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狂乱武舞  作者: 鹿末玄胴爾
2/7

第一話「暗雲」

 ーー此処は地下国。

 薄暗く身体に害を及ぼすであろう空気が舞い、見上げた先には地盤が崩れないよう歪な柱で支えられ、柱の周りには人々が住むための区域があった。

 区域は五箇所に分かれており、二番目に広く職業が盛んである『B区』。


 人口が多く、家も多い。そして、「訳」があって家を捨てる人間も沢山いる。

 よって捨てられた家は邪魔になるのだ。


 そんな邪魔になった家を大きな建設機械がアームを振り下ろして破壊していた。


「親方ぁ、面白そうなものが出てきましたよぉ‼︎」


 土や埃で汚れた作業員の青年が、嬉しそうな顔で親方と呼んだ男の元まで駆け寄る。


「何だそりゃ……。昔の携帯機器か?」

「これ、貰って帰ってもいいですか!?」


 青年は鼻息を荒くしながら男の顔を見る。男は乗っていた建設機械から降り、青年の前へ立った。

 そして、口を開く。


「林山、この土地の現所有権は元請けにある。つまり、出てくる物全ての権利は元請けの物だ」


 林山は落ち込んだ顔をし、手に持った物を元の場所に置きに行こうと歩きだした。

 それを男が呼び止める。


「俺個人の判断で許可は出来ん。……が、掛け合うのならばいくらでも協力してやるさ」

「本当ですか!? ありがとうございます!!!」


「あんまり期待はするなよ。貰えない可能性もある」


 男は林山の頭を撫でていると、後ろから聞こえる声に気づいて振り返った。


「金城社長ーー!!」

「何だ倉沢。そんなに慌ててどうした?」


 車から飛び降り走ってきた倉沢は、息を切らしながらも金城に説明をする。


「ひ、樋上さんがーー!!」

「……奴らか?」


 問いかけると倉沢は頷いた。すると穏やかな表情をしていた金城の顔は険しくなる。


「……容体は?」


 震える倉沢の肩を金城は優しく叩き、気持ちを落ち着かさせると樋上の状態について説明を受ける。


「酷い状態ではありますが、幸いにも命に別状はありませんでした。今は中居が事務所で守っています」

「そうか……」


 命に別状はない。その一言で金城は安心した顔をする。

 大事な仲間は死にはしなかったが、これ以上被害は出さないために金城は行動に移した。

 後ろの方で話を呆然と聞いていた林山に呼びかける。


「お前には申し訳ないが今日は家に帰らず、事務所へ泊まっていけ。数人で居た方が安全だろう」


 我に帰った林山は頭を下げ、その場を後にした。次に倉沢の方へ目をやる。


「倉沢はーー」


 金城が言い切る前に倉沢は走りだし、自身が乗ってきた車に駆け寄る。

 そして、車の後ろへ歩いていきトランクを開けた。


「只々、やられて帰る訳にはいきませんからね」


 ノートパソコンと大きな鞄を取り出し、不敵な笑みを浮かべた。パソコンの電源を入れると中心に複数の赤い点が映し出される。

 それは樋上らを襲った男たちの位置情報だった。


「一度ならず三度も……。私は到底奴らを許せません」


 社長、そうでしょう? と倉沢は金城に問いかけた。


「……嗚呼、あの汚物共に明日は与えない」


 金城の瞳に殺意が宿る。


以前書いていたものがどうも気力乗らなくて、改めて一から練り直して書きました。

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