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事件から数日経ったが、相変わらず依頼をしてきた政府とは連絡が取れない。二人は今回クライアントが死亡したとして依頼を破棄することにした。
そして本腰を入れてリースの依頼に力を注ぎ始めたメイは今回も松本ヨシキの特定に成功する。
エリーは彼が帰り道にいつも夜居酒屋で彼が来るのを待ち構えていた。
(そろそろか。)
時計で時間を確認すると、松本ヨシキの現れる時間が近づいていた。エリーは前と同じノンアルコールビールを飲みながら店の入り口をじっと眺めていた。
それから10分経ったが、一向に彼が現れる気配がない。疑問に思ったエリーはメイに無線で確認した。
「メイ、ターゲットが現れねぇ状況はどうなってる?」
『エリー、何かおかしいわ。ターゲットが会社から出てこない。』
「あ?さっき会社出たって言わなかったか?」
『そう一回出たのよ。でも忘れ物したのかわからないけど、戻っていったのよ。』
「……また違う。」
ぽつりとエリーがつぶやくと、メイが聞き直した。
『何か言った?』
「いや、なんでもねぇ。その会社行ってくる。」
『ナビゲートするわ。』
エリーは勘定を済ませてメイの案内のもとターゲットの会社へと向かう。
ターゲットの会社の前についた彼女は、異様な雰囲気を感じ取った。
「血の匂いだ。」
『ヤバそうな感じ?』
「あぁ、なんかヤバそうだ。」
『気を付けて。』
「わかってる。」
会社の裏口からエリーは潜入すると、ターゲットがいるであろうオフィスを目指す。そこに近づくにつれてどんどん感じる血の匂いが濃くなっていく。
「ここだな。」
ハンドガンを構え、オフィスの入り口の壁に背中をつけた彼女はそっと中を覗き込んだ。すると二人の人影が映る。なにやら言い争っているようだ。
「それで、僕を脅しているつもりですか?」
「い~や~?そんなつもりはなくてねぇ~。こっちとしても手荒なことはしたくないんでねぇ、黙って大人しくついてきてくれると助かるよぉ?」
「断ります。」
男の言葉を断ったターゲットは自分の腕を変形させていく。
「ここであなたを殺せば情報は洩れない。」
「はぁ~、そう来ますかぁ。面倒ですねぇ~、そこのあなた、見てないで手伝ってくれません?」
「っ!!」
そこのあなたと言って入口のほうを見てきた男。完全に気配を消していたエリーは警戒心を高めながら二人の前に姿を現す。
「まったく自信なくすぜ?スニーキングには自信あったのによ。吸血鬼ってのは感覚も鋭いのか?」
「感覚が鋭いわけではありませんよ~。ただ私にはたくさん目があるだけ。」
男がそう言うといたるところにたくさんの目が現れその眼光がぎょろりとエリーの姿を捉える。
「それがテメェの能力か。なかなかめんどそうだ。」
敵意をむき出しにするエリーとは裏腹に男は言う。
「勘違いしないでくださいよぉ、さっき言ったじゃないですかぁ~手伝ってくださいって。」
「どういうこった?」
「今はあなたと私の目的は同じ。彼を確保することでしょう?話はそれを終えてからしようではありませんかぁ~。」
突然の申し出にエリーは困惑するも、嘘をついているようにも見えないので、彼女は要求をのむことにした。
「わかった。」
申し出を受けると同時、エリーはハンドガンでターゲットの頭を撃ち抜いた。それに男は笑う。
「さすがですよぉ~。あなたはよくわかっている。」
男は自分の真下に目を出現させると、その中に飲み込まれていく。そしてよろめく松本ヨシキの背後に現れると、変形した腕をつかんだ。
「こちらの腕はもらいましょ~。」
するとまるで獲物を嚙んだ鰐が体を回して食いちぎるように、男が体を回転させるとターゲットの腕をもぎ取ってしまう。
「ぐあっ!!」
流石に苦悶の表情を浮かべるターゲットの目の前にエリーは踏み込むと、手にしていたブレードでターゲットの首を両断してしまう。
「終わりだぜ。」
「お見事ぉ~。」
ぱちぱちと拍手する男へ、エリーは持っていたハンドガンを向ける。
「で?あんたはこいつをどうするつもりだったんだ?」
「もちろん有効活用ですよ。彼はもともとはこちらのモルモット……実験動物なのですからぁ。」
「その口ぶり、まさかテメェが吸血鬼化する薬をばら撒いたのか?」
「半分正解、半分は不正解といったところですねぇ。」
けらけらと笑う男にエリーは詰め寄る。
「そいつならくれてやる。その代わり、一つだけ教えろ。」
「質問の内容にもよりますがぁ~、なんでしょ~?」
「テメェらのトップにいるのはヴラドか?」
核心に迫る質問を彼女は投げかけると、男は少し驚いた表情を浮かべるがすぐにニヤリと笑う。
「その質問はまったく合っていませんねぇ~。ですが、私たちの組織にその名前のお方はいる……そう答えておきましょうか。」
そう答えると同時、男とターゲットの体の真下の目が現れると、二人の体が沈んでいく。
「では、また……どこかで。」
そして完全に二人が消えた後、いたるところにあった目がすべて瞳を閉じると、それらもすべて消えてしまった。
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