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腐りかけの果実  作者: しゃむしぇる
第四章 一節 人と吸血鬼と
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4-1-9

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 エリー達がラボへと戻る道中、煙草を咥えていたエリーの口元からポロリと火がついたままの煙草が落下する。


「おい、エリー。煙草……っておい!?」


 バリーが助手席に座るエリーに目をやると、彼女の腹部に大量の血が滲んでいた。


「エリーお前っ、けがしてるじゃねぇか!!」


「死に土産に……はぁ、良いモン置いてきやがったぜあの野郎。コフッ……。」


 エリーと黒井の戦いの決着がついたあの瞬間、コンマ一秒首を切り離すのが遅れ、エリーは腹部を黒井の触手に貫かれていたのだ。


 血の溢れ出している腹部にエリーが手をやると、べっとりと自分の血が手に付着する。どうやらとめどなく溢れ出しているらしい。


「気張れ、もう少しで着く!!着けば姉さんが何とかしてくれるはずだ!!」


「え、エリー……。」


 徐々にエリーの意識が混濁し始める。それとともに急に体が冷えてくるのを彼女はその身で感じていた。


(やべぇ……体が急に冷えてきやがった。この感覚、何回も感じたあの時の……死ぬときに感じるやつだ。)


 自分に差し迫る死の予感……。普通であれば絶望する状況だが、エリーはふとあることが気になっていた。


(もしここで死んじまったら、また時間は戻んのか?しばらく死んでねえからわかんねぇ。でも、ま~たあのクソ野郎と殺りあうのは……めんどい…な。)


 そしてエリーの意識は闇の中へと沈んでいくのだった。







「……ん……あ?」


 次にエリーが目を覚ますと、彼女はベッドの上に寝かされていた。体を起こそうとすると、ズキンと腹部に激痛が走る。


「うぐっ、いっ…てぇ。」


 服をまくって腹部を見てみると、包帯で綺麗に巻かれていた。それを見てエリーはふと笑う。


「ははっ、今回も何とか生き残れたのか。」


 ずきずきと痛みが走る腹部をさすってエリーがベッドから起き上がると、部屋のドアがガラガラと音を立てて開いた。


「あ、エリー。目が覚めたんだね、良かった良かった。」


 そして入ってきたのはリースだ。


「お袋……。」


「丸々三日、寝込んでたんだよ。帰ってきてすぐオペしたけど、本当にギリギリだったんだから。」


 そう話しながらリースはエリーに繋がれた点滴のパックを新しいものに変える。


「あれから三日も経ってんのか。で、ヴラドの野郎どもの奇襲作戦はどうなったんだ?」


「あっちはあっちでしっかりと成功したみたいだよ。つい昨日報酬も置いてってくれたよ。」


 リースはエリーのベッドの隣に置いてあったアタッシュケースを指さした。


「開けてみなよ。私はもう中身が何なのかは聞いたからさ。」


「ん。」


 エリーはリースからそのアタッシュケースを受け取ると、ゆっくりと開けた。するとそこには、近代的な注射器が一本入っていて、何やら赤い液体で満たされていた。


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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