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祓い人~五十鈴編~  作者: 左武小路
3/12

閑話休題

 小学生低学年の初めて五十鈴と会ってから丁度二年したあたりだった。

 クラスではその頃、絶対に掛けてはいけない電話番号というのが流行っていて何故か携帯の番号だったのを覚えている。

 掛けると死ぬだとか、呪われるだとかああいうどこにでもある類のものだったと記憶している。

 ×××74123なんちゃらがそれだった。(確か最後は852?)

 当時まだ五十鈴のおかしな言動を知識が沢山あるのを冷やかされないために演技しているだけなのだと思っていた俺。

 そういう遊びなのだと思っていた俺は割と深く考えずに図書館なんかにある公衆電話で試そうということになった。

 その頃友達の一人だったK(男子)は特に乗り気だったが、五十鈴は絶対やらないと言ってどこかに行ってた。

 俺はまだかなりのガキで、大人っぽい五十鈴がやらないのに二人だけでやるのがかなり興ざめだった。 

 半ば仕方なく付き合ってやることにしたのだが、思えばKが消えたのは俺のせいかもしれないと今でも時々思うことがある。

 結果的にいうと公衆電話からかけたその番号は現在使われていないという呆気ないものだった。(今思えばおかしいのはその番号はデタラメに長いのに使われていないという言われ方は不自然だった。)

 しかし、それから一ヶ月くらい経った頃になって親父のパソコンのキーボードのテンキー(右側の数字)を見ていてあることに気がついた。

 74123がなんとなくひらがなの「し」を象っているように思ったのである。

 電話は上から123と並んでいるのでこのことには気がつかなかったが、こうなると852にもなにか意味があるのではないかと思ってしまう。

 今思うと俺はこのことをまずKに言ってしまったのが間違いだった。

 すると、(今でもはっきり覚えているのだが)Kはすごく喜んだ顔で「そうか、それだったんだ!」となにかが符合したように笑った。


 それからしばらくして、Kはだんだんクラスの日陰者になっていった。

 後から知った話だが、影でいろいろいじめてるやつとかいたらしい。

 俺はその間、ずっと学校が終わったらすぐ家に帰る生活を送っていて、Kのことも電話のこともあまり眼中になかった。

 というのも、その頃丁度五十鈴が体調を崩し始めていて、五十鈴の両親が海外にいくとかいうのが重なり、親戚がいなかった五十鈴は俺の家で養成していたからだ。(当時なかなか進まなかったドラクエとか手伝ってもらってた(笑)

 五十鈴と俺の家の関係はまた今度書く。


 何があったのか、Kはそれから転校することになるのだが、最後にKが話しかけてきたことがあった。

「あの電話、やばいよ。俺、二人もヤッちゃった」

 聞くところによれば、Kが言うには852の『続き』を発見したというのである。

 どういう手順を踏んだのかわからないが、俺は咄嗟にKをやばいと思った。

 確か電話の逸話は掛けた本人が呪われるっていうものだった。

 なのに、K自身はやったと(その時は何のことを言ってるのかわからなかったが)はっきり告白した。

 もうだいぶ昔の話になるので、あんまり記憶も定かではないが、その当時転校がやたら多くてKもいれると学年の終わりには4人くらいは転校していた。

 電話の詳しい内容も気にならず、Kとはそれっきり最後まで話すこともなかった。


 それから小学六年生になった頃、修学旅行先の公衆電話を見て五十鈴が不意に「そういえば、呪いの電話ってあったよね」と話題を振ってきたので俺は咄嗟にKのことを思い出した。

「あいつ元気でやってるのかなあ」

 と俺が言うと、五十鈴ははっきりと「あれは死んだよ」と答えた。

 それは割と衝撃的で背筋を冷たいものが走り抜けたかと思うと、まるで目の前にいるのがKの亡霊にも見えるくらいの凄みで、

「どうして先に私に「し」のこと言わなかったの?」

 と責め始めたのだ。

 どうして五十鈴がそのことを知ってるのか俺は心臓が止まるかと思うほど酷く驚いたのを今でも覚えている。

 そして、五十鈴が絶対にやらないと言った理由は掛けた者の末路を知っていたからかもしれないとも思った。


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