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第八十四話…… 『街に揺蕩う黒い煙・1』

薄暗い空間の中で複数人で話をする声が聞こえる、 男達の声だ、 廃墟の様になった街外れの建物、 それが彼等の潜伏場所だ


……日暮達が藍木山攻略戦を決行する前日の夜で、 時刻で言えば二十時程


話をする彼等は『ブラック・スモーカー』と自身達を名乗り、 目的の為日々裏で戦い、 画策している


この空間には五人、 ブラック・スモーカーは六人の組織だ、 彼等は他愛のない話で盛り上がるが、 一区切りついた所で、 リーダーの男、 ナハトが切り出す


「そう言えば、 明日の事だけど」


明日、 その話で他の四人の目付きが変わる、 明日、 彼等は甘樹の街にて大きなある作戦を企てようとしていた


「俺は明日の朝、 少しだけ猿帝に会いに行ってくるよ、 明日に備えて一応忠告を伝えにね」


この時ナハト達は、 明日になればこの猿帝率いる、 猿帝血族が人間達に戦いを挑まれるという事は知る由もない


「空帝・智洞炎雷候ちどうえんらいこう、 あの巨龍をこの世界に呼ぶんだ、 最悪の場合被害は甘樹の街だけには済まない」


龍……


「くふっ、 龍、 遂に龍に会えるんだな俺は」


そう言うのは常に大きめのパーカーを羽織りフードを被った男でいつも顔は影が指している、 上背は高く無いが、 線が細い


湿地帯に響く低音の様な声を出し、 興奮すると不気味な笑い方になる癖がある


「そうだよ、 楽しみかい? 冥邏めいら


冥邏と呼ばれた男は頷き笑う、 勿論この名前は偽名だ、 だが彼は本名を名乗った事は無い


「小さい頃からの夢だった、 嵐や雷を人は神々と連想し、 それは渦を巻く龍の形を取った、 まさに超自然的力の存在、 どれだけ夢想した物か……」


あっはっはっはっ


冥邏の語りを遮るように大きな笑い声が響く


「おい遠太具とおたく、 でかい声で何を笑う」


薄暗い空間の中でも存在感を感じる程に大きな体を持つものが居た、 遠太具と呼ばれた男だ


二メートル近くあると言う身長、 膨張した肩の筋肉、 そして何よりデカい声が特徴で、 とにかく空気の読めない奴だ


「いやぁ! 済まない! 龍だぁ何だと、 幼子の様な事に憧れ、 それに精を出していると聞いたらついなっ!」


ちっ


「貴様…… いや、 いい、 何時もの事だ、 その緩く世間知らずの一センチ四方程度の脳みそに毎度毎度、 態々あーだこーだ言うのも疲れる」


遠太具は首を傾げる


「? 何故怒っている! それにあまり難しい事を言うなっ、 お前の話は一向に理解出来んっ!」


はぁ……


ため息を着いたのは冥邏だけでは無かった筈だ


「遠太具、 冥邏はクイズを出したんだよ、 一センチは、 何センチだい? 分かるかな遠太具」



「んっ? 一センチが、 何センチ…… ん………… んん………」


相変わらずだ、 ナハトも態度にこそ出さないが、 遠太具をうるさいと思っている、 だからいつも決まって、 前後の話からこういった意味のわからない問題を作り遠太具へ出題する


遠太具は超が付くほどの馬鹿だが、 こういったクイズは答えを他人から聞きたがらない、 だから無駄に考えあぐねて諦めるまで頭を悩ませる、 つまり静かになる


遠太具が黙り、 一拍空いた所で、 一人の男が声を出す


「そう言えば、 今回の作戦、 私の能力が必要になるんだったね」


ブランド物のスーツを着こなした男だ、 身だしなみも整えられて居て、 まるで仕事中のサラリーマン風だ


「そうそう、 雨録、 君の能力が大事だ、 カーン・ゲルト、 異世界からこちらの環境に応じたモンスターを無差別的に召喚する能力、 かの龍もこれを使って呼び出す」


ふむ……


「それなんだが、 私の能力は本当に無差別で、 指定は出来ないよ? どうやってその龍を呼び出すつもりだい?」


森郷雨録もりさとさめろくはそう言いながらツマミのチェダーチーズを一切れ掴み口に運ぶ


「ああ、 それね、 その為の冥邏さ」


おや?


「そうだ、 俺が鍵になる、 あまりにそれに特価していて他に使い道がない上、 今まで伏せて貰っていたが、 俺の力で龍を呼ぶ事になる」


ふむ…………


「冥邏が居れば龍が寄ってくるという事かい? 冥邏さえ居れば確実に?」


ナハトは頷く


「そうだよ、 龍が求めている物がある、 そして冥邏はそれを、 いや、 厳密に言えばそれその物では無いが、 まあ結果としては同じ物を持っている」


成程………


「分かったよ、 それ以上の説明は要らない、 能力と言うのは厄介になれば成程、 理解しようとするのが億劫になる」


それよりも……


「話は変わるが、 ちょっと質問をしても良いかな? ナハト」


ん?


