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第04話 普段の日常、朝に風呂に入る

 小説サイトのイベントに行って、後輩ちゃんと出会った!

 気づけば、日の光が目に入っていた。

 (まぶた)を開けると、もう辺りは明るさに満ちていた。 太陽が高く上って、窓から日の光が差しこんできている。

 私は体を素早く動かすと、眼鏡を引っつかんで立ち上がった。 そのまま机に座ってパソコンに向かい、カタカタとキーボードの上で指を動かして文章を書き始める。

 起床(きしょう)して10秒で小説を書き始めるのだ。 ヤバい生活である。

 私は文章を打ちながら顔を上げる。 時計を見ると、今は家族が誰もいない時間だ。 昨日とは違って平日だから、全員仕事やら学校やらで外に出ている。

 私は椅子(いす)から立ち上がり、1階へと向かった。


 1階には誰もいなかった。 昼過ぎまでは家には誰もいないので、気楽に家の中を歩き回れる。

 風呂場へ行くと、私は扉も閉めずに脱衣所(だついじょ)の中へと入っていった。 電気もつけずに暗い中で、私は服を脱いでいく。

 最後に風呂に入ったのは2日前の昼なので、服はもうビショビショを通り越してクタクタだ。

 私は汗ばんだシャツを無理やり脱ぐと、洗面所へと歩いていった。 洗面台の中に放り入れて、脱いだシャツを洗い始める。

 別に洗濯カゴに入れて家族と一緒に洗濯してもらってもいいのだが、なんとなく自分で洗うことにしている。 意味もなく何でも自分だけで完結しなければ気が済まないという、私の青春的抵抗である。

 ハンドソープをびちゃびちゃと服にかけて、手でしごいて服を洗っていく。 洗いながらパンツも脱ぎ、同じようにして洗面所に放り入れて洗う。 適当だがこれでいいのだ。


 一通り自分の服を洗い終えると、そのまま風呂に入っていった。 相変わらず電気はつけずに、暗いまま入っていく。

 風呂場の上の方に小さな窓があるため、そこからかすかに光が入ってきている。

 体をちゃちゃっと洗うと、ぬるい残り湯の中に()かっていった。 お湯につかると、ふうと一息つく。


 落ち着きを取り戻していると、ふと昨日のことが思い出された。

 昨日、小説サイトのイベントに行ったんだっけ。

 あのメッセージをくれた女の子は、どうなったんだろう? 私に一度会って、満足したんだろうか。

 最後のあの笑顔は、結局何を表していたんだろう。 これで終わりってことでいいんだろうか?


 ……まあいいか、こんなこと考えている(ひま)はない。 私は昨日のことを考えるのはほどほどに、自分の小説のことで頭がいっぱいになった。

 私は、普段3つぐらい同時に小説を書いている。 その一つが、ちょうど終わりそうなのだ。

 次の物語はどんなのにしようか? 未来を舞台にしてみるのもいいかも。 それとも、大昔を舞台にでも書いてみようか。

 私は昔から、古代の文化に興味があった。 ここはひとつ、縄文(じょうもん)時代を舞台にしたものでも書いてみようかしら。

 気分転換にもなるし、なんなら今からでも縄文時代の遺跡(いせき)にでも行ってみようかな。 おっ!いいじゃん、楽しそうっ!

 私は思い立つと、勢いよく音を立ててお湯から立ち上がった。


 部屋に戻って、私はさっそく出かける準備をしていく。

 ……え? いま風呂に入ったばかりなのに、真夏の太陽にさらされに行くのかって?

 そうよ、でも仕方ないのだ。 帰ってきたら夕方になってて、家族が風呂を使い始める。 そうなると、家族とのコミュニケーション障害を抱えた私は、もはや風呂には入れなくなるのだ。

 『風呂に入っていい?』の一言が言えないのだから、重症である。

 今までもこうやって生活してきたのである。 また夜に汗まみれになりながら眠ることになるが、仕方ない。

 私はバッグや財布などの準備をしながら、部屋の中を歩き回った。


「えーと、スマホは……」


 私はスマホを探して、部屋の中を探し回る。

 余談(よだん)だが、私はスマホをほとんど使わない。 引きこもっているから誰とも連絡しないし、普段パソコンの前に長時間座っているから、単に必要ないのだ。 たまにスマホがどこに行ったか分からなくなる。

 部屋を探し回っていて、机の前を通ると、パソコンの小説サイトにメッセージが来ていたことに気づいた。 私はパソコンに近寄ると、立ったままマウスを動かしていく。

 メッセージをくれたのは、昨日の後輩ちゃんだった。

 あれ、またこの子だ。 もう連絡してこないと思ったから、ちょっと意外だ。


 前回と同じく、今回もメッセージは簡潔(かんけつ)だった。

 『学校に来てくださいっ!』

 ……学校に来い? 学校とは後輩ちゃんが通っている、そして昔に私が退学した学校のことだろうか。

 メッセージが来たのは、ほんの20分前だ。 今から来いってこと?


 ……じゃあ、行ってみるかな。

 遺跡に取材に行くのは、別に急いでるわけではない。

 それに、私は普段からよく散歩をする。 小説を書くのに、散歩しながら内容を考えて、家に帰ってから書く、という風にしているのだ。 なら、これもまた仕事のための散歩と考えればいいだろう。

 私は深く考えないまま、軽い気持ちで方向転換した。 後輩ちゃんのメッセージに従い、学校に行くことにした。

 えーっと制服はどこに行ったかな……。 てあるわけないじゃんっ!イェイっ!w(黒縁)

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