表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新月を照らす  作者: ぴっころ
1/2

悪夢

「おはよう御座います。ソリトード」

  女の声が聞こえて、煩わしく思いながらも重い瞼を上げる。

「おかあさま…」

 なぜ、彼女がここにいるのだろうか。

 彼女は僕の顔の左半分を見るなり、がくっと崩れ落ちて泣き出してしまった。

「わたくしは、あなたになんてことを…」

 長い眉毛が涙で濡れている。

「ごめんなさい……本当に」

「…おかあさま」

 くり抜かれた左眼の奥がズキリと痛んだ。

「謝ら…ないで、下さい。おかあさま」

 僕は麻痺の残る顔で歪に微笑んだ。

「僕は……おかあさまが幸せならばそれでよいのです」

「ソリトード……」

 僕は彼女の艶やかな琥珀色の髪を撫でると、そっと抱きしめた。

「おかあさまの幸せは、僕の幸せ……僕の体はおかあさまのものです」

 抱きしめる手をを解くと、彼女は僕と顔を合わせた。真っ暗な穴のような黒い瞳に吸い込まれそうだ。

「ソリトード」

 彼女は僕の脇にするりと手をかけて持ち上げ、ベットに座らせると僕の胸元に耳を埋めた。

「ソリトード……ありがとう、ごめんなさい」

 次の瞬間、僕は真っ暗な闇に包まれた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