「いいよ」



「ありがとう、 その今回の作戦で呼び出す龍だが、 君は確かこの龍の事を『空帝』と呼んでいたね?」


ナハトは頷く


「そうだよ、 空帝・智洞炎雷候、 大昔から存在する古龍で、 その強大な力を持って、 空の帝王と呼ばれている」



「成程、 で、 だが、 その『空帝』と言う呼び名は、 君が交流していると言う、 『猿帝』とか言うモンスターと同じベクトルと言う事で良いのかな?」


ナハトは、 「ああ……」と声を漏らし首を横に振る


「違うよ、 ややこしいよねその辺、 まず何が違うって強さが全然違う、 存在の格がね」


「猿帝はね、 族帝と呼ばれる十二体のモンスターに与えられる称号であり、 強い力を有した種族、 その中でもとりわけ強い十二種族の長に与えられる」


「だが、 これはあまり多くの意味を持たない、 この族帝と言う称号は確かにあって、 それを与えるのはこの世界で言う全知全能の創造神だと言われている」


「それでも、 族帝殺し、 なんて呼ばれる奴も居たくらいだ、 あの世界でね、 族帝はしょっちゅう殺られ、 入れ替わっていた」


「何千万、 もしかしたら何千億と、 広い世界には多くの種族の生物が居る、 そいつらが日々戦い、 そして勝ち続けた物が族帝さ、 それでも翌年には殺され入れ替わり、 短い帝王だった奴だって居る」


「猿帝もそうさ、 奴らが猿帝血族としての地位を確立したのは、 現族帝の父、 荒昏徒檑侯あぐれとらいこうが他種族間をまとめあげ全体の帝王として立ち上がったからさ」


成程な……


「つまり、 運次第ではどんな奴でも族帝になれる、 ある意味平等な力の争いという事かい?」


ナハトは頷く


「で、 逆に『空帝』と言うのは、 巨大な世界の全ての空を統べる者の事だ、 ここで勘違いしては行けないのは、 過去にも居た、 神話級古龍を除いた龍達の群れの帝王『龍帝』や、 巨鳥種の長、 『鳥帝』等は、 あくまでもそれぞれその種族の帝王に過ぎないという事」


「とても空を統べる力は無い、 一部ではこの二つの帝称を分ける為に、 種族の帝王、 『族帝』、 世界を統べる帝王、 『世帝』と言い分けたりする」


世界を統べるか……


「その、 世帝は『空帝』以外にどんなのがいるんだい?」


ナハトは顎に手を当てる


「有名なのだと、 海統べる『海帝』、 地上を統べる『地帝』、 それから……」


「『陽帝』、 これはこちらで言う太陽の事、 あれは空の向こうでは巨大な獣だと言われたりするけど、 流石に御伽噺だと思うね」


「他にも『月帝』は、 大昔、 『陽帝』に敗北し小さくなった、 こちらで言う月だね、 その破片が星々になった、 これも御伽噺さ」


「さっき冥邏が言ったろ? この世界の人間は、 嵐や、 雷を神に見立てた、 それと同じ、 世界にある力ある物に名前を名前を付けた」


「違う点があるとすれば、 それが本物の龍だったという事さ、 世界原初から存在し、 『世帝』は神と同等の力を持っている、 もしくは『世帝』の事を神と崇める者も居る」


因みに……


「三体の世帝、 その力の強弱は決められていない、 争った事が無いからだ」


「海帝は、 基本海底にいて、 地上に出ることは無いし、 地帝は、 おそらく岩盤程の地底に暮らす為、 この二帝を見た事ある者は殆ど居ないよ」


「だが、 空帝、 智洞炎雷候は、 この空を飛び多くの地を訪問している、 降りた地を尽く滅ぼしてね」


話を聞いていた者達は短く息を吐く


「それでだが、 そんな龍を呼び出して、 君はどうするつもりだナハト? ただこの街を滅ぼして終わりか?」


あははっ ナハトは笑う


「違う、 違う、 魔王の幼体とぶつける、 俺の狙いはあくまでも魔王さ、 魔王は戦いを経験すればする程力を付ける、 彼女には魔王として成長して欲しいんだ」



「死んでしまわないか? 今第の魔王はまだ幼体なんだろ?」


ナハトは不気味に笑う


「どうかな、 多分初めは戦いにはならないだろうね、 でも今回の魔王は特別製だ、 そもそも、 神の力を与えられた勇者と戦う存在、 魔王もまた、 神と同程度の連中から与えられた力だ」


つまり


「神と神の戦いって感じかな、 面白そうだろ?」


まあね


「私は明日、 見晴らしのいい所で神々の戦いを見ていようかな、 破壊と絶望、 これ程酒に合うツマミもないからね」



「あははっ、 そうだった、 雨録はそういった趣味なんだよね」


不思議な事だ


「ナハト、 君こそ、 君は何者何だ? 何故こんなにも異世界の事に詳しい? 何故勇者でありながら魔王の育成に励む?」



「ふふっ、 気になる? まあ、 でも、 また話すよ、 これから凄く大事な時期に……」


バンッ!!


