第十一話:実行
毎日が足早に過ぎて、チョコと出会ってからもう二ヶ月が経とうとしていた。
チョコには、相変わらず会いに行っていたし月本とも学校で顔を合わせたら挨拶、
あの河川敷で会えば短い世間話をする程度の関係だった。
言うまでもないが友達関係もこれといって発展してないが、
まあ円滑に進んでいるといえそうだ。
私は前々から練っていた計画を実行しようとしていた。
我ながらとても単純な動機の上、幼稚な内容だったが。
今日は母も友達と出かけるらしいので帰りも遅く、
父はもちろん仕事という名目でなかなか帰ってこないだろう。
私はそのことを確認して
いつものようにチョコのいる場所に向かう。
最近は学校のお弁当の残りや、パンなどを持ってきてチョコにやるようになっていた。
チョコはいつでもお腹が空いているようで、私が何かを持ってくると喜んで食べた。
チョコは私の姿を確認すると尻尾を降って、近くまで迎えに来てくれた。
私はその度嬉しい気持ちでいっぱいになった。
そして私は…。
チョコを目一杯可愛がったあと、あらかじめ持ってきていたリードを
チョコの汚れた首輪に繋げた。
初めての感覚にチョコは不安そうだった。
まだ夕日は沈んでおらず、私はリードを持って歩き出した。
チョコもわけが分からない様子で、一応後ろからついてくる。
しばらく歩いて、さっきまで座っていた河川敷が少し離れたところまで来ると、
チョコはやっと理解したのか歩くのをやめてその場に座り込んだ。
『チョコどうしたの?もっと歩こうよ。』
そう。
私はチョコを家に連れて帰るつもりだった。
すぐに見つかるのは分かっていたし、両親に反対される事も目に見えていた。
でも、私はいつでもチョコに傍にいてもらいたかった。
独占欲が強くなっていたのだ。
それからもチョコは私が何を言っても、そこから動こうとしなかった。
チョコが再び歩き始める事を信じて私も近くに座った。
遠くから、
『チョコ…か?』とゆう声が聞こえた。
振り替えると、月本がいた。
月本に見られても別に何の害もないので、
私は普通に
『久しぶり。最近あんまり会わなかったね』
もう敬語は使わなくなっていた。
面倒だったし、この人にとって敬語だろうがため口だろうが、
そんなのは関係ないのだから。
『あぁ、部活でちょっと忙しくて。 …崎田さんはなんで、こんな所までチョコと一緒なの?
リードも繋いであるし…』
何故か自分が今行っている事が言葉にしにくかったので、何も言わなかった。
すると、いつもと様子が違うチョコを見て
『フッ。もしかして崎田さん…。チョコを家まで連れ帰るつもりだったりする?』
笑いを堪えながら私の顔を見る。
なんで笑うんだ。 馬鹿にされてるみたいで、少しムカッとした。
『そうですよ、あなたの言うとおり。悪い?』
不機嫌に答える私に
『ごめんごめん。そんな怒らないでよ』
と申し訳なさそうに言う。
『だってさ。あんまり崎田さんが、面白いから…』
『ほんと月本君て意味分からない。何が言いたいの?』
『はいはい。言いますから。そんな焦らせないで』
私は、黙って続きを促した。
読んでくださりありがとうございます。
また、微妙な感じになってしまいました(汗)。
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