3ー2-9
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一ノ瀬からの着信にメイは警戒しながら出た。
「もしもし?」
『お久しぶりですメイさん。』
「今日は依頼?」
『はい、実はこちらで吸血鬼が複数潜むアジトの場所を発見しました。2か所あるのですが、片方はこちらの部隊で制圧しますので、エリーさんにはもう片方を制圧していただきたいのです。』
「ふぅん?そっちの部隊だけじゃ片付かないの?吸血鬼実験で生み出した生物兵器もいるんでしょ?」
メイのその鋭い問いかけに、少しの間端末の先の一ノ瀬が言葉に詰まる。
『その情報をどこで?』
「別に?風のうわさで流れてきただけだけど?」
『そんな風のうわさで流れるほど、最高機密のセキュリティーは甘くありません。……まぁ、それについてはいいでしょう。深く言及するつもりもありませんから。』
なにやら一ノ瀬は以前と比べると少し高圧的だ。そんな態度のまま、一ノ瀬はメイへと向かって問いかける。
『それで、受けていただけますか?』
「……。」
メイは一瞬エリーへと視線を向けた。するとエリーは一つ頷く。それが了承の合図であることをわかったメイは、一ノ瀬へと答えを告げる。
「わかった。その依頼、受けるわ。」
『そう言ってくださると信じていました。それでは座標を送ります。至急向かってください。』
それだけ言うと、一ノ瀬との通信が切れてしまう。
「だってさ、エリー?」
「依頼ならしゃあねぇさ、ナビ頼む。」
準備を整えながら、エリーはメイに言った。すると、メイの端末に1件のメールが入る。
「メール?座標のメールかしら。」
メイが確認するとそのメールの送り主は一ノ瀬で、今回向かう場所の座標と、末尾に一言あることが書いてあった。
『今回の依頼完了で、お二人への依頼は満了といたします。』
「エリー、今回の依頼で最後だってさ~。」
「はっ、たった2回出ただけで終わりか。ま、関係ねぇか金さえもらえりゃあそれでいい。ほんじゃ最後の仕事に行ってくるわ。」
パイルバンカーの入ったアタッシュケースを携え、耳に無線をはめたエリーはラボを出た。そしてメイのナビゲートに従って、吸血鬼のアジトがあるという廃ビルの目の前へとやってきた。
『エリー、その廃ビルが吸血鬼たちのアジトらしいわ。潜入には気をつけて。何がいるか情報がないから。』
「わかってる。」
エリーは無線を切ると、廃ビルの中へと一歩足を踏み入れた……その次の瞬間、エリーの背筋にゾクゾクと悪寒が走る。
それと同時に彼女の肩にポン……と背後から何者かが手を置いた。
「こんなところで出会うとは偶然か?」
「テメェはっ……ヴラドッ!!」
エリーの背後に現れたのはヴラドだった。彼はエリーのことを見下ろしながら、赤い瞳をキラリと光らせる。
「何の用だよ、それともここにいる吸血鬼どもってぇのはテメェのことか?」
「吸血鬼……?クク、なるほどそちらはそういう風に聞いてきたというわけか。」
くつくつとヴラドは笑う。
「どういうこったよ。」
「それは中に踏み入ればわかること。せっかくだ、今宵は手を組んでやろう傭兵エリー。なぁに遠慮はするな。行くぞ。」
「お、おい!!テメェ引っ張るんじゃねぇっての!!」
高らかに笑うヴラドに引きずられエリーはずるずると廃ビルの中へと連れ込まれるのだった。
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