大きな拍手が突然部屋に響く


「分かった! 一センチは、 一センチだっ!! どうだ? 合ってるか?」


遠太具だ、 無駄なクイズを解き終わったか……


「正解、 そうだ遠太具、 明日は君にも頑張って貰うよ、 甘樹シェルター、 あれを襲ってくれ」


遠太具は笑う


「良いのか? 皆殺しだぞ?」



「良いよ、 徹底的にやって、 魔王は今はまだ善良な幼子、 あれにはもっと絶望、 暗い感情が必要だ」


それと……


「韋刈は留守番お願いね」


うつらうつらとして今にも寝落ちしそうだった男が名前を呼ばれ反応する、 街で日暮と戦った男、 柳木刄韋刈やぎばいかり


「あ? わーってるよ、 まだ本調子じゃねぇ、 骨は繋がったがな」


よしよし


魚倶露ぎょぐろは?」


冥邏が静かに聞く


「彼は、 まあ、 どうかな、 もしかしたら協力してくれるかもね」



「私達の中で彼が一番、 いや、 二番目くらいには不思議だよ」


まあいい……


「それじゃあ、 明日は首尾よく行こう、 全ては美しいこの世界の為に」


酷い冗談だな、 これから破壊する世界に、 か……


彼等はあくまでもそれぞれが、 おのがために戦うのだ、 ただひとつ言えることは、 彼等ブラック・スモーカーは……


「みんな、 明日は楽しもうね」


他人を傷付けることを忌避しない、 絶望の嘆きを笑う、 平気で命を奪う、 悪人集団共だと言うことだ……


……


そうして時は進み、 日暮達は藍木山攻略戦を行う


ちょうどその時、 街では……


………………………………



……………



……


どこ…… どこ行ったの…………


「雪ちゃん、 どこ行ったの?」


花柄のワンピースが焦った様に忙しなく揺れる、 異世界からの来訪者、 フーリカは焦っていた


日暮達が藍木山攻略戦を行っている間、 藍木シェルターの住人は、 甘樹シェルターへと移動になった


フーリカの能力で二つのシェルターを繋げ30分ほどで移動が完了している、 その為藍木シェルターは無人だ


……先程の事だ、 雪ちゃんが突然やって来て、 フーリカに対して言った言葉


…………


『……嫌な予感がするの、 凄く恐ろしい力を感じる、 何かが近ずいてる』


雪ちゃんは魔王の幼体だ、 日暮は彼女の事をとても気にかけている、 魔王なんて関係無ければ確かに彼女はただの子供だ、 無情にも両親何者かに殺され、 そのショックで記憶を失っている


