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必要なもの  作者: 雨妣
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第四話:家族

バスは道が混んだ事もあって、


いつもより少しだけ時間を費やしてバス停に到着した。


 近くにある家に着いた時にはもう、8時前だった。



車庫には久しぶりに父の車があって驚いた。


家に帰ってリビングに入ると


母はテレビを見ていて,父はご飯を食べていた。


「ただいま」と言うと、


「おかえり」と返ってきたけど二人共私の方を見ていない。



  「友達と食べて来たから」と言い残して、自分の部屋に向かう。




 

 ベッドに倒れ込んでぼーっとしていたら、


  ふとさっきの友達との会話が頭に浮かんだ。



 どうしてあの子は自分の好きな人を私達に教えたりしたんだろう。



  どうして私の好きな人を知りたがるんだろう。


 

  どうして私は自分の好きな人を他人に教えなければならないのだろう。




  私はずっと世間一般的な物の見方に違和感を感じていた。



 どうして皆そんなに必死に「恋」を欲しがるのだろう。


  

  どんなに考えても分からなかった。


  ずっと中学でも「恋」なんてものを経験したこともなくて、


  今現在でも周囲の男子に目がいかない私には―。







  考え事のおかげか、いつの間にか眠っていた。


 目が覚めて部屋の時計を確認すると夜中の3時過ぎだった。



  よく寝た私は、風呂場に向かった。



 浴槽を見ると、当然のように湯は抜かれていて

 

  もう一度入れ直すのも面倒だったのでシャワーを浴びた。


 

 風呂から上がって、音楽を聞きながら宿題をやっていた。


 分からないところが数ヶ所出て来て、

 

  色々と調べているともう6時半を過ぎていた。



 眠気覚ましに飲み物をと思い、リビングに行くと


 母はまだ寝ているようで、

 

 父がインスタントコーヒーと食パンでニュースを見ていた。


  テレビの音のせいか父が私がいる事に気付いている様子はなかったので、


「おはよう」


 と声をかけると父は驚いたようにこっちを見た。


 

 でもまたすぐに目を逸らした。




 −久しぶりだった。


  父の顔を正面から見たのも…


  目が合ったのも…。



 いつも口先だけの会話をする私達家族は、


 お互いを見たり目を合わせたりすることをあえて避けているようだった。



 いつから始まったことこそ覚えていないが、


 少なくとも幼稚園に通っていた頃は


 両親二人で毎日のように迎えに来ていたから


 その頃はまだ「普通」だったというわけだ。



  

 ずっと思い当たるふしを探していたら、


  お祖父ちゃんの顔が浮かんできた。



 そうだ。お祖父ちゃんが居なくなってからだ。



  うちも親戚達も気まずくなったのは…。




 これからも、よろしくお願いします。

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