プロローグ「悲劇と過ち」
二千四十三年、超常現象発生。
超常現象の壱。
六十度を超える高温に晒され、木々は燃え尽き海は蒸発して辺り一面が荒野と化した。
超常現象の弐。
未知なる疫病が突如蔓延して疲弊した数多なる命を蝕み、奪い去った。
超常現象の参。
干魃により地表が軟化を引き起こし、膨大な地割れが発生して全てを飲み込んだ。
超常現象の肆。
それらを乗り越えた者は狂気に陥り、己が生き残るために他を淘汰し始めた。
地上は狂者が蔓延る地獄となり、力無き者達は逃げるべく地下に身を潜める。
力無き者達は度重なる難題を生きる残るための執念で解決していき、気づけばそこには地下の帝国が出来ていた。
国の誕生、敵の居ない安定した環境。それらが生み出すのは驕り。
弱者は強者になるために考えを持ち始め、派閥となって争いが起きる。そして、一つにまとまっていた国は五つの区域に分かれた。
自身を「貴族」と名乗り、他を見下す中央部。「命」を大事にし平和に暮らすA区。
他と交わらず、「職」を重んじるB区。来るべく「地上人」との戦闘に備え、武装を強化するC区。
これらの身勝手な思想に苦しめられて、全てに憎しみを抱くD区。
その中の一つであるB区に住んでいる暗い過去を持った血濡れた一人の男。
ーーそんな一人の男の話から始まる。