日暮で無くても彼女の事を助けたいと思う物だろう、 本当ならフーリカだってそうだ


フーリカも同じだから、 家族が、 人々が、 王女であるフーリカを助ける為に死んだ


全ては魔王のせい、 前代魔王によって国が滅ぼされ、 フーリカは何とか自身の能力で故郷の世界から、 この世界へと逃げて来た記憶が昨日の事の様に思い出される


雪ちゃんは今第の魔王だ、 まだ力を付けきっては居ないが、 いずれ絶望を産む存在


フーリカは日暮に救われた、 そして日暮は雪ちゃんを救いたい、 フーリカは葛藤した


だからこそ……


「私が、 彼女を見張ってなくちゃいけないのに、 彼女が完全体へとならない様に見張る、 それが日暮さんとの約束なのに……」


既に魔王としての力を一部持っている、 そんな彼女が、 『嫌な予感がする』と、 この言葉に背筋が凍りそうになる


「本当に、 何かが起こるの? これから何が……」


ピガガッ



この音は、 確か、 無線機……


やぐらと言う、 日暮と円の繋がったモンスターが居る、 亀みたいな見た目の、 彼の能力で作る無線機は凄い


どんな距離、 環境下でも発せられる特殊な電波を繋げ、 音ズレのない完璧な声を瞬時に届ける


そしてそれは量産可能、 日暮が頼み、 櫓は幾つかそれを作った、 主要人物がそれぞれ無線機を持っている


日暮はフーリカにそれを渡していた、 何時でも彼と電波で繋がる事が出来る……


「……はいっ、 フーリカです、 えっと、 この色は……」


受信機体を色で識別している、 日暮は赤だが、 今回の光は青、 これは……


「私、 菜代よ、 フーちゃん聞こえる?」



「はいっ! 聞こえてます、 望野さん、 外はどんな状況ですか?」


菜代望野なしろののさん、 彼女とは先程話をしていて仲良くなった、 元々彼女も日暮の縁だ、 共に戦って一度この街を救っている


「見つけたわ雪ちゃん、 街の奥手の方にあるビル、 そのビルの屋上に居る、 空をずっと見てるわ」


雪ちゃんは私達に『嫌な予感がする』と言って、 そのまま姿を消した、 『私が何とかする』とも言っていた


菜代さんは、 自身がよく居る、 駅前のビル、 甘樹ビルの屋上へと行き、 街を見渡し雪ちゃんを見つけた様だ


本当に、 雪ちゃんは何を考えているのか、 これからこの街に何が起こると言うのか……


「彼女は私が見張っておく、 ここからでも援護は出来るし、 フーちゃんはこの事を木葉鉢さんに話をしてくれる?」


任せるしかない……


「お願いします…… 分かりました、 すぐに伝えます!」


ピガッ


無線機を切る、 フーリカは走って彼女、 この甘樹シェルターの管理を行っている木葉鉢朱音このはばちあかねの所へ向かう、 ふたつのシェルターが混合してる今、 藍木シェルターの大望吉照たいほうよしてるも一緒の筈だ


はぁはぁ……


二人の執務室の前に立つ、 コンコン、 ノックをすると声が帰ってきた


「フーリカです! 伝えなくてはならない事があります!」


了承の返事を聞きドアを開ける


ガチャ


「やぁ、 フーリカ君、 息を切らして何かあったのかい? レイリア君、 彼女にお茶を…… っともう入れてるね」



「フーリカさん、 どうかしましたか? どうぞ座って下さい」


フーリカは頭を下げて状況を説明した


……………………


二人は説明を聞いて頭を悩ませる


「ええと…… 嫌な予感?」


フーリカは話をしてから思う、 雪ちゃんが魔王の幼体である事は秘密になっている、 伝えようとして言葉に詰まった、 結果感覚でしか伝えようが無い


「それは悪寒かね? そう言うのも馬鹿に出来ない、 特にフーリカさんは異世界から来た方だ、 感じ方は異なるだろうが……」


それが最大限のフォローだろう、 大体二人も暇じゃない、 仕事がてんてこ舞いの大忙し


そこにやってきた私の言葉が、 嫌な予感、 内心呆れて居るかもしれないな……


下を向きそうになるフーリカに、 手を差し伸べてくれる声がする


「大望様、 どうか私からもフーリカ様の言葉を良く聞いて頂けませんか?」


この空間に場違いな存在、 だが凛とした佇まい、 メイドさん、 レイリアだ


「いや、 と言っても、 何も分からない事には対策のしょうがない」



「嫌な予感と言うのは、 例えばどう嫌な予感なんですか? どんな対策が必要な?」


分からない、 でも一つ言えることが有るとすれば……


「最悪、 この街が消える、 それぐらいで考えてくれませんか?」


っ!?


「街が……… 消える? 本気ですか?」


本気だ、 そもそも、 何が起こるか分からないが、 現状一番の脅威は魔王である雪ちゃんだ、 彼女が力を解放しそれを振るえば、 確実に街は消える


これは最低限だ


「直ぐに動ける様にしておいて欲しいんです、 何もかも、 準備しておいて欲しいんです、 お願いします」


フーリカは頭を下げる、 上手く説明出来ない事が酷く悔しい


「顔を上げてください、 フーリカさん、 私達は常に何かあった場合避難者の方達を守れるように準備をしています、 それは決して怠っては居ません」


木葉鉢の言葉に大望も頷く


「実は私が議員になって一番取り組んだのは避難用シェルターの建設だ、 そして、 地元であるこの甘樹シェルターは私も設計に立ち合った」


「例え爆撃を受けても簡単には潰れない様に出来ている、 最低限の備えは整えているつもりだ」


その言葉でフーリカは少しだげ心に余裕が出来る、 深く息を着く


「ありがとうございます、 本当はもっと上手く…… いえ、 私にもできる事っ、 ありますか!」


(……無理な事を言ってるんだ、 私が一番頑張らなくちゃ)


「……フーリカさん、 落ち着いて、 貴方から話を聞いて私達が出来るのは心構えをする事だけです、 でもそれがとても大切な事です、 多くの状況に対する対策を考えます」


