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第7輝 邂逅

───ドォォォオオオン

「うわッなんだ?!」


 突然変わった自分の性別に驚いているのも束の間、突然近くで起きた爆発に驚いて、思わず立ち上がって声を出してしまう。

 ───そういえば声も女の子っぽい声になってたな……って違う違う。

 頭を振って雑念を飛ばしてから、爆発があった方に目をやる。

 まさか、俺を殺しかけたあの蟹のSOが移動したのか……?

 ってことは、ここら辺の空間を切り取っていた奴が移動したということになる。確かに、ここら辺の空間は正常なような()()()()

 ここら辺で被害が出ることはもう無さそうだが、打って変わって今爆発が起きた方───あちら側では、空間が切り取られているような違和感を()()()()。魔法少女になったことで、魔法的な感覚が敏感になったのだろうか……?

 まぁ何せ、俺が感じたことが本当ならあそこで起きた爆発に巻き込まれた人がいるかもしれないということだ───


「どうしましたか?」

「いや、あれ、巻き込まれた人いるのかなって───ん?」


 ───自然と返してしまったが、今、誰に話しかけられた……?

 凛とした女の子のような声だったが、近くに誰かいるのか……?

 声の主を探すように周りを見渡すが、見える範囲にそれらしき姿は無い。いるとしても俺の足元を歩いている白猫ぐらいで───


「それです、それ」

「いやいや、まさか猫が話す訳……」

「私ですよ、わーたーしー」


 ───いや、間違いなくそこの猫だわ。

 明らかに猫の方から声がする。どういう仕掛けか分からないが、なにせ魔法がある世界だ、


「猫が喋ってもおかしくないか……」

「そういうことです」


 そういうことらしい。

 思わず漏れてしまった俺の言葉を首肯しながら、白猫の姿をした謎の生物は、俺の頭と同じぐらいの高さまでがぷかぷかと浮かび上がってくる。

 ───って俺縮んだなぁ……いや、少女の姿になってる時点で薄々気付いてはいたんだが、こう、メジャーで足から身長を測られているのと同じ気分になって、より実感してしまった。

 また現実逃避気味に関係の無いことを考えていると、ふと、魔法省の精霊について書かれた資料のことを思い出した。

 魔法少女の中にはまれに、精霊と言われる存在と心通わせることが出来る者が現れる。

 彼女たちは精霊達の力を借り、時に助言を貰い、時には共にSOと戦う。

 精霊たちは魔法少女に協力する報酬として魔法少女自身の魔力を貰い、戦闘の時は貰った魔力を高度な魔法構築能力を用いて強力な魔法に変換する。

 最強の魔法少女の一角、【精霊の魔法少女】も名前の通り精霊と心通わせられる魔法少女の1人で、数多くの精霊達の力を借りることで、多種多様の強力な魔法を使い、様々な状況に対応できる『万能』として知られる。───資料には精霊の魔法少女は日本人と書かれていた。活躍もテレビで知れるし、だから覚えていたんだが。


「精霊?」

「違います。()()()()()の子供たちと一緒にしないでください」


 そんな精霊かと思ったのだが、どうやら違うらしい。食い気味で否定されてしまった。


「じゃあなんなんだよ」


 魔法省の資料にも、精霊以外で喋る猫のようなものについての明記はなかったはずだ。この猫が精霊でないと言うなら、魔物か……? まさかな───

 金色の宝石でできた直剣を握る力が少し強まる。目の前の存在が、妙な動きをした時に、すぐに切れるように。


「私はサポートフェアリー。あなたの力によって生み出され、あなたのことをサポートするためだけに在る存在です」

「俺の力……?」

「はい。私はかの精霊王のクソ野郎によって生み出された存在ではなく、あなたの力の一部によって作られた存在です。現に、ほら、触れるでしょう?」


 直剣を握っている右手に擦り寄るようにした白猫に───確かに触れれる……精霊は触れることが出来なかったはずだ。なるほど、確かにこいつは精霊ではないということらしい。

 彼女───女の子のような声だから彼女と呼ぶが、彼女の言い分から察するに、精霊はボロカスに言われている精霊王とやらが生み出した存在で、魔法少女全体に協力する。サポートフェアリー(彼女自身)は俺の力によって生み出された存在で、俺だけに協力する。

 それぞれ明確に違う存在ということなんだろう。

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