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32 エピローグ

 まるでイリヤの体自体が発光しているかのように、彼女の周囲が光で包まれている。


「……すごいわ。これが日記帳の力なのね。イリヤが当代だった時の記憶を取り戻すと同時に、あの時の力も蘇ったのね! ああ、そうよ。あの時もそうだった。この手に(みなぎ)る力を感じた……」


 今度こそ――今度こそ、私がこの国の頂点に立ってやる。

 聖母と繋がって、この力を我が身に宿すことさえできたならば。

 私を見下した連中どころか、国王だって私に逆らうことはできない。


「うふふ……あっはっはっ。やっとね! 十五年前は当代がこの力を手にして転生した。私は光に焼かれて傷を負っただけ。それにしても当代はなんで転生なんてことを願ったのかしら。ほんと、世間知らずの馬鹿だわ。私ならもっと上手く使うわ!」


 発光しているイリヤに触れると、触った手のひらが焼かれるような痛みを感じた。


「あはははは! これよ! これだわ! これがあの時の力! そうよ! もっと! もっとよ! 若返るだけなんて勿体無いわ。そうだわ、私が女王になってこの国を治めるのもいいわね。それに――うぅぅ」


 痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。

 どうして? どうして? どうして? どうして? どうして?


「私だって王族なのよぉーっ! あぁぁぁ」


 嘘――でしょ?

 どうして私の体が――あら? 何も感じないわ――あぁ体が、私の体が散り散りに――え? どうして体が塵になっているの? どうし――。






『初代王との約束がこのように捻れて後世に伝わってしまうとは……もう終わりにするべきなのでしょうね……聖殿は永遠に閉じることにします。最後に小さなお姫様に贈り物を。二度と夢は見ないように……』



   ◇◇◇   ◇◇◇



「あれ? 私、こんなところで何をしてるんだろ……? ハッ! 買い出しに来ていたんじゃない。何をぼうっとしてんの!」


 パンパンと顔を叩いて自分を叱って歩き出そうとした時、何かが足に触れた。


「みゃっ」

「えっ? 猫? あっ、もしかして踏んじゃった? 踏んでないよね? え? 嘘! 足を引きずってるじゃないの」

「みゃっ」


 猫が突然走り出したので、慌てて追いかけた。


「猫ちゃん!」


 一目散にどこかへ向かう猫は、器用に人混みをかき分けて行く。


「待って! 猫ちゃん!」


 やっと猫が立ち止まったと思うと、近くにいた男性に拾い上げられてしまった。


「やあ。もしかして君の猫だった?」


そう言って猫を抱えて振り返ったのは、サラサラと黒髪に褐色の肌。燃えるような赤い瞳の男性だった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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