ですから……


「フーリカさん、 お願いしたい事があるの、 話をしたい人が居るからここに呼んで欲しい、 一瞬で、 貴方にしか出来ない方法で」


一瞬で理解する、 私の能力で……


「空間を繋げます、 指示をお願いします!」


…………


その後、 作戦会議が開始される、 そこに集まったのは


「皆さん集まって頂きありがとうございます」


甘樹シェルター、 リーダー・木葉鉢朱音


「これより臨時の作戦会議を行う」


藍木シェルター、 リーダー・大望吉照


「まさかモンスターである私がここに呼ばれるとはな……」


灰甲種・櫓、 彼は異世界から来たモンスターでありながら、 ここ、 シェルターで戦う、 それは彼が日暮の仲間だから


「今の所雪ちゃんに動きは無い、 でもサンちゃんも言ってるわ、 凄く嫌な予感がするって」


光の矢の狙撃手・菜代望野、 彼女左目は不可思議に光を放っている


ピガガ


『望野の言う通り、 外の偵察は僕に任せてよ、 望野の資格と電気信号で資格を共有しているから』


菜代と協力関係にある、 彼も異世界のモンスター、 鳥帝士族・金轟全王落弩こんごうぜんのうらくど


明山日暮が繋いだ縁で出会った者達、 シェルターの総リーダと、 能力者ノウムテラス達だ


木葉鉢が早速話を始める


「望野さん、 貴方の友達が言う、 嫌な予感と言うのはどう言った物なのでしょう?」


ピガガ


『望野を通さなくても直接僕に話しかけてくれてもいいよ、 望は僕の事をサンちゃんって呼ぶからそれで呼んで』


『……それで、 嫌な予感なんだけど、 どうやら周囲の動物や、 街に住むモンスター達も本能で感じているらしい、 みんな極端に息を潜めている』


『感覚的には、 僕達がこちらの世界に来た時に感じた感覚、 二世界間の繋がりを強く感じる時の感覚に近い』


それって……


『もしかしたら何かが向こうの世界からやってくる、 それが僕の予想だ、 結構やばめのモンスターかもね』


その話を櫓が引き継ぐ


「私もそれは感じている、 同じ感覚を感じていると言っても良いだろう、 そこで提案何だが、 私の能力をご存知だろう?」


櫓の能力、 築工作書本ちくこうさくしょぼんは、 指定の物体を材料を消費し作る能力


「周辺の瓦礫等を使い強固な壁をこの地下シェルターの周辺に建ててはどうだろう? 例え今回機能しなかったとしても問題は無い、 シェルター全体の防衛力の底上げになると思う」


木葉鉢は頷く


「それは素晴らしいです、 直ぐに設計のプロセスを考えます」


そう言ってシェルター資料を引っ張り、 木葉鉢はメモ帳に何やら描いていく


「フーリカさん、 共有の三番室に曽島そしまさんと言うおじさんが居ると思う、 彼はプロの設計士で、 おそらく彼の仲間達もそばに居るわ」


「ここに事情を書いたから、 直ぐに壁の設置案を描いてくれるように頼んでください」


フーリカは頷く、 このシェルターは広い、 歩いていけば容易に五分以上かかる所を、 たったの数秒に短縮出来る


これがフーリカの役割だ


(……私は物事を決める立場じゃない)


「分かりました、 直ぐに行ってきます!」


このシェルターの内側の全てはまだ分からない、 でも主要の箇所は頭に入っている


三番室の扉と、 会議室の扉を繋ぐ……


ガチャっ


………………………


バタン


三番室、 このシェルターには共有スペースが十番室まであり、 用途に応じて誰もが気軽に使える様になっている


この三番室には、 筆記用具や、 絵の具、 その他、 刺繍セットや、 手動のミシンまで置いてあり


絵を描く人や、 縫い物をして楽しむ人等が集まっていたりする


(……曽島さん、 どの人だろう…………)


