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翌日、エリーとメイの二人はとある山奥にある温泉旅館へと足を運んでいた。行楽シーズン真っただ中の山中は紅葉で紅く美しく染まっていた。そんな景色を楽しみながら山を登るメイと対照的に退屈そうにエリーは山を登っていた。
「まさか朝っぱらからこんな山道を登ることになるとはなぁ。」
「あら、もうバテちゃった?」
「バカ言えよ、ただこうやって山登ってるのがつまんねぇだけだ。」
「景色でも見ながら登ればいいじゃない。周りも紅葉で色づいててとっても綺麗じゃない?」
「景色じゃ腹は膨れねぇぞ?」
「あ~、はいはいエリーは花より団子派だったわね。景色を楽しんでって言った私が間違ってたわ。」
そんなことを話しながら山を登っていると二人の前に巨大な鳥居が現れる。
「ほぉ〜、ずいぶんでけぇ鳥居だな。」
「この先でいいのかしら。」
その巨大な鳥居をくぐり、少し進むと、二人の目の前に風情ある和の雰囲気に包まれた巨大な旅館が現れた。
「おぉ~、こんな山奥にあるってのにしっかりしてるじゃねぇか。」
「ね!さ、中に入りましょ。ここ登って来たときに汗かいちゃったからさっそくお湯につかりたいわ。」
二人が旅館の扉を開けると、玄関口で和服に身を包んだ女性が二人のことを待っていた。
「ようこそいらっしゃいました。エリー様、メイ様。私、この旅館で女将を務めておりますツバキと申します。」
「え、私たちのこと知ってるんですか?」
「ふふふ、えぇリース様からお話はたくさん伺っております。もちろん今日お越しいただくことも事前に。」
「ほぉ、ちなみにお袋はここに来たりしたことはあんのか?」
「度々いらっしゃっては日ごろ溜まったものをお湯に流していかれますよ。」
「あの引きこもり症のお袋がねぇ……。よほどいい湯なんだろうな。」
「なにせ、当旅館はリース様が費用をすべて負担して建てたものですから。」
「「え……。」」
突然のカミングアウトに二人は思わず固まってしまう。
「ふふふ、そのお話はまたお部屋でいたしましょうか。どうぞ、お上がりください。」
ぽかんとする二人を連れて女将のツバキは旅館内を進み、二人のことを旅館最上部にある特別な一室へと案内する。
「こちらがお部屋になります。」
「ひっっっろ。」
案内された部屋の全貌を見て思わずメイがそう言葉をこぼした。その反応に女将のツバキも満足そうに微笑む。
「こちらは普段リース様専用のお部屋となっております。ですがこの度リース様にお二方をこちらに案内するよう言伝を預かりましたので。どうぞごゆるりとお過ごしください。」
「あ、ありがとうございます。」
エリーとメイの二人がその部屋に上がり荷物を置いていると、女将のツバキは二人に向かっていった。
「ここまで来るときに汗をかかれたでしょうから、湯船で体をお流しになってはいかがでしょうか?」
「ぜひ!!」
「ふふふ、それでは浴場のほうに参りましょうか。」
浴場へと向かっている途中、ふとツバキが二人に問いかける。
「お二方はお酒のほうはお飲みになられますか?」
「私はそんなに強くないお酒なら……ちょっと。」
「アタシは酒なら何でもイケるぜ。」
「承知しました。ありがとうございます。」
そして浴場へと二人のことを案内すると、ツバキはぺこりと一礼して二人を送った。
「それでは当旅館自慢の湯、存分にご堪能ください。お着替えは後程こちらで準備いたしますね。」
「ありがとうございます。」
二人は浴場に隣接されている脱衣場に入ると、背後でそっとツバキが扉を閉めた。
「さてっと、久しぶりの温泉楽しむわよ~。」
「はしゃいでのぼせるんじゃねぇぜ?」
「そんなぁ、子供じゃないんだから大丈夫よ。」
メイに続いてエリーも服を脱ぎ、乱雑に籠の中へと放り込んでいると、ふと横から視線が注がれていることにエリーは気が付いた。
「ん?なんだメイ。」
「いや、その~やっぱりエリーって発育良いんだな~って。胸も私より大きいし……。」
エリーの胸と自分の胸を見比べて少し落ち込むメイ。メイも決して極度に胸が小さいわけではないが、自分より大きな人物と並ぶと気になってしまうらしい。
「こんなもん戦場じゃ邪魔になるだけだぞ?あったってそんなに得しねぇよ。」
「それでも私は胸は大きいほうがいいわ!魅力的にみられるし。」
「ほーん。」
そっけなくメイの話を流しながら、エリーはナイフと拳銃を湿気のこもらない袋に入れ、タオルにくるむと浴場のほうへと歩きだす。
「エリーお風呂までそれ持っていくつもり?」
「当たり前だろ?世の中何があるかわからねぇ。備えあれば憂いなしってやつだ。」
「ま、まぁそうだけど……。」
「まぁアタシのことは気にすんな。メイは余計なことは考えねぇで温泉を楽しむことだけ考えてりゃいい。ほれほれ、とっとと行くぞ。」
「ちょ、ちょっと。」
ぐいぐいとエリーはメイの背中を押して浴場へと向かわせるのだった。
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