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27 【エシル視点】 *15年前

 まさか招待されたお茶会にレイモンドと一緒にやって来たところを当代に見られていたとは思わなかった。

 あの子は部屋の中でじっとしているだけだと思っていたから。

 結果的にレイモンドと二人揃って当代に嘘をつくことになった。


 うふふふ。あっはっはっ。

 レイモンドはこれまでの習性で、「あ、まずい」と咄嗟に否定したようだけど、当代の驚いた顔ったらなかったわ。

 

 事前にレイモンドに教えておいてよかった。

 聖殿の聖母像だけが特別なことは知っていたらしいけど、どう特別かは限られた人間しか知らないことだもの。

 彼は、血の契約をして当代になれるのは王家の血を引く者だけということは知っていたみたいだけど、聖殿の聖母像が球を手にしていることは知らなかった。




「じゃああれか? その球が曇れば国に災いが降りかかるのか?」

「それは正しくないの。災いの対象は王族なのよ。つまり、王族が王族のために当代様になるの。球を曇らせないよう常に笑顔でいるわけ。聖協会は国に災いが降りかかると信じられていた方が好都合だから黙っているのよ」

「……寄付か。くだらねえな」


「でも当代様が心を揺らすと、当代様自身に跳ね返ってくるのよ? あなたは随分と彼女に近づいて心を揺らしているようだけど、彼女のことを憎からず思っているのなら、あまりやり過ぎないことね」

「オレが心を揺らしているだと? あっはっはっ。そんな風に言われたのは初めてだな。『弄んでいる』とはよく言われたがな」


「どっちでもいいけど、何かあってしっぺ返しを喰らうのは当代様本人なんだから、私の忠告を素直に聞くべきじゃない?」

「フン!」


 あら? 本当に憎からず思っていたの? 意外だわ。


「一応私の体にも初代王様の血が流れているから、私も友達として、不安がらせたり心配させたりしないよう気をつけるつもりよ」

「お前みたいな奴のことを友達と思っているなんてな。ベスは人を見る目がないな。まあ、人と接してこなかったから仕方がないのかもしれないけどな」


「あら、私が友達なのがご不満? じゃあ洗いざらい言ってやれば? なまじ人と接してこなかったせいで、人を見る目を養えなかったんだってね。傷つくでしょうね。彼女の心は大丈夫かしら?」

「ちっ。お前はオレに色目を使うそこら辺の女とは違うって言ったが、聖協会の奴らと同じだな。オレのことを使い捨ての駒としか思っていない目をしている」


 あら、バレてた?


「それにお前らは、『当代様の心を揺らさない』ためなら何をやっても許されると思っている。聖協会が母親からの返事をベスに渡さないのも、おそらく彼女の心を揺らさないためなんだろうな。いや――そもそもベスの手紙を母親に渡しているかどうかも怪しいものだ」


 あら? 聖協会もなかなかやるじゃないの。

 私はもう少しレイモンドとのことを突っついて、当代様の心を揺らしてみるとしよう。

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