教室二つ分程の広さの部屋には四十人程人が居る、 大きな声で呼んでみるか……


「あれ? フーリカさん、 どうしたんですか?」


声をかけられて、 聞き覚えのある声の方を向く


「あっ、 茜さん」


日暮の妹、 茜だ、 その手にはまだ途中の縫い物が抱えられている


「ちょっと縫い物を習い中で…… フーリカさんも何かしに?」



「ああ、 いえ、 人を探しに来てて、 曽島さんって言う人を、 茜さん分かりますか?」


茜が頷く


「うん、 一緒に縫い物やってるよ」


茜が作業をしているだろう辺りには、 同じ様に縫い物に精を出す人がいて、 男性の姿もちらほら見える


茜がその中の一人へと歩み寄って行く


「曽島さん、 突然すみません、 ちょっといいですか?」


その声に顔を上げたのは五十代程の男性で、 近眼の為か眼鏡を頭へと上げている


「ん? なんだい?」



「こんにちは曽島さん、 私はフーリカです、 実は木葉鉢さんから曽島さんへこちらを渡してくれと」


フーリカは木葉鉢から渡された物を曽島へ渡す、 曽島は眼鏡を掛け直しそれを読む


暫くして頷き立ち上がった彼は、 一旦縫い物を中止する旨を伝え、 筆記用具が置いてある机へと向かっていく


「茜さん、 ありがとう、 私行くね」



「うん、 何か分からないけど、 頑張ってね」


曽島の居る所へ着くと、 彼は白紙を取り出し筆記用具を手に取っていた


「フーリカさんと言ったかな、 木葉鉢さんからのメモには詳しい事、 知りたい事が意図的に省かれて居てね、 でもそれは少なくとも今、 私が知らなくてもいい事という事だね?」



「……詳しい事は言えませんが、 皆さんの安全の為です、 ご協力下さい」


彼に頭を下げる


「するさ、 だから頭を上げてくれ、 だが流石に時間がかかる、 仲間とも話がしたいしな、 おーい、 お前ら来てくれ」


数人の男性達がこちらへ向かってくる、 彼らが木葉鉢の言っていた設計士の仲間集団なんだろう


曽島が説明を始めると皆疑問を抱きつつも考えを巡らせ始めた


「あの、 私にもお手伝いできる事有りますか?」



「ああ…… そうだ、 ちょっと待ってろ」


カキカキカキ


メモ帳に彼は何やら文字を描いていく


「欲しいものがある、 倉庫ね、 あんまり大きいものじゃ無いから、 しかし分かりずらいかもしれない」


だから……


「恐らく倉庫の前に若者が数人居るはずだ、 その中の女の子に鈴歌という子が居る、 私の義姪何だが、 彼女に頼んで案内をして貰ってくれ」


鈴歌…… 天成鈴歌あまなりすずか、 日暮と共有した記憶がその人物を思い起こさせる


(……この人って確か、 藍木シェルター襲撃後に日暮さんの所にやって来て、 日暮さんを殴った人じゃ)


