[1-2]話し合い
それから僕は、魔法が使えないことが発覚して学園長によばれることになった。
周りにいた生徒たちは僕を笑う人もいれば、馬鹿にする人もいた。理由は簡単、僕がクラス、いやこの学校で唯一魔法が使えない生徒だからだ。
この反乱軍対抗魔法学院は、反乱軍に対抗するための魔法専門のエリート学校。
つまり魔法が使えないということは、ここにいても意味がないとされ、退学処分を受けることになる。
「何とかして少しでも多くここに居れるようにしないと……」
そう思っていると学園長室の前まで来てしまった。
「ふぅ……」
深呼吸をして、2回扉をノックする。
「失礼します」
「どうぞ」と返事があり、僕は、学園長室へ入るのであった。
……中に入ると、学園長と葵先生が向かって座っている。
学園長は無言で僕を見ていて、葵先生は呆れたかのような顔で僕を見ていた。
「まず座りなさい」
「失礼します」
僕は葵先生の隣に座り、正面の学園長は、僕に話しかけた。
「吹雪カムイくん。君は受験で筆記テスト教科平均97点と優れた成績を出した。でも魔法実戦は受けていない。そして蒼龍先生から話は聞いている。君は魔法が使えないんだよね? ではなぜこの学院に入学したのかな?」
「――魔法を使えるようにするためです」
僕が理由を言った瞬間――
「ふざけるな」
僕の隣から罵声が響いた。
「この学校は何の学校かわかっているのか?」
「……わかります」
「じゃあ、なぜ魔法が使えないお前がこの学園に入学したんだ?」
「――では先生は、なぜ僕が魔法が使えないと思いますか?」
そこで先生は気づいたようで言葉が詰まった。それもそうだ。魔法は誰にも使えて中学校までに必ず習う義務教育。魔法が一つも使えないということがおかしいのだ。
「では、吹雪お前はなぜ魔法が使えないんだ?」
葵先生の問いに――「先生。僕は氷血病をわずわっているからです。」
その言葉を聞いた瞬間、葵先生は驚いた顔をしたのに対して学園長は、疑問符を浮かべていた。
「氷血病とは何だね?」
僕が口を開く前に葵先生が説明し始めた。
「魔法を使うには魔力が必要です。その魔力は心臓から分泌して、血液を巡り全身に魔力を流れさせることで魔法が使えます。しかし、魔力のストック量が多く、なおかつ得意属性が氷属性である人が稀に出る病気です。そして、心臓から魔力を分泌する時、氷魔法が心臓で少しずつ発動するんです。それにより心臓が凍っていき、心臓の機能が低下して魔力が分泌されなくなっていきます。吹雪の病状は完全に魔法が使えないことから病症は、酷いものでしょう。吹雪。手を見せろ」
そういって、葵先生は僕の手の脈を確認する。
「脈は動いていない。これは相当酷いな。もう治らないかもしれない」
葵先生の言葉は本当だ。実際、ぼくは心臓が動いていない。本当なら死んでいる人間だ。でも生きていられるのは、死ぬことがない魔法――イモータルのおかげである。
――それでも完全に治らないと言うわけではない。
僕は椅子から学園に向き直る。そして、ぼくは学園長に頭を下げて――
「確かに先生の言う通り氷血病は治らないかもしれません。しかし、この学校でもしかするとこの病気が治るかもしれないと思って入学しました。少しでもいいのでこの学校にいさせてください」
「……ふむ。なるほど。では、吹雪君。君はこの学校で魔法を使えるようになれるかもしれないと思って入学したと」
「――はい」
「……では一週間。一週間この学園で、医学に詳しい研究者や教師に病気の改善策を聞くといい。きっと治すヒントになるかもしれない。でも一週間で魔法が使えなかったら退学してもらう。それでいいかね?」
「ありがとうございます」
そうして僕は一週間この学校に入れることになった。絶対にこの病気を直して、魔法を使えるようにする。大切な人を助けるために