[1-6]守りたい者のために
……気づいたら僕の体は動いていた。
そして、男の前に阻む。
「カムイ!? 何してるの! それに、まだ魔法が使えないんじゃ……」
「ううん、さっき魔法が使えるようになったよ、神楽さん、ありがとう。それに、神楽さんが悲しそうな顔をしてたから……そして、あんな思いもう二度としたくないから。だから、反乱軍と戦う!」
「フッ、フハハハハ……面白いね、君。魔法が使えなかった……か。いいのかな?私達は、君たち学生を囲っている状況だ。いつでも君たちをこっちに来させることをできるんだよ」
「知ってるよ、だから……」
そして、僕は7年ぶりに魔法を発動させる。
「――エターナルフリーズ!」
……私はこの光景に驚いている。
なぜなら、さっきまで魔法が使えないといっていたあの少年が、我らの兵士の大半を氷漬けにしたのだ。
そして今の攻撃により、こちらの兵力がほとんどいなくなったことになった。
まずい……このままだと残りの兵士が学園の者に倒されるのも時間の問題だ。
撤退するか、いや、この少年は見たところA級魔法を無詠唱で唱えた。こちらに引きずり込めば大きな戦力になる。そして、この状況も打開できるはず。
それに私は魔法より接近戦のほうが得意だ。そして、不意打ちで一気に接近し、確実に――
「なっ!」
僕は男の間合いに素早く入り、強烈な前振りをするが、男はギリギリで防いでいた。
それから近距離戦になった。あの男は、かなりの剣の使い手、でもぼくもこの7年間何もしてきたわけではない。
魔法練習も剣術もそうだ。僕が必死に努力した成果。だから……絶対に負けない!
そして、僕は男に蹴りを入れ、ふっ飛ばした。
「……くっ、この少年、剣術も強い。どうやら、近接戦でも勝てそうにない……か」
「仕方ない。奥の手を使うしかないようですね」
……僕があの男をふっ飛ばしたあと、男は何かをしていた。
見たところ石を持っている。どこかで見たような――「あっ!」
そこで僕は気づく、あの男が何をしているのかを
あれは、僕がテーマパークで見た竜を呼び出す魔石だった。
気づいたときには遅く……空には穴が引き裂かれている。
「……さあ、来なさい。クリムゾンドラゴン!」
そうして、穴から真紅の色をしたドラゴンが降臨しのだった。
そのドラゴンは50メートルはある巨大なドラコンだった。
そして――
「なっ!」
男は魔法で竜の腹を貫いていた。
「ギャァァァー」
竜は痛みのあまりとてつもない悲鳴を上げる。
……それを僕は許せなかった。
反乱軍に致命傷を受けると操り人形のように反乱軍になってしまう。
そして、死ぬことがない魔法――イモータルは人にしか発動しない。
つまり、竜はいま瀕死の状態にあり、そして、無理やり戦わせようとしている。瀕死の状態にまでさせてまで……それに、何も悪くない龍を……
僕はそこまで怒らない人間だと思っている。しかし、今回だけは本気で怒りが湧いてくる。
「絶対に許さない!」
「素晴らしい。クリムゾンドラゴン。さぁ、あいつらに撃砕を食らわせなさい」
そして、竜は攻撃体制に入っていた。
「――エターナルウォール!」
瞬時に無詠唱で氷の壁を作り、ドラゴンが放った炎と相殺させたが、もう一度炎を放とうとしていた。
それを見て、僕は竜の元へ攻撃しようとする。しかし
「通しませんよ」
男がカバーに入り、そうしてまた炎が放出される。
「くっ、――まずい!」
僕はすぐに男と距離を置き、再びエターナルウォールを唱え、炎を粉砕した。
「はぁ……はぁ……」
しばらく魔法を使わなかったため、体力が無くなってきている。
「おや、体力が無くなってきていますね。ではそろそろ終わりにしなさい。クリムゾンドラゴン!」
そうして、真紅のドラゴンがさっきより高度な魔力を放って攻撃体制に入っている。
きっと、あの攻撃を受けたら友達や生徒がこの学校は燃え尽きる、そう思った。そんなときだった。
「カムイ負けるなー!お前ならできる。友達の俺が言うんだ。だから頑張れカムイー!」
僕は後ろを振り返る。そこには裕翔が必死に応援をしていた。さらに、
「カムイ!あなたならできる。私を救ってくれたように、だから、この学校や仲間を救って!お願い!」
神楽さんも全力で応援していた。
そして、葵先生もクラスのみんなも学校の生徒も僕のことを応援してくれている。
こんな危機的状況なのに僕は笑ってしまった。
――嬉しかったのだ
そして、僕は一つだけ勝てる方法を思いついていた。
でも出来るかは……賭けだ。初めて使うこの魔法、でもやらないといけない理由がある。だから僕は詠唱を始めた。
「――氷の精霊よ。我に加護を与え、氷の力を幻出させ、轟かせよ」
「ごめんね……」
僕は竜に小さく呟き、魔法を放つ。
「クリスタルアースブレイク!」
僕が魔法を放った瞬間、竜も炎のブレスを吐いていた。
そして、僕の放ったSランク魔法と炎のブレスが触れた瞬間、炎は氷に飲まれた。
そうして、戦いは終わった。