一方的な怒りをぶつけていた女だ


「……私は藍木シェルターから来たんですが、 彼女もそうですよね? このシェルターの倉庫の事は詳しいのですか?」



「ああ、 このシェルターの事はもう全部頭に入っていると言っていたよ」


そう……


「では、 行ってきます」


フーリカはその場を去りドアノブに触れる、 倉庫付近の部屋のドアと繋げ外に出る


ガチャ


…………………


バタンッ


タンタンッ……


フーリカの歩く足音が廊下にこだまする、 倉庫への道は薄暗く、 そして壁にもたれるように人が多く居た


その殆どが若者で、 ゲラゲラと笑う者や、 何やら話をする者等多い


彼らは、 見慣れない顔のフーリカを不躾に目で追ってくる、 物凄く不快な視線だ……


「おい、 おいおいおいおい、 君、 俺に挨拶せずにここを通る気? ダメだよそんなの」


男だ、 こちらに向かってくる、 道を塞ぐ様に前に立たれ、 フーリカも足を止める


「何です? 何か用ですか? 私は今とても急いでいるんですが?」



「あはは、 あんまり怒んなよ、 挨拶だよ、 挨拶、 大切な事だろ?」


はぁ……


「どうもこんにちは、 フーリカ・サヌカです、 これで良いですか?」



「え~、 外国人? でも、 だめだめだめだめ~ 君めっちゃ可愛いね、 ちょっと話そうよ、 俺といい事してくれたら通したあげる」


うるさい……


「良いからどきなさい、 今は本当に時間が無いんです」


鋭い程の気品、 闇の中でも光放つ話の様に


「……はぁ、 何怒ってんの、 良いよ通れよ、 その代わりまた今度遊んでよ」


男を気品で押し退け前へ進む、 もうすぐ倉庫だ、 その辺に居るはずだが………


そう思っていると、 不意に鈴のなる様な音がした、 いや、 とても澄んだ声だ


居た……


「天成鈴歌さん、 ですよね?」


彼女がこちらを振り向く、 悔しいくらい可愛らしい顔立ちだ、 これで隠した性格はどす黒いんだから恐ろしい


「ん? ……貴方確か………」



「鈴歌、 誰だ?」


傍に居た男が警戒した様な目をこちらに向ける


「天成さん、 少し協力して欲しいんですが、 あの時、 の話もしたいですし」



「……良いよ」


フーリカは倉庫を指す


「曽島さん、 知ってますね? 物を取ってきてくれと頼まれて、 天成さんならわかるからって」



「ああ、 おじさんがね、 私行ってくるね」


そばに居た男がつまらなそうな顔をする


「俺も行くよ」



「いや、 良い、 着いてこないで良いから」


ちっ


「鈴歌、 なんかお前シェルターでの一件以来なんか少し冷たくなったよな? 何かあったのかよ」


時間が無いのに……


「何も、 あんまり気にしないで、 ね」



「お前あの後、 ひとりでどっかいってたらよな? あの時に何かあったのか?」


彼女の仲間達は、 彼女と日暮とのやり取りをどうやら知らない様だ


「何も無かった、 それじゃあ行きましょう、 フーリカさん」


やっぱり知ってるか、 少なくとも藍木シェルターの人間の事は皆知っていそうだ


フーリカは頷くと、 二人で倉庫の扉をくぐった


……………………


……


「ルーンライト」


ぴかー


光が周囲を照らす


「えっ!? 何この光?」



「ああ、 魔法ですよ、 私でも使える様な簡易魔法です、 私の住む世界ではこういった生活魔法は皆使えましたから」



「……魔法? 私の住む世界?」



「私別の世界から来たんですよ、 モンスター達がやって来た世界、 異世界ですよ、 そこからやって来ました」


天成はその目を鋭く刺してくる


「……フーリカさん、 私はその話が本当なのか嘘なのか判断出来ない」



「本当ですよ、 さぁ、 曽島さんが探している物は何処です? 歩きながら話しましょう」


タンタンッ、 倉庫内に足音が響く


「それが本当なら、 この私にその話をするのは、 貴方が思っている以上に私に弱みを作る事になるよ」



「承知の上です、 私は貴方のどす黒い本質を知っています、 だから対等に行きましょう」


天成は少しの間沈黙を齎す


「……明山日暮から聴いたの? あの時の事」



「いいえ、 本当ならあの時の事を知っているのは、 貴方と、 日暮さんと、 妹の茜さんだけです、 でも……」


私は明山日暮の全てを知っている


「……で? わざわざ私と対等になろうとするのは何故?」


天成はある棚の前で止まり、 ダンボールに入った何やらかを幾つか取り出していく、 これが曽島の求めていた物だろうが


見てもいまいちピント来ないのは、 この世界の物であり、 日暮もこの道具を知らないからだ


「これと、 これ、 えっと…… 後これね、 はい、 ここに書いてあるのはこれだけ、 こっちにある空き箱に入れて持って行けば良いよ」


それを手渡される、 以外にも彼女は真面目だ


「ありがとうございます、 正直こんなに協力してくれるとは思ってませんでした、 侮ってましたすみません」


はぁ……


「そんな事はどうだっていいよ、 おじさんが私に協力を頼むんだもの、 別に家族からの頼みを考えも無しに跳ね返す程子供じゃないの」


フーリカはもう一度頭を下げる


「本当にありがとうございます、 これで私行きます、 それじゃ……」



「ちょっと、 質問に答えてよ、 どうして私とわざわざ対等の立場になる為に貴方の事を話したの?」


フーリカは歩く足を止める


「それは、 貴方の……」


……………………


ガタンッ!!



ん?


ガッ! ガタンッ!!


大きな音が突然倉庫内に響く、 棚が倒れた様な音だ


「え? 何? 何の音………」


困惑する天成、 その背後から、 ぬらり大きな手が迫る、 それは彼女をつかもうと手のひらを広げ……


(……何か、 まずい!)


「バウンダー・コネクト!」


フーリカの能力、 バウンダー・コネクトは、 繋がっている物を二つに分つ能力であり、 その逆二つのものを一つに繋げる事も出来る


その能力は一時的に距離を消し去る


「こっちに来てっ!」



「うわっ!?」


天成がつんのめる様に、 突如手を引かれた様にこちらへやって来る、 彼女に迫っていた手は空振りする


「私の手のひらと貴方の掌を繋げ一時的に一つの物にして引っ張りました」



「え? 何?」


いちいち説明等していられない、 だが、 一体何事……


…………


っ!


「天成さん、 もっと距離を取って!」


そう言って彼女引っ張り駆け出す


ミシミシッ 軋む様な音、 その音と共に、 固定された棚の金具がネジ切れ破壊されて行く


力任せに、 徐々にそこ棚は傾き始める


「おらぁあああああああっ!!!」


大きな声が倉庫無いに響いて……


……


ドガシャアアアンッ!!


棚が地面へと叩きつけられる、 その反響した音で耳が煩い


「……危ない、 巻き込まれる所だった」


フーリカはいち早く舞立つ誇りの視界の先を睨む


そこには……


「あっはっはっ!!! 避けたかぁ!! それで良い! そうでなくては詰まらん!! 足掻かぬ物は愚者である! そうして俺は、 遠太倶である!!」


巨漢だ、 太い肩周りの筋肉と、 少し出た腹は、 しかし相撲取りの様に筋肉質で硬そうである


そして異様に声がでかい


「……っ、 うるさい、 ですね、 貴方誰ですか! 何者ですか!」



「んん? 俺か? 俺は遠太倶だ! と紹介した筈だ! それともまさかぁ! 俺に興味があるのか! この俺が好きなのかァ!!」


は?


