。
なぜか音楽を聞いても、気分はのらず、気分転換にお風呂に入った。
それでも駄目だった。
なぜか心に小さな穴があって、そこからすき間風が入ってきているみたいだった。
さっき見たばかりなのに、今とてもチョコに会いたい気分だった。
チョコをもっと可愛いがってやりたいと思った。
家に連れてきたいとまで思った。
私はある考えを胸に秘めて、勉強を始めた。
読んでくださり、本当にありがとうございました。
まだ、少し長くなりそうです。
お付き合いよろしくお願いします。