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エリー達がリースのラボで身を潜めている最中、徐々に日本の様子に異変が起こり始めた。毎日のように流れてくるニュースには人間の変死体の話題が必ず報道されている。その変死体のどれもが体から血液がすっかり抜かれミイラ化しているとのことだ。
そして今日もまた流れてきた同じニュースを見てエリーが口を開く。
「いよいよ政府のやつらも隠し切れなくなってきたみてぇだなぁ。」
「まぁこれだけ連日報道されてたら隠蔽の手が回らないんでしょ。結局隠し事っていうのはいつかバレるものなのよ。」
コーヒーをすすりながらメイは呆れ顔で言った。
「だが、こんだけ大っぴらになり始めたってことはよ、日本中に吸血鬼が蔓延ってやがるってことだよな。」
「まぁ、そういうことになるわよね。いつどこで襲われるかわからない。怖い国になったわね日本も。」
そう二人が話していると、メイの依頼を受け付ける専用の携帯端末に暗号通信で連絡が入った。
「ん?暗号通信……このパターンは、日本政府の暗号ね。エリー、どうする?」
「話だけ聞いてみてもいいんじゃねぇか?」
「わかった。」
エリーに確認を取ったメイは通話を始めた。
「もしもし?日本の政府さんが何の用かしら?」
『突然のご連絡失礼します。私、吸血鬼捕獲計画の後任を任されました一ノ瀬と申します。』
「へぇ、今回はちゃんと名前は名乗ってくれるんだ。前任者よりはずいぶん社交的じゃない。」
『前任の無礼はお詫びいたします。さて、本題に入らせていただきますが、この度連絡させていただいたのは他でもない、現在日本で多数発生している吸血鬼事件のことです。』
「それならこっちでもニュースでいろいろ見てるわよ。隠蔽が追い付いてないみたいじゃない?」
『お恥ずかしい限りです。』
「で?結局のところ私たちに何をしてほしいわけ?」
『政府はこの事件を重く受け止め、対吸血鬼専門部隊を結成いたしました。お二方にはその部隊に入って日本に蔓延る吸血鬼を殲滅していただきたい。』
すると隣で会話を聞いていたエリーがメイから端末を奪いとった。
「あ、ちょ、エリー!?」
「悪ぃがなそういうのは御免だぜ。」
『そう言わずにどうか……吸血鬼を倒した実績があるのは現状エリーさんあなただけなのです。あなたが頼りなんです。』
「んなこと知らね……。」
エリーが話している途中で彼女の背後からリースがその端末を奪い取った。すると普段と声色を変えて話し始めた。
「やぁ一ノ瀬ちゃん。」
『そ、その声は……ユリさんですか!?』
「久しぶりだね。ずいぶん偉くなったみたいじゃない、私としても誇らしいよ。」
『ど、どうしてユリさんが……。』
「そんなことはどうでもいいじゃないか。さて一ノ瀬ちゃん、キミはエリー達の力を借りたいんだったね?」
『は、はい。』
「よし、それじゃあ条件がある。」
『条件ですか……で、できる限り飲ませていただきます。』
「エリー達はあくまでも彼女たちの要望がない限り単独行動させること。これだけさ、かんたんでしょ?」
『そ、それぐらいでしたら……問題ありません。』
「オッケー、それじゃ契約成立ね。もし破ったら……どうなるかわかってるよね?」
端末ごしながらも威圧感のある声で、リースが向こうの一ノ瀬へと向かって言う。
『も、もちろん承知しております!!遵守させていただきますっはいっ!!』
「うん、ならよし。それじゃあ代わるね。」
そしてリースは呆気にとられているメイに端末を手渡した。
「か、代わったわ。それで、具体的にどうするの?」
『け、契約を受けていただけるということで……三日後、他の対吸血鬼専門部隊メンバーとのブリーフィングがありますので、まずはそちらに参加していただければ……はい。』
「オーケー、詳しい場所はあとでこの端末に送ってちょうだい。」
『わかりました。それでは後程……失礼いたします。ユリさんにもよろしくお伝えください。』
そして連絡が切れる。それと同時にエリーとメイがリースに詰め寄った。
「オイお袋!!今のは一体どういうこった!?」
「政府の人とかかわりがあるんですか!?」
「あはは、まぁまぁ二人とも落ち着きなよ。あの一ノ瀬って子は昔私が気まぐれで政府に潜入していた時の部下なんだ。」
「引きこもり症のお袋が政府に潜入ねぇ。」
「なんか文句あるかい?」
「い~や、ただ意外だっただけだ。」
「ま、一ノ瀬ちゃんはいい子だから問題ないさ。何かあったらユリって名前を出せばいい。それでだいたいは片が付くさ。」
そう言ってルンルンと鼻歌を歌いながら二人に背を向けて歩き出したリース。
取り残されたエリーとメイの二人は、まだまだリースには謎が隠されていることを改めて思い知ったのだった。
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