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人魚姫の末路  作者: 妹明
8/10

過去の話

 数カ月ぶりに帰ったとはいえ、こっちではまだ数日たったところだ。

何も変化などしていない。


 「じゃぁ、アンデス。明日から王座継承のための勉強をみっちりと、こなしてもらうぞ?」

「……ああ」

胸に何か大きな穴があいたような感覚だった。


 お母様が昔いた部屋にぼくは行った。お母様は大分前に病気で死んだ。

ぼくはお母様が大好きだった。父親と違って、王位継承しろなんて言わなかったし。

優しいし、ちょっとおっとりしたのがたまに傷だったけどそれでも大好きだった。

 お母様が昔こんな話をしていたことがあった。


                    *


 「今日は、人魚姫の悲しい恋のお話にしましょうか」

「え? なぁに?」

「ふふ。むかーし昔、ある所に人魚の女の子がいました」



 昔々、ある所に人魚の女の子がいました。その子は人間界に行くのが大好きでした。

だから、夜な夜な家を飛び出しては人間界に行っていました。

その子が行く時間は人間界でも夜でした。人間に会うことはなかったけれど、その子はとても

楽しかったそうです。


 ところがある日、その子は人間と会ってしまいました。相手は自分と同じ年くらい(人間年齢的に)

の男の子だった。その人間に、その子はてっきり妖怪と罵られて追い返されると思ったんだって。

でも、その人間は只笑って、君が最近噂の人魚さんだね。と言って隣に座りました。

その子に、初めて人間の友達が出来た瞬間でした。


 それから、毎日その人間とその子は会い続けていました。

いつしか、その子はその人間に恋心を抱くようになりました。

それは向こうも一緒だったようで……。


 2人は恋に落ちてしまいました。でも、所詮は人間と妖怪。許されるはずの恋でした。。。

2人が恋に落ちたという噂はすぐに街中を駆け巡りました。

その人魚はついに決意しました。その人間に二度と会わない。と。

それは、お互いにあまりにも苦しい決断でした。でも、これしかないと、当時その子は思っていました。

そして2人が会った最後の夜……。

彼女はこれを自分と思って下さい。と言い小さな真珠のような小さな石を渡しました。

それは人魚の命と言っても過言ではない人魚の水晶玉だった。


 それ以来。2人が会うことは二度となかった。。。

それ以降、2人ともお互いがどうなったなんて知る由もなかった……。



 「……。悲しい話だね」

「そうね」

「ねぇ、その人魚さん。死んじゃったの?」

「ううん。死んではいないわ。でも、人間界に行くほどの力を失ったそうよ」

そういうお母様はどこか悲しそうな顔をしていた。

「……ママ?」

「ん? 何でもない! さ、早く寝なさい」

「はぁい」


                     *


 人魚の石を継承し、それを失った人魚は

少しずつ力を失って最後には生きることすら出来なくなる……だっけ?

それは、お伽話じゃなくって習ったことだけど。

それって、もしかしてあのお伽話の様な話は現実にあった話で、その人魚って……。

お母様だったのかな?


 ぼくは、お母様は大好きだった。父親みたいに継承、継承言わないし優しいし。

ぼくの憧れの人だった。そんなお母様はぼくが幼少期の時に亡くなった。

あの話をしたのも一度だけ。詳しい事を聞こうとした矢先の出来事だった。

でも、お母様は日に日に弱っていったのをぼくは見ていた。

だからこそ言える。お母様はきっと人魚の石の継承者だった、て。


 だけど、ぼくはこの石の正式な継承者じゃない。もしかしたら主人を失ったこの石は

既に力すら失いただの石ころと成り果てている可能性もある。

でも、もしこの石にまだ力が残っているなら、もう一度だけ向こう(人間界)に行けるのかな……?


 そんなことを考えていた時だった。下から凄い轟音が聞こえた。

何事かと思って下を見たら、

「やっと、見つけたわ。お姫様ってのはマジもんの情報だったのね」

「どうして……?」

そこには居るはずのない人が立っていた。そいつは上を見上げ、こちらをみて言った。

「リロス……見つけた」

「どうして……」



「王子……!!」

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