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作者: しゅうきち

今の気持ちを整理する意味で書きました。


なんか、いろんな思いがあって悲しくなっちゃう

 純三は、姉からの母親の長寿を祝う温泉地行きの提案を保留にした。


 彼は、姉、兄、純三本人の三人兄弟だ。姉の発案で、母親と子どもたちで温泉一泊を計画した。  


 姉、兄は、大学から地元を離れて、純三だけが高卒で親と同居をして40年以上が過ぎた。純三は所帯をもち一人娘に恵まれた。


 姉は、母親の長寿を祝うのと、母親の世話を任せている純三の慰労をしたいらしい。

 純三にとってありがたい話であるところだが、正直、彼の心中は複雑で、慰労とか感謝なんかしてほしくないのだ。


 というのも、40年以上、地元に残り親の世話や親戚づきあい、地域付き合いなど一手にやっている純三としては、都会に行った兄弟に自分の苦労を話しても、理解出来ないし無駄だと思うのだ。


 例えば、純三の地域では、亡くなった人が出た場合、盆提灯を新たに買う風習がある。父親が亡くなった折、兄に盆提灯をどうしようかと相談したら、婆さんの時ののがあるだろうと言われ、何も言えなかった。


 そんな基本的なこの地域の風習を無知な兄に、説明しても肚ではわからないだろうと思った。


 都会人になった兄や姉に感謝されても、今までの苦労や我慢が茶番になってしまう気がして面白くないのだ。


 親や親戚、地域の人々の顔色を伺い自己を殺し、下を向いて目立たないよう、息を殺しながら生きてきた苦労など、都会人には到底理解出来ないだろうと思うのであった。


 今までなら、平穏に温泉に一泊して帰って来たろうが、もういい人ぶって、建前でニコニコして付き合うのはやめようと思った。


 純三は、温泉にいったら、愚痴ばかりいう自身を想像して、ウンザリしている。

読んでくださりありがとうございます

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