曽島から頼まれた道具を入れた小箱、 それを状況が分からず立ち尽くす天成に押し付ける


「天成さん、 行ってください、 私がこの男を止めるので」



「え? へっ? 何? 何なの?」


あっはっはっはっはっはっ!!!!


でかい声が響く、 見るからに頭が使えないタイプに見えるが、 こう言う奴こそストッパーまで馬鹿なので動きが読めない


「敵です! おそらく何らかの能力を持っています! 化け物と同じ、 モンスターと同じです! これを持って逃げて!」


モンスター、 その言葉を聞いて天成の目付きが変わる


「あっ、 貴方はどうするの?」



「止めます、 いえ、 倒します」


敵を睨む


「………分かった、 これを渡して、 助けを呼んでくるから」



「お願いします、 その場合、 木葉鉢さんの元へお願いします」


彼女の元には今このシェルター内の能力者が集まっている


敵は何やらブツブツと独り言を言っていて動かない、 行くなら今しかない


「一つだけ、 さっきの質問の答え、 それだけ教えて、 お願いそれだけ聞いたら全力で逃げるから」



「……貴方の事は嫌うつもりでした、 だって日暮さんを私怨でぶっ叩いてたし」


それでも


「日暮さんは私の罪を一緒に背負うと言ってくれて、 私は彼の罪を一緒に背負うと約束した」


彼女が、 シェルター襲撃の際、敵に襲われたのは自業自得だが、 敵が日暮との戦闘により秘めた混沌と思いが吹き返したからかもしれない


敵の気持ちは知らない、 だが日暮の気持ちは分かる、 日暮はシェルター内で戦った、 その際に起きた被害を少なからず考え無しの戦闘をした自分のせいだと思っている、 罪悪感を感じている


「だから、 貴方に叩かれたのは、 半分は私への憎悪であり、 私の痛みでもあります、 そう思ったら私は貴方を攻めれない」


だって


「日暮さんも、 貴方を許している、 申し訳なくすら思っている、 心の中では」


……………………


「……それで?」



「はい、 だから私は貴方に悪い印象は無いです、 逆に、 私は貴方に教えて欲しい事があったんです、 だから対等な、 友達になりたいんです」


天成が驚く


「……馬鹿だね、 貴方も、 あいつも、 一人もやもやしてる私も馬鹿…… 何を教えて欲しいの?」


フーリカが笑う


「その…… 『かわいい』を教えて欲しいんです、 だって天成さん凄く可愛らしいから」



「ぷっ、 あはは、 なるほどね、 あいつに、 明山日暮にかわいいって思われたいんだ…… 良いよ」


天成が息を整える、 フーリカも敵を見る


「さあ、 行ってください」



「うん、 必ず助けを呼んでくるから!」


たんっ!


踏み込んだ足音が響く、 力の弱いそれは足音すら可愛らしい、 記憶では彼女は運動が苦手だ


ブツブツブツブツブツブツ………


何やら独り言を呟いている敵が不意にこちらを見る


「そうか、 そういう事か、 君の気持ち理解した、 女、 お前は俺の伴侶だ! 認める!!」



「はっ、 はい? 何を言っているんです?」


敵がチッチッチッと指を振る


「大丈夫、 皆まで言うな、 お前は俺に興味がある、 つまり俺の事が好き、 つまり俺と結婚したい、 そして俺はそれを許可するっ!!」


フーリカは思わず頭を抱える、 想像以上の馬鹿だ、 既に思考を放棄している


「すいませんが、 私は貴方以外に好きな人が居るんです、 残念ながら諦めて貰う以上にありません、 貴方は私の敵です」



「昨日の敵は今日の友、 うん名言だね、 明日には分かり合えるさ、 ん~、 ちゅ」


うわっ


「ごめんなさい、 私は敵を作らない性格ですが、 貴方のことは嫌いです、 もう私の全てをもってして貴方を否定します」


フーリカは構える、 能力の発動を躊躇わない


今のフーリカは、 日暮との共有で、 その心の内も共有されている、 相手がどんな人間か、 そもそも敵か、 何をしに来たのか


そんな事は大きな意味を持たない


「降伏しなさい、 でなければ、 五体満足でいられると思わないで下さい!」


理性を押し退け、 容易に攻撃しようと思える、 場合によっては……


「あははははっ、 面白い! やはり面白い女だ!」



「黙りなさい、 貴方の私を見る目は嫌いです、 鳥肌が立つ、 手加減はしません、 場合によっては殺します」


ビリビリ


脳に、 激しい闘争本能と、 それによる興奮を伴った電撃が駆け